得体の知れない読後感に襲われる“奇書”。
「わかっているのに読みたくなる……」そんな奇書中毒のみなさまへ、おすすめの本をまとめました。
「日本三大奇書」とは……「ドグラ・マグラ」夢野久作(著)、「黒死館殺人事件」小栗虫太郎(著)、「虚無への供物」中井英夫(著)
あまりの複雑さや難解さから、読了が難しいと言われている3作品。まだ読んだことのない方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
夢野久作「ドグラ・マグラ」
「読了した者は、一度は精神に異常を来たす」と評される作品。構想・執筆に10年以上の歳月をかけられた「ドグラ・マグラ」は、約80年を経た今でも、多くの人に支持されています。
主人公の「わたし」は、窓に鉄格子が嵌められた部屋で目を覚ます。そこで、若林博士に、「わたし」は「狂人の開放治療」という精神病理学上の一大理論を証明する実験の被験者なのだと教えられる……。
小栗虫太郎「黒死館殺人事件」
「最初の2行でほとんどの人が挫折する」。衒学趣味(ペダンチズム)=専門的知識がふんだんに盛り込まれており、三大奇書の中でももっとも難解とされています。
中井英夫「虚無への供物」
三大奇書の中ではユーモアにあふれ、比較的読みやすい作品となっている本書。3作すべて読もうと思っている方、「ドグラ・マグラ」と「黒死館殺人事件」を断念した方はぜひチャレンジを。
かつては宝石商として財をなした氷沼家では、親族内で立て続けに不審死が起きていた。そんななか、親族の暮らす老人ホームでも火災が発生してしまうが、遺体の数が1つ多い。一体その遺体の正体とは――。
奇書といえばハズすことのできない「江戸川乱歩」「夢野久作」「竹本健治」と、奇妙な幻想のような独特な世界をもつ「津原泰水」、『伊豆の踊子』や『雪国』からは想像のつかない「川端康成」のおすすめ作をピックアップ!
江戸川乱歩
人間の醜い欲望や隠し持った性癖を抉りだすような凄みのある傑作ばかり。特に「人間椅子」の変態性、「芋虫」のグロテスクさには息を飲むほどエグい。それでも下品さは感じさせない不思議な魅力があり、卓越した人間描写と高い文学性を感じる。(Posted by ブクログ)
おどろおどろしい雰囲気は作者ならでは。ミステリーではあるが人間らしい残忍な部分、恥部を浮き彫りにしており、精神的にじわじわきます。(Posted by ブクログ)
圧倒的な筆力によってつくりだされる生々しいまでの空気感。(Posted by ブクログ)
ページを捲る度に訪れる背筋がぞくりとする恐怖感と言葉では表しにくい高揚感が読み手を支配するだろう。(Posted by ブクログ)
人間の醜さ、恐ろしさを感じる小説だった。(Posted by ブクログ)
乱歩の作品は男女の書き方も好きなものが多いです。「ユートピア」に憑かれた男の情熱と狂気、そして血みどろの散華とも言える最期。(Posted by ブクログ)
最後の主人公の死に様が悪趣味すぎてすごい。さすが。(Posted by ブクログ)
夢野久作
少女というものは残酷である。本のタイトルにふさわしい短編集です。(Posted by ブクログ)
夢野作品の底知れない気味の悪さや猟奇さ、だけどそこらにちりばめられた愉快な感じが堪らない。あのリズム感や語呂の良さは癖になる…!(Posted by ブクログ)
狂気と美しさと悲壮の入り混じったあの表現は夢野にしかできないと思いました。夢野久作作品では比較的読みやすい物になっていると思います。(Posted by ブクログ)
夢野氏は凡人が手を出してはいけない小説家なのじゃないかと思っていた。元気のあるときに読まないと物語世界に引きずり込まれそうだ。(Posted by ブクログ)
タイトル通りのグロイ世界。でも、どこか不思議な雰囲気は夢野久作らしいです。(Posted by ブクログ)
ただ、この本を読み始めてから夢見が悪いというか変な夢をよく見るようにはなった(笑)(Posted by ブクログ)
猟奇をテーマにした詩集。(中略)どの詩からも、映像がまざまざと浮かんでくるんです。(Posted by ブクログ)
確かに誰しも心の奥底にこういったドロドロがあると思うが、ここまでくるとちょっと特殊な思考である気がする(((゜Д゜;))) ガクガク(Posted by ブクログ)
竹本健治
四大奇書と呼ばれる一冊。(中略)読み応えがあって楽しめた。小説の中に入れ子式になっている小説で、妄想、空想、蘊蓄が混沌。(中略)現実?ここにいる自分とはというのも、ふと捉えどころのない一個体に思えてくる。(Posted by ブクログ)
読んでいるうちに現実と虚構の区別がつかなくなってきます。(Posted by 文庫OFF)
竹本氏の代表作といえるウロボロスシリーズの第1弾。一言で言えば、変な作品です。(Posted by 文庫OFF)
元産婦人科医院を改装した「樹影荘」というアパートを舞台にした作品である。そこに住む男女はどこか歪んでおり、屈折した性格を持っている。そんな彼らに起こる奇怪な出来事。(中略)住人たちも疑心暗鬼に捉われ、お互いを疑い出す。やがて住民の1人が首吊自殺を遂げる。それがカタストロフィの始まりだった。(Posted by ブクログ)
膨大な知識量に圧倒された。過去の実在の人物だという黒岩涙香も凄いが、現代の竹本氏もまた凄い。天才っているんだなと。(Posted by ブクログ)
超絶技巧暗号ミステリ。殺人事件が完全に添え物のよう。「入神」で感じた、そこまで凝るか、という作りはさらに進化していた。(Posted by ブクログ)
津原泰水
さめない悪夢の中にほうりこまれたような気持ちになる、珠玉の短編集。(中略)『五色の舟』は陰鬱でグロテスクなのに美しい物語です。(Posted by ブクログ)
突然世界の真ん中に落とされるような始まり方と、余韻の残る終わり方が素敵。(Posted by ブクログ)
主人公・猿渡と小説家の伯爵が遭遇する怪奇現象の数々。短編集でどのお話も強い印象を残しますが、特に「猫背の女」が…。(Posted by 文庫OFF)
怖い、気持ち悪い。でもこれは、ただのホラーの連作じゃない。1冊読み通して気付く、人の心の中の怪異。(Posted by ブクログ)
気持ち悪い。面白い。気持ち悪い。の繰り返し。文章も読みにくいし、どこからが現実でどこからが妄想かわからなくなる。(中略)気持ち悪さも最後まで読ます要素のひとつかも知れないが、まー気持ち悪い。(Posted by ブクログ)
川端康成
川端作品らしく艶っぽくもあり、むなしさもありという作品で、戦後の社会を実感できると思う。(中略)三島由紀夫が解説を書いているところもなかなか面白かった。(Posted by ブクログ)
戦後の雰囲気ゆえか、閉塞感や無力感が感じられる物語だった。(Posted by ブクログ)
片思いをしていた妻の姉の面影を息子の嫁に重ね合わせる老人の物語。(Posted by 文庫OFF)
不倫・堕胎等の描写があってもぐんぐん読めるのは、川端康成の文章や世界が美しいからなのだろうか。(Posted by ブクログ)
ストーカーという言葉が世間に定着するはるか前に書かれたストーカーの物語。意識の流れと現実のストーリーが交錯する幻想的な作品です。(Posted by 文庫OFF)
川端康成の作品でストーカーの話というインパクトに惹かれて読んだ。(中略)ストーカーする男性の悦びだけでなく、ストーカーされる女性側の奇妙な快感描写が衝撃的だった。(Posted by ブクログ)
眠れる美女の傍らで、観念的な死と戯れる老人達。非人間主義に貫かれた傑作です。(Posted by 文庫OFF)
妖しくも美しい3篇の物語。ひたすらに耽美的。読むときの心理状態に応じてロマンチックにも不気味にも感じられそうな本です。(Posted by 文庫OFF)
奇書と言われるものから、奇書好きにおすすめしたい怪奇な小説を集めました。