砂糖の世界史 の商品レビュー
砂糖だけで大きく世界が変わっているという歴史がある。 では、他の「世界商品」はどのような変革を起こしているのか そしてそれらが今の世界をどのようにつくり上げたのかを知りたくなった。
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世界システム論と歴史人類学の方法を用いたとってもわかりやすくておもしろい近代史。 16世紀以降、世界の歴史はそのときどきの「世界商品」をどの国が握るか、という競争の歴史として展開してきた。この「世界商品」の最も初期の例が砂糖であり、本書は砂糖を中心に世界史を記述していく。 いちお...
世界システム論と歴史人類学の方法を用いたとってもわかりやすくておもしろい近代史。 16世紀以降、世界の歴史はそのときどきの「世界商品」をどの国が握るか、という競争の歴史として展開してきた。この「世界商品」の最も初期の例が砂糖であり、本書は砂糖を中心に世界史を記述していく。 いちおう世界史受験をした文系大学生なので、史実はまあ知っているんだけれども、小ネタがとても興味深いので単なる復習を超えて、楽しんで読むことができる。とくに紅茶に砂糖、というのがステイタス・シンボル×ステイタス・シンボルである、というおはなし。考えてみれば砂糖は嗜好品であって絶対に必要なものではない。最初の世界商品かもしれないけれど、「砂糖のあるところに奴隷あり」で人々の居住分布やその後の運命やあらゆるものを決定付けたかもしれないけれど、どうしても必要、というものじゃないんだ。人間の欲望が欲望を呼び、犠牲を生み、富を生む。近代以降、まさに近代世界システムとして世界がひとつになってしまったことが、欲望の罪深さがもたらす害悪を増大させたし、欲望そのものを強めたし、要するに近代とは欲望があらゆるものを飲み込んでいく時代なのかもしれない。 歴史記述は恣意性を前提としている。わたしはもっともっと自分の知識を広げて深めて自分で繋げられるようにならなければ、記述できる人間になれるように努力していかなければ、とおもう。それにしても近代史は興味深い。いまのわたしたちのあらゆる起源がそこにあるようにおもえる。
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モノを通じて読み解く世界史にハマってきた。モノの流れを追うことで世界各地で起きていたことが見事につながっていくのは読んでいて面白い。茶、砂糖と読んできたので、次は綿織物かな。
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文明の起源を動植物や気候などからみたのが『銃・病原菌・鉄』だとすれば、本書は現代の世界格差を「砂糖」から見たものだ。砂糖が希少品から高級品、大衆品へと変化していく過程を通して、いかに世界が、人間の欲や見栄によって動かされているかがわかる。奴隷を生み出したのも欲だが、それを廃止した...
文明の起源を動植物や気候などからみたのが『銃・病原菌・鉄』だとすれば、本書は現代の世界格差を「砂糖」から見たものだ。砂糖が希少品から高級品、大衆品へと変化していく過程を通して、いかに世界が、人間の欲や見栄によって動かされているかがわかる。奴隷を生み出したのも欲だが、それを廃止したのも欲。現代の多くの国の貧困は、その国の人の能力の問題ではなく、土地や文明を壊された過去にその原因をもとめる事ができる。大航海時代から産業革命あたりの英国がメインだが、世界史の醍醐味である色んな要素の相関性もわかり面白い。
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古本で購入。 「世界商品」砂糖を通して近代史を見るのが本書。 中でも、その生産・流通・消費に大きく関わったイギリスを中心に見ていきます。 権威・財力の象徴としての砂糖、奴隷貿易と結びついた三角貿易なんて部分はよく知られたところ。 でも「薬品」として珍重された砂糖が「食品」にな...
古本で購入。 「世界商品」砂糖を通して近代史を見るのが本書。 中でも、その生産・流通・消費に大きく関わったイギリスを中心に見ていきます。 権威・財力の象徴としての砂糖、奴隷貿易と結びついた三角貿易なんて部分はよく知られたところ。 でも「薬品」として珍重された砂糖が「食品」になる過程で、トマス・アクィナスの出した「断食日に砂糖を口にしても戒律に反しない」という結論が重要な役割を果たしたっていうのは、さすがに知らなかったな。 砂糖だけを論じるのではなく、コーヒーハウスや労働者の生活といったイギリスの文化・生活や奴隷制など、、砂糖にまつわる様々な話題に触れる。 これがまたなかなかおもしろくていい。 いや、やっぱりジュニア新書は侮れない。 裏表紙に「世界史Aを学ぶ人は必読」とあるけど、世界史Bを学ぶ人も学んだ人も日本史を選択した人も読むべき。 教科書的内容でもつながりを持って記述されるとここまでおもしろくなる、といういい手本。 オススメ。
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・書名から想像していたよりも、はるかに多くのことを教えられた。これは「砂糖の歴史」ではない。「砂糖をめぐって繰り広げられた人類の歴史」そのものだ。 「一六世紀いらいの世界の歴史は、そのときどきの「世界商品」をどの国が握るか、という競争の歴史として展開してきたのです」(p6) ...
・書名から想像していたよりも、はるかに多くのことを教えられた。これは「砂糖の歴史」ではない。「砂糖をめぐって繰り広げられた人類の歴史」そのものだ。 「一六世紀いらいの世界の歴史は、そのときどきの「世界商品」をどの国が握るか、という競争の歴史として展開してきたのです」(p6) ・それでは、最初期の世界商品である砂糖は、世界をどのように動かしたのか。まず、カリブ海の島々に砂糖きびのプランテーションが作られたことで、先住民は絶滅。そこに送り込まれた大量の黒人奴隷は劣悪な環境下で強制労働。そしてイギリスの商人は貿易によって莫大な利益を上げ、そうして輸入されてきた砂糖はイギリスの上流階級の単なる奢侈のために使われた。まぎれもなくそれは愚行の歴史だった。 ・それにしても、砂糖という切り口一つで、こんなにも多くの歴史上の出来事が関連付けできるとは思わなかった。わが国のことについて言えば、薩摩藩が砂糖を藩の専売としたことによって豊富な財を築くことができたがために、明治維新で幕府に対抗することができたという話など、ひとつひとつのエピソードがとにかく面白い。取り扱われているテーマ自体は血塗られた歴史であっても、こういうこぼれ話を随所に交えることによって、暗さが程よく中和されて、最後まで一気に読み通すことができる。 ・そしてまた、砂糖という具体的商品を「世界商品」と抽象化することによって、現代の世界商品をめぐる覇権争いについても一つの視座を提供してくれる。一粒で二度も三度もおいしい好著。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
砂糖という切り口で歴史を見る本。今では身近で当たり前の砂糖が、そう遠くない昔は奴隷制度と結びついていたなんて・・・。イギリスで砂糖入り紅茶が飲まれるようになった経緯も面白い。産業革命との関係もあるという視点。昔出版された本だが、内容は今見ても興味深い
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本ブログで売れた本 : 投資十八番 http://gw07.net/archives/6563853.html
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読了。(購入本) 砂糖の世界史 砂糖と奴隷とイギリスのお話。 という感じでしょうか。 世界万人に好かれ必要とされるものとしての商品(世界商品)としての砂糖の扱われ方ですね。 幼少期に甘味を感じて嫌いな人はまずいないというある意味常習性の高い麻薬的な存在でございますな。 大人...
読了。(購入本) 砂糖の世界史 砂糖と奴隷とイギリスのお話。 という感じでしょうか。 世界万人に好かれ必要とされるものとしての商品(世界商品)としての砂糖の扱われ方ですね。 幼少期に甘味を感じて嫌いな人はまずいないというある意味常習性の高い麻薬的な存在でございますな。 大人になって嫌いになるというのはあるにしてもね。 砂糖きびの発見 植民地=プランテーション=奴隷 砂糖の流通 薬品嗜好品から一般消費品へ 奴隷制度がらみの歴史も少々。 あらかたイギリスのお話です。 イギリスが19世紀頃砂糖消費量がトップクラスだったかららしいですね。 やっぱ紅茶が原因みたいですし。 でもトルコのチャイ(マサラチャイじゃないただの紅茶)も砂糖たっぷりよね。 インドのマサラチャイはまた別のような気もするけどイギリス文化を組んでるのかしら? などと思いだしながら砂糖のお話が茶の話になって イギリス人の食生活とくにイングリッシュブレックファーストの話になったりとイギリスの19世紀前後の生活も教えていただける本となってます。 甜菜ビートの登場は最後ほんのちょっと。 たいへん勉強になりました。
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中高生向きの本らしいが大人が読んでも楽しめる。なぜ紅茶に砂糖をいれたか、奴隷貿易と砂糖の関係など。自分も中高生のうちに読んでおきたかった。
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