砂糖の世界史 の商品レビュー
岩波ジュニア新書なので本来中高生向けだが、初学者が俯瞰的に近代を捉えるには良い本だと思う。次は奴隷貿易についての本を読むか、あるいは「銃·病原菌·鉄」を再読するか悩む。
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世界商品としての砂糖が、そのプランテーションに多くの人材が必要になり、奴隷貿易と融合して発展していったことがよくわかった。 また東インド会社によってもたらされた茶と、砂糖が嗜好品として融合して王族から労働者階級のカロリーとして普及していく様子が特に興味深かった。 一つ不満を感じたのは、ジュニア新書として紙幅の都合等あったのかもしれないが、フランス領マルチニクとガドループの砂糖が、どのくらいイギリス領の砂糖プランテーションより安かったのか、具体的な数字で知りたかったです。そうして、何故フランスの砂糖生産は安くでき、イギリスは出来なかったのかという視点にも繋がったと思うので。
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砂糖のあるところに奴隷あり。学生の頃にこの本を読んでいたら、世界史への興味がもっと広がったように思う。 岩波ジュニア新書ということで、とてもわかりやすい文章で書かれている。でも内容はとても深く、歴史の勉強になる。 さらに、今当たり前にある物が、どこで作られ、どのように流通して...
砂糖のあるところに奴隷あり。学生の頃にこの本を読んでいたら、世界史への興味がもっと広がったように思う。 岩波ジュニア新書ということで、とてもわかりやすい文章で書かれている。でも内容はとても深く、歴史の勉強になる。 さらに、今当たり前にある物が、どこで作られ、どのように流通しているのかということを考えるきっかけにもなる。
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2018年12冊目。 砂糖に注目して、大航海時代、植民地、プランテーション、奴隷制度、三角貿易、産業革命などが語られ、世界史がひとつにつながります。 茶、ジャガイモ、珈琲など、さまざまなモノから世界史を紐解く本はどれも面白かったけれど、この本が1番読みやすかったです。ジュニア新...
2018年12冊目。 砂糖に注目して、大航海時代、植民地、プランテーション、奴隷制度、三角貿易、産業革命などが語られ、世界史がひとつにつながります。 茶、ジャガイモ、珈琲など、さまざまなモノから世界史を紐解く本はどれも面白かったけれど、この本が1番読みやすかったです。ジュニア新書、侮れません! ジュニア新書についてちょっと調べてみたら、意外と(?)、すごいひとがジュニア新書執筆したりしてるんですね。 とてもわかりやすいし、挿絵や扉絵も面白く、ジュニア新書の魅力を知りました。
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名著とは聞いていましたが、上の子に中学のとき読ませ、そういう自分は読んでいなかったこちらを読んでみました。 なるほど、これは名著と呼ぶにふさわしい本でした。特に中学生から高校生くらいの子たちに必ず読んで欲しいといえる世界史講義ですが、大人が読んでも大変興味深い。 しかし、著者の川...
名著とは聞いていましたが、上の子に中学のとき読ませ、そういう自分は読んでいなかったこちらを読んでみました。 なるほど、これは名著と呼ぶにふさわしい本でした。特に中学生から高校生くらいの子たちに必ず読んで欲しいといえる世界史講義ですが、大人が読んでも大変興味深い。 しかし、著者の川北先生、ジュニア新書という分量も含めた制約の中でよくこれだけの内容を凝縮して分かりやすくまとめたものだと思います。読みやすいのに濃い、名著。
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砂糖も紅茶も以前は、ステイタスシンボルだったなんて驚きです。 それだけ価値があり、高価だったからというのが理由です。 しかし、その生産の末端に携わっていたのは、 多くの奴隷たちでした。 この生産(プランテーションの世界展開)と消費の構造が、 後に南北問題につながります(一つの要...
砂糖も紅茶も以前は、ステイタスシンボルだったなんて驚きです。 それだけ価値があり、高価だったからというのが理由です。 しかし、その生産の末端に携わっていたのは、 多くの奴隷たちでした。 この生産(プランテーションの世界展開)と消費の構造が、 後に南北問題につながります(一つの要因として)。 世界商品の「砂糖」を通して知る残酷な歴史です。 こういった構造は、今も昔も変わっていません。 良い商品を、より安く買いたい、摂取したいというのは、 多くの人が求める欲求ですが、 その商品が、大衆化するまでには、 さまざまな葛藤と試行錯誤があります。 それを動かしているのは、果てしない欲望です。 その経緯は、時には強い者が弱い者を、 搾取と言った形で行われます。 21世紀になった今も、その構造は、変わっていません。 より生産技術と物流技術が高度になったので、 ますます、複雑化していることでしょう。 この著作では、「砂糖」にスポットライトをあてましたが、 「石油」と考えても、全く同じ論理が生まれます。 世界商品をめぐる争奪戦は、国同士の熾烈な争いと、 政治的な要素が複雑に絡み合った、人間の負の営みです。 その世界商品があったおかげで、豊かなになった国や人もいれば、 それが、きっかけで、貧困に陥った国、また不幸になった人もいます。 最悪の場合は、国家間の戦争に突入します。 この本は、自分達の身近にあるものが、 どういう経緯で、存在しているのかを知る恰好の本だと思います。 そして自分達の生活を振り返る上でも、非常に有益な本だと思います。
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世界史の授業では、バスコ・ダ・ガマが喜望峰を、コロンブスが新大陸を発見したので大航海時代が始まったのだと教わるけど、実際には運びたいものと運ぶルートがあったので世界は変わったのだとと考えるべきだろう。運びたいものと言えば、東方には香辛料と茶葉があった。新大陸からは銀と教わるけど、...
世界史の授業では、バスコ・ダ・ガマが喜望峰を、コロンブスが新大陸を発見したので大航海時代が始まったのだと教わるけど、実際には運びたいものと運ぶルートがあったので世界は変わったのだとと考えるべきだろう。運びたいものと言えば、東方には香辛料と茶葉があった。新大陸からは銀と教わるけど、本当はやはり砂糖と綿花と奴隷のセットが大西洋交易が主役と言うべきだろう。 綿花は北米大陸に大農場を作り、砂糖はカリブ海にプランテーションを形成した。
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茶や綿織物、現在の石油と同じ「世界商品」である砂糖を通して、世界の歴史がどのように影響を受けてきたかを解説。「砂糖のあるところに、奴隷あり」と言われたほど砂糖と奴隷制度は密接に関係していた。本書のように、モノや人々の慣習を通じて観察する学問を歴史人類学と呼ぶらしいが、大航海時代以...
茶や綿織物、現在の石油と同じ「世界商品」である砂糖を通して、世界の歴史がどのように影響を受けてきたかを解説。「砂糖のあるところに、奴隷あり」と言われたほど砂糖と奴隷制度は密接に関係していた。本書のように、モノや人々の慣習を通じて観察する学問を歴史人類学と呼ぶらしいが、大航海時代以降、世界が一つにつながっていることがよくわかる。
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1996年刊行。著者は大阪大学文学部教授。タイトルどおりの書だが、砂糖を中心軸に据え、世界史に及ぼした影響を初学者(中学生でも読めそう)向けに解説。勿論、砂糖が世界に広くいきわたった時期、すなわち近世から近代かけての西洋史が基本。①砂糖(サトウキビ栽培・砂糖製造)⇒プランテーション⇒奴隷貿易・奴隷制度。②砂糖(西端)と茶(紅茶。東端)とを結びつけえた英国。③砂糖貿易・販売で獲得した富が産業革命を準備した。④英の紅茶、米の珈琲という違いが生まれた経緯と地理的条件、⑤近世期の英仏対立等多面的解説がなされる。 とはいえ、コーヒー・茶に関しては類書の方が詳しい。叙述が砂糖だけに絞っているわけではなく、やや物足りない印象は残る。ただ、エピローグ「モノを通じて世界史を見る」という箇所は、心構えという意味でも意義深い。 補足。奴隷貿易(英や西・葡)、プランテーションの構造、これらサトウキビ栽培と砂糖製造のプランテーションが産業革命と米国独立革命に及ぼした影響は、簡潔かつ明快な説明で得心。
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