犬婿入り の商品レビュー
何これヤバイんだけど。 というキテレツ系のお話で、概ねその登場人物もおかしいので、誰かだけ浮いていて異常というのよりは全体的に異常系が掛け合わさってもう正常みたいな。太郎くんのハチャメチャっぷりもナイスだけど、ゲイバーをゲーセンと勘違いする小学生にはナルホドなぁと膝を打つような妙...
何これヤバイんだけど。 というキテレツ系のお話で、概ねその登場人物もおかしいので、誰かだけ浮いていて異常というのよりは全体的に異常系が掛け合わさってもう正常みたいな。太郎くんのハチャメチャっぷりもナイスだけど、ゲイバーをゲーセンと勘違いする小学生にはナルホドなぁと膝を打つような妙手で感じ入った。さほどに小学生は侮りがたし。
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第108回芥川賞受賞の表題作『犬婿入り』と『ペルソナ』の2作品を収録。不思議な小説。物語より言葉を紡いで多和田葉子氏の世界に取り込まれる感覚。 『犬婿入り』は民話をインスパイアとした寓話的な物語であり、道子と太郎の不思議な関係と、軟体のような人物軸、そして狐に化かされたように何事...
第108回芥川賞受賞の表題作『犬婿入り』と『ペルソナ』の2作品を収録。不思議な小説。物語より言葉を紡いで多和田葉子氏の世界に取り込まれる感覚。 『犬婿入り』は民話をインスパイアとした寓話的な物語であり、道子と太郎の不思議な関係と、軟体のような人物軸、そして狐に化かされたように何事もなかったように消失。魅力の説明は難しいが惹き込まれる。 『ペルソナ』はアイデンティティの喪失と発見といえよう。海外経験の長い著者と、言語や文化への完成が極めて強い著者ならではの作品。
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「ペルソナ」 日本に生まれて日本で生活し、日本語で育ち日本語で生活していては感じることが難しい感覚を味あわせてくれます。ドイツの都市で留学生として生活する主人公の道子の視点で、ドイツでの文化的差異における差別や、日本を離れて自国の文化や言葉とのつながりが途絶えている状態の内面が描...
「ペルソナ」 日本に生まれて日本で生活し、日本語で育ち日本語で生活していては感じることが難しい感覚を味あわせてくれます。ドイツの都市で留学生として生活する主人公の道子の視点で、ドイツでの文化的差異における差別や、日本を離れて自国の文化や言葉とのつながりが途絶えている状態の内面が描かれていると思いました。 不安感や焦燥感を感じながら落ち着かない気持ちで読んでいました。 「犬婿入り」 犬婿入りの話は昔話として日本だけではなく、アジアのいろいろな地域でいろいろな形で広がっているそうで、そういった話をモチーフに作者独自の話が紡がれていきます。 多摩川べりの町の学習塾の先生みつこと犬男との奇妙な生活は現実離れしていますが、振興住宅団地の人々の生きる現実と、違和感なく融合していて、不思議な気持ちになりました。
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生徒がビブリオバトルで紹介したいという本で、発表に先んじて読んでみましたが、私には面白さが上手く理解できませんでした。 表題作の「犬婿入り」も、併録されている「ペルソナ」も、主人公が「何を考えているのか」は描かれていても、それがどういうことなのか(=何を表現しようとしているのか...
生徒がビブリオバトルで紹介したいという本で、発表に先んじて読んでみましたが、私には面白さが上手く理解できませんでした。 表題作の「犬婿入り」も、併録されている「ペルソナ」も、主人公が「何を考えているのか」は描かれていても、それがどういうことなのか(=何を表現しようとしているのか)がうまくつかみ切れず、ストーリーが目を滑って行ってしまったように思います。 いずれの作品も1992年に発表された作品ですから、描かれている時代風景が現代社会とは合わなくなってきた(=読者が共感しづらくなってきた)ということもあるのかもしれません。
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学習塾の独身女性の元へ太郎という犬男が現れ、奇妙な共同生活が始まる「犬婿入り」。 ドイツ留学中の女性が味わう差別や偏見、攻撃によりアイデンティティをを失う「ペルソナ」。 異質なものに対して、意図的にではなく無意識に排除してしまうこともあるから厄介だ。そもそも異質と同質の境はどこに...
学習塾の独身女性の元へ太郎という犬男が現れ、奇妙な共同生活が始まる「犬婿入り」。 ドイツ留学中の女性が味わう差別や偏見、攻撃によりアイデンティティをを失う「ペルソナ」。 異質なものに対して、意図的にではなく無意識に排除してしまうこともあるから厄介だ。そもそも異質と同質の境はどこにあるのか?作品から抱いたモヤモヤをうまく言語化できないのがもどかしい。
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「ペルソナ」と「犬の婿入り」の2つの短編で構成されている。結果、結論がよく分からない作品。 自分には全く合わなかった。芥川賞受賞作品。 凡人にはわからない。
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新感覚の小説だなと感じました。 「ペルソナ」は、ドイツに住む日本人の道子が 人種による偏見に苛まれて、様々な国の人たちに出会い、それぞれの国でも、偏見があると知りながら、東アジアで一括りにされることに嫌悪感を 抱く弟の和男との共同生活にも、違和感を感じていく、著者自身が、ドイツ...
新感覚の小説だなと感じました。 「ペルソナ」は、ドイツに住む日本人の道子が 人種による偏見に苛まれて、様々な国の人たちに出会い、それぞれの国でも、偏見があると知りながら、東アジアで一括りにされることに嫌悪感を 抱く弟の和男との共同生活にも、違和感を感じていく、著者自身が、ドイツに住んでいることからも、自身が体験したことも反映されていると思います。 「犬婿入り」は、ある塾を中心に繰り広げられる不思議なストーリーでした。言葉が一つ一つ胸に響いてきますね。太郎の奇妙さも際立ちます。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
⚫︎受け取ったメッセージ 混ざり合い、影響しあう人間と文化 ⚫︎あらすじ(本概要より転載) 多摩川べりのありふれた町の学習塾は“キタナラ塾”の愛称で子供たちに人気だ。北村みつこ先生が「犬婿入り」の話をしていたら本当に〈犬男〉の太郎さんが押しかけてきて奇妙な2人の生活が始まった。都市の中に隠された民話的世界を新しい視点でとらえた芥川賞受賞の表題作と「ペルソナ」の2編を収録。 ⚫︎感想 「犬婿入り」 全てのものに境界線がない世界観。民話風な雰囲気で現在と過去、現実と虚構、動物と人間、父と娘、妻と夫、先生と生徒、男と女、清濁、といった境界全てを曖昧にしてひとつの世界を作っている。非常に不思議なお話。排泄物の話や鼻くそノートなんてものも出てくる。これも自分のもののようで自分から離れて、でも自分のものなのか?という象徴か。すべての登場人物が普通のようで普通でなく、すべて「生き物」として描いている。 「ペルソナ(能面)」 ドイツに住む日本人である主人公が、言葉が違う国で暮らすことで「日本人」としては認識されず、「東アジア人」として曖昧に認識され、曖昧な状態におかれる。日本らしさを象徴する能面を被って街へ出るが、もはやそれは主人公とは認識されない。 最近の多和田さんのインタビュー記事を読み、著者はこの「間合い」の世界を捉え、作品にしていると知った。この作品は主人公の苦しみが中心だが、多和田さんはその間合いを好ましく捉えて執筆している。 「純粋にたった一つの文化から生まれる言語があるとは思いません。言語は常に混ざり合い、他の文化や言語の影響を受け合っています。」というインタビュー記事から、このこと自体をテーマとして物語が創出されているのが多和田作品なのだとわかった。
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『ペルソナ』も『犬婿入り』も面白かった。 多和田葉子さん自体、初めてだったけれどとても読みやすくあっという間に読んでしまった。 あれは何かを意味していてとか、あれはそういうことで等、難しい解釈は分からない。 ただ私が読んでいて好きだなぁと思ったのは、ペルソナにしても犬婿入りにし...
『ペルソナ』も『犬婿入り』も面白かった。 多和田葉子さん自体、初めてだったけれどとても読みやすくあっという間に読んでしまった。 あれは何かを意味していてとか、あれはそういうことで等、難しい解釈は分からない。 ただ私が読んでいて好きだなぁと思ったのは、ペルソナにしても犬婿入りにしても主人公の女性が周りで起こっている変な事の割に、妙に現実的な考え方や過ごし方をしているところだ。 周りが全部おかしくて、主人公だけが現実のような。不思議の国のアリスのようなところが初心者読者の私も取り残されず楽しめた。
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「ペルソナ」と「犬婿入り」の2作品で「犬婿入り」の方が好きだった。 2作ともギリギリのギリギリで破綻しない奇妙な状況や雰囲気が終始続いて、最後には堰を切ったように破局を迎える。その感じがすごく良かった。特に犬婿入りの方はホラーみたいな不気味さがあるけど奇妙さに親しみの持てる感...
「ペルソナ」と「犬婿入り」の2作品で「犬婿入り」の方が好きだった。 2作ともギリギリのギリギリで破綻しない奇妙な状況や雰囲気が終始続いて、最後には堰を切ったように破局を迎える。その感じがすごく良かった。特に犬婿入りの方はホラーみたいな不気味さがあるけど奇妙さに親しみの持てる感じが良かった。
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