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極楽征夷大将軍
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2023/05/11 |
JAN | 9784163916958 |
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商品レビュー
3.9
172件のお客様レビュー
久しぶりに歴史小説を読んだ。期待以上に面白く、550ページは何の苦も無く読破できた。戦国時代は小学生のころから好きなのだが、室町幕府が生まれた経緯は日本史の授業の範囲にとどまりあまり関心がなかった。群雄割拠の時代の種は室町幕府の成立時点からまかれていたのだと思うと感慨深く、歴史も...
久しぶりに歴史小説を読んだ。期待以上に面白く、550ページは何の苦も無く読破できた。戦国時代は小学生のころから好きなのだが、室町幕府が生まれた経緯は日本史の授業の範囲にとどまりあまり関心がなかった。群雄割拠の時代の種は室町幕府の成立時点からまかれていたのだと思うと感慨深く、歴史ものを、しかも小説で読む醍醐味を改めて痛感した。 そもそも日本史の教科書で足利尊氏の弟(直義)の名前は出てこない。いわんや足利家を支えた高師直をや。後醍醐天皇、楠木正成、新田義貞は出てくるのに。この本を読めば、鎌倉末期、南北朝、室町初期にも戦国時代に劣らぬ強烈なキャラクターが登場していることがよくわかり、さらに知りたくなる。 構成もとてもよかった。源氏の流れをくみ、正統性という点では鎌倉幕府の執権・北条氏よりまさるとも言える足利家。傍流で生まれた兄弟が由比ヶ浜で戯れるシーンは冒頭にあるが、結局はこの由比ヶ浜での二人が京都や箱根、九州などに場面を移して、押したり引いたりしている。兄弟の思いなど知らず、周囲が期待し、敵対し、敵味方が入れ替わりながら時は進んでいく。 極楽とんぼのようであり、波のごとく漂うが、ときにカリスマ的な力を発揮する尊氏(高氏)。極めて優秀で実直で、幕府を実質的に切り盛りしていた直義。あらゆる場面でバランサーとして足利家のために尽くし、直義とともに幕府を支えた師直。直義と師直というお互いを認める二人がいたがゆえに室町幕府は成立したが、やがて関係は冷え込み対立し、まず師直が消える。そして直義も兄と対立し、やがて死を迎える。最後は由比ヶ浜のシーンに戻って来る。 あれだけ個性的なキャラクタがー乱立した時代で「やる気なし、使命感なし、執着なし」の尊氏がいたことの奇跡よ。最後は「独り立ち」した尊氏に鎌倉幕府を倒したときから付き従った者はほとんどおらず悲しいエンディングにも思えるが、読後感はなぜか清々しかった。田楽で遊び過ぎを諌められ回数を減らすと誓った尊氏の言葉はこうある。「田楽に限らず、すべて世は、過ぎてみれば夢のようなものだろう。」 こういう関係は現代にもあるのだろう。類型化したら有用だし、仮に自分が巻き込まれても達観できると感じた。
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長い、とーても長い。そしてくどい。心理描写はうまく引き込まれるところもあった、けど司馬遼的な歴史解説は要らない。戦闘描写もなく淡々と物事が進んでいき単調。直義と師直の視点が交差していてどっちかどっちかわからなくなる。武将名も無闇矢鱈に登場して混乱します。結果として、足利尊氏をか描...
長い、とーても長い。そしてくどい。心理描写はうまく引き込まれるところもあった、けど司馬遼的な歴史解説は要らない。戦闘描写もなく淡々と物事が進んでいき単調。直義と師直の視点が交差していてどっちかどっちかわからなくなる。武将名も無闇矢鱈に登場して混乱します。結果として、足利尊氏をか描くことには成功していない。とはいえ、垣根涼介の本を初めて読みましたが、独自の視点で描いていて、今後が期待できる作家だと思いました。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
私にとって南北朝時代という混沌極まる時代は、複雑でかつて日本史の授業でも印象の薄い時代であった。 足利尊氏を軸に足利直義と高師直が、それぞれの立場から見える場面を描いている。創作物では直義と師直はお互いが憎しみあっていたように描かれていることも多いが、こちらではそれぞれの環境や臣下達によって対立に追い込まれたように思われた。 読んでいる途中からなんだかもう、直義も師直も立場にがんじらめになってすれ違っていく様が辛かった。尊氏は、本編中ぽやぽやの極楽殿なのだが、直義のピンチ時のみ突如として入るホラー演出とともに神がかり的な強さを見せる。読んでいて、なんなんだお前というツッコミが止まらない。正直、私なら上司には絶対にしたくないタイプである。 読了後は、尊氏が全ての元凶、早くやる気出せよという気持ちでいっぱいになった。 あの尊氏の直義の死後の描写がないのがとにかく不気味で、誰よりも大切に思っていた弟の死後彼はどうしたのか。側から見ると、直義や師直がいなくなってからの方が、優秀なリーダーに見えていたのでは?と、やるせない気持ちになる。 とはいえ、本編中の様子からおそらく一人の人間から世間様になってしまったんだろうなと推測できる。少なくとも尊氏本人にとっては、ただ生きてるだけの様な状態だったのではないか。 非常に長いお話ではあったが、なんだかんだ読めてしまった。様々な人物が出てくるが、個性豊かで魅力的な人も多く、南北朝時代自体に興味が湧いてきた。本編中の主要人物の呼び名が様々に変わるのと、読み方が悩むこともあったのでそこはメモを取るなりして読むとスムーズに読めるかと思います。
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