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夏日狂想
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夏日狂想

窪美澄(著者)

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夏日狂想

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 新潮社
発売年月日 2022/09/29
JAN 9784103259268

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商品レビュー

3.8

32件のお客様レビュー

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2024/09/10

中原中也の詩に誘われるように読み始めた。明治の終わりに生まれ、大正、昭和と激動の時代を駆け抜けた野中礼子(長谷川泰子)が主人公。3頁にわたる文献を参考に執筆した著者の熱量が痛いほど伝わってきた。 詩人ランボーを愛した水本(中原中也) 水本と片岡(小林秀雄)二人の男に愛された礼子...

中原中也の詩に誘われるように読み始めた。明治の終わりに生まれ、大正、昭和と激動の時代を駆け抜けた野中礼子(長谷川泰子)が主人公。3頁にわたる文献を参考に執筆した著者の熱量が痛いほど伝わってきた。 詩人ランボーを愛した水本(中原中也) 水本と片岡(小林秀雄)二人の男に愛された礼子。故郷の広島を捨て、憧れの女優になるため東京、京都、そして再び東京へと…自由に恋をして夢を追いかけるはずが、男の世界では女の地位は低く、自ら発言する場所もない! 「いつしか男たちの夢を自分の夢にすり替えるような女になってしまった」と礼子が言うように、女が一人で生きることがいかに難しい時代だったか! 連日の空襲警報。東京の空を飛ぶB29に向かって「戦争の馬鹿野郎!」と叫ぶ礼子たち女の声が聞こえた気がした。 原爆から一年後、変わり果てた広島で出会った少女のために礼子は自分が見たことを書きたい、皆に読んで貰いたいとやっと文士の道を歩む決意をする。目指すものが見つかると、人は女はこんなにも強くなれるのか! ラストまでスピードが落ちることもなく詩人、中也のあの詩を礼子が唱えるあたりから涙、涙・・ そう、夏の真昼の暑い時、彼女は…

Posted by ブクログ

2024/09/05

明治37年広島市生まれ、種苗問屋のひとり娘礼子の物語。 自他共に認める器量よしで、文才もある彼女が夢見たのは女優になること。目的を達するために、文筆家の男性と暮らしては、離れていく。現実の生活が重くのしかかるなか、恋愛に生きる彼女の日々の前半は、正直あまり興味が持てなかった。 ...

明治37年広島市生まれ、種苗問屋のひとり娘礼子の物語。 自他共に認める器量よしで、文才もある彼女が夢見たのは女優になること。目的を達するために、文筆家の男性と暮らしては、離れていく。現実の生活が重くのしかかるなか、恋愛に生きる彼女の日々の前半は、正直あまり興味が持てなかった。 後半、昭和に入り文筆活動を始めた頃からの礼子の生き方、考え方に筋が通ったものを感じてきた。戦時中、共に辛酸をなめた橘との日々は過酷だが、お互いに支え合う同志として、いい関係だなと思った。自分の思いを心に秘めて、生き残るために時代に合った女性を演じた彼女の心意気は、数々の経験がなせる技のように思えた。また、礼子の目線からみた戦争に、悲惨さとやりきれなさを感じた。 戦後、彼女は信念をもって、書くことを続けていく。エンディングは、礼子の気持ちに寄り添えて、これでよかったような気がした。 明治、大正、昭和と生き抜いてきた1人の女性の物語は、読みごたえがあった。読後、始めに書かれていた中原中也の「春日狂想」の全文を読んでみた。心に染み渡ってきた。

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2024/03/21

明治大正昭和を生きた女性のお話。 この時代の女性がここまで強い意志を持って生きたことは きっと現代の私たちが想像する以上。 広島の原爆ドームが陳列物産館だった頃の話は貴重だった。 中原中也のイメージがガラッと変わった。笑 ”髪を編んだり装飾具を身につけたり着飾ったりしてうわべだ...

明治大正昭和を生きた女性のお話。 この時代の女性がここまで強い意志を持って生きたことは きっと現代の私たちが想像する以上。 広島の原爆ドームが陳列物産館だった頃の話は貴重だった。 中原中也のイメージがガラッと変わった。笑 ”髪を編んだり装飾具を身につけたり着飾ったりしてうわべだけの人になるのではなく、思いやりのある柔和で平穏な人になりなさい” ”じっと待つんよ。気が熟すのをじっと待つんよ” ”生きているうちは生きたいように生きれば、ただそれだけでいいのさ”

Posted by ブクログ