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犬婿入り の商品レビュー

3.4

66件のお客様レビュー

  1. 5つ

    7

  2. 4つ

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  3. 3つ

    20

  4. 2つ

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  5. 1つ

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2011/03/20

犬婿説話の現代バージョンらしい。描写は細やかで実際味に溢れるのに、物語の出来事が現実離れしているときのこの薄気味悪さ。ごちそうさまです!

Posted byブクログ

2011/02/20

「ペルソナ」は堀田善衛の「審判」を彷彿とさせる。他者のまなざしにさらされるという問題。 「犬婿入り」では身体の感覚や接触を通して他者とのはかなく危うい関係が築かれる。 両作品が併録されているバランスのよい一冊。

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2011/02/19

『ペルソナ』 そんなに危ないことが起こっているわけじゃないのに、読んでいて妙に体が緊張する。不安になる。かみくだかれた状態でつらつら書かれていく登場人物たちの心情に近づけそうで近づけない、不思議な感覚。 『犬婿入り』 不思議…。現代版おとぎ草子? あとでまた読んでみます。

Posted byブクログ

2011/02/12

ある寓話から物語りが始まり、次々と現れる文中の登場人物の色づけが始まる中で、人間の感性とは少し違った観点から、話が進行してゆく。「きつねにつままれた」印象を残して、あっという間に物語が終わる。ニオイに敏感なせいで、後を濁さずか、ふしぎなまま終局する。

Posted byブクログ

2011/01/28

『ペルソナ』と、芥川賞受賞作『犬婿入り』の2編収録。 どちらの作品とも、言葉の使い方・つむぎ方がとても面白いです。 言葉でとことん遊んでいて、とても実験的で前衛的。 『ペルソナ』 ドイツに留学している道子は弟の和男と同居している。 道子の偏執的な思考が怖い。 怖いんだけど、その...

『ペルソナ』と、芥川賞受賞作『犬婿入り』の2編収録。 どちらの作品とも、言葉の使い方・つむぎ方がとても面白いです。 言葉でとことん遊んでいて、とても実験的で前衛的。 『ペルソナ』 ドイツに留学している道子は弟の和男と同居している。 道子の偏執的な思考が怖い。 怖いんだけど、その偏執的な思考を目で追うのは、酔いにも似た快感があるから不思議。 文化と、人種と、言語の狭間で道子の思考はぐるぐるぐるぐる回り、私の思考も同じ足取りを辿ってぐるぐるぐるぐる。 仮面をかぶることで、狭間から飛び出た道子は、どこへ向かうんだろう。どこまでも追いかけたくなってしまう。 『犬婿入り』 果てしなく長い一文が、句読点ごとに心地のいいリズムを刻んで、まるで音楽を聴くかのように文字を追っていました。 文字を目で追うという快感をこんなにも感じることのできる小説はなかなかない。 この文体は川上未映子っぽかったです。川上未映子は多和田葉子を好きらしいですね。 どこにも存在しなさそうな場所で起こった、不思議な動物譚。 ますます多和田葉子にはまってしまいそう。

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2010/12/23

『犬婿入り』はちょっと厳しかった。『ペルソナ』はこの気が狂いそうな感じは少し怖い。でも危うい空気が最後まで続いて、読めました。

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2010/11/11

「不思議な日本語の小説体験」 『犬婿入り』は日本の各地に残る説話・犬婿説話を現代の郊外住宅に置きかえ、近代な都市と日本の民俗を結びつけた作品だ。 犬婿説話とは人間の女と雄犬が結ばれる話が多く、娘の尻を舐める、または、娘の身体からでる排泄物を処理すると雄犬に嫁にやるというものだ。そ...

「不思議な日本語の小説体験」 『犬婿入り』は日本の各地に残る説話・犬婿説話を現代の郊外住宅に置きかえ、近代な都市と日本の民俗を結びつけた作品だ。 犬婿説話とは人間の女と雄犬が結ばれる話が多く、娘の尻を舐める、または、娘の身体からでる排泄物を処理すると雄犬に嫁にやるというものだ。そんな説話が機能的・合理的な郊外という場所でどう展開されていくか、郊外というものへ新しい視点が見いだせる小説。 他者との埋めがたい生々しい亀裂を描きながらも、その中で生きることを真摯な眼差しで見つめた短編小説、『ペルソナ』も収録。

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2010/06/09

東アジア人は儒教教育されているから感情を表現する能力がないんだって人もいる。 ナチスはユダヤ人だけでなくて同性愛者やジプシーも殺したんだから精神病患者も殺したって不思議はないさ。 現代文学をやっていたのではドイツ人に勝つ見込みはないが中世文学をやれば負けないかもしれない。中世文学...

東アジア人は儒教教育されているから感情を表現する能力がないんだって人もいる。 ナチスはユダヤ人だけでなくて同性愛者やジプシーも殺したんだから精神病患者も殺したって不思議はないさ。 現代文学をやっていたのではドイツ人に勝つ見込みはないが中世文学をやれば負けないかもしれない。中世文学をしっかり勉強すれば、将来必ず認められるようになり、まだまだ人材の足りない分野だから。中世文学をやっていますといえば、ドイツに行ってもドイツ人に尊敬される。逆に現代文学をやっていると言えば一人前の研究者としてつきあってもらえない。

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2010/04/11

「ペルソナ」と芥川賞を受賞した「犬婿入り」の 2 篇。 まず気になったのはその文体。「ペルソナ」では「~のだった」という文末表現がくどいほどに繰り返され、「へんだ」と感じるほどなのだが、不思議とその不自然なリズムが心地よく、すらすら読めてしまう。一方の「犬婿入り」の文体も変わって...

「ペルソナ」と芥川賞を受賞した「犬婿入り」の 2 篇。 まず気になったのはその文体。「ペルソナ」では「~のだった」という文末表現がくどいほどに繰り返され、「へんだ」と感じるほどなのだが、不思議とその不自然なリズムが心地よく、すらすら読めてしまう。一方の「犬婿入り」の文体も変わっている。なにしろ、1 文が異様に (と読者が感じざるを得ないほど) 長く、ときには 1 ページ以上もあるのだ。解説に著者のことばとして、「自分の母国語で書くときも、いわゆる上手い日本語、綺麗な日本語というのを崩して行きたい。つまり、二つの言語を器用にこなしている人になりたいんじゃないんです。また、一つを捨てて、もう一つに入ったんでもなくて、二つを持ち続けながら壊していくような、そういうようなことを一応、恥ずかしながらめざしているんです」という引用があるが、なるほど、そういう意味で実験的にこのような文体を使ったというなら理解できる (まだこの著者の作品はこれしか読んでいないので確信はないけれど)。 私は「ペルソナ」、「犬婿入り」のどちらも気に入ったが (より共感できる・わかりやすいのはドイツに留学している日本人女性の日本人であることに対する疎外感、日本人であることと自分自身であることの矛盾を描いた前者)、「生理的にダメだ、受け付けない」と思う人はいるかもしれない。でもそれは逆に考えると、「気持ち悪い」「がまんならない」と思わせるだけの何かが、この作品の中に存在するということでもある。

Posted byブクログ

2010/03/06

登場人物が外国人だと、名前を覚えきれずにおもしろさが半減しがち。(ペルソナ) 犬婿入り。なんじゃこら。な感じで、でもこの文章のテンポは好きで、ふふふと笑いながら、くるくる~っとここの世界に入り込み、へ?終わり?っと抜け出てきました。

Posted byブクログ