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チャヴ 弱者を敵視する社会
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 海と月社 |
発売年月日 | 2017/07/20 |
JAN | 9784903212609 |
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チャヴ
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イギリスの労働者階級が敬意を払われなくなったことについて書いた本。「チャヴ」とは、白人労働者階級に対する蔑称めいたもの。 いわゆる英国病の一側面として労使紛争の多発があり、サッチャリズムは労働組合活動を制限する方向に舵を切った。国営企業の民営化などで失業者が増えたこともあり、労...
イギリスの労働者階級が敬意を払われなくなったことについて書いた本。「チャヴ」とは、白人労働者階級に対する蔑称めいたもの。 いわゆる英国病の一側面として労使紛争の多発があり、サッチャリズムは労働組合活動を制限する方向に舵を切った。国営企業の民営化などで失業者が増えたこともあり、労組の力は衰えた。 国際競争力のない産業に対する政府補助を減らして社会保障も削減したので、労働者階級そのものが弱体化することとなった。 労働者階級を弱体化するのはサッチャーの意図的なものであり(保守党政権は労組に苦しめられていた)、本書の表現で言えば「上からの階級闘争」である。 したがって、本来の意味での(下からの)階級闘争によって対抗するということもあり得たのだろうが、それを抑制する機能を果たしているのが「チャヴ」なのだろう。 ・ズルして社会保障をもらっているやつがいる。 ・仕事もしないでブラブラして子供ばっかりつくっている。 ・頑張れば中流階級になれることもあるのに、怠けて不平ばかり言っている。 のような非難をし、そのレッテルとして「チャブ」という語がある。労働者階級全体のイメージを貶め、また労働者階級の中で批判し合う風潮を作ることにも資するレッテルだ。 このあたり、本書ではそんなことは書いていないが、「大英帝国お得意の分割統治策を自国民にも使うのか」と私は思った。 そうしたことに加担しているのは保守党支持者だけでなく、マスメディア(労働者階級の出身者は少ない)もだし、本書が強く唱えているのは「ニューレイバー」だ。 本来なら労働者階級の代表であるはずの労働党が、トニー・ブレアに代表される「ニューレイバー」達が主流として政権奪還したものの、労働者階級への非難を食い止めることなく黙認したような格好になっているという。 労働党は「労働者が支持するのはわれら労働党」という意識が少なからずあるようだが、見切りをつける人々もいて極右的な政党が支持を集める原因になっているというのが本書の見立てだ。 大雑把にこんな感じで受け止めたが、これをイギリスだけの話ととらえるのは難しい。 新自由主義と一般化してよいのかはわからないが、少なくとも日本についていえば思い当たることはたくさんある。 たとえば本書の中の次の一節は固有名詞を隠したら「日本のことか?」と思えてしまう。 政府が後援する富裕層の蓄財はどのように正当化されたのか。サッチャー派は「トリクルダウン」について語った。頂上で増えた富があたかも水のようにあふれて、ゆくゆくは最下層まで滴るのだと。だが、そういうことは明らかに起きなかった。そこでサッチャリズムは、失敗した経済政策の犠牲者たちを攻撃しにかかった。彼らが苦しんでいるとしたら、それは自己責任である、と。(83ページ)
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第52回ビブリオバトルinいこまテーマ「ワル」で紹介された本です。チャンプ本。 2017.11.26
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チャヴとは、イギリスでもっぱら労働者階級(特に若年層)を侮辱する言葉。 本書はそのチャブがなぜ生まれたのか、イギリスでどのようなかたちで扱われているのかを政治、経済、文化等の各視点からを考察し、イギリスの闇を深くえぐった内容となっている。 個人的にはBBCのコメディ「リトル・...
チャヴとは、イギリスでもっぱら労働者階級(特に若年層)を侮辱する言葉。 本書はそのチャブがなぜ生まれたのか、イギリスでどのようなかたちで扱われているのかを政治、経済、文化等の各視点からを考察し、イギリスの闇を深くえぐった内容となっている。 個人的にはBBCのコメディ「リトル・ブリテン」に典型的なチャブが登場する(本書でも言及あり)のでイメージがつかめたが、これは他人事ではなく、日本においてもあてはまる内容ではないかと強く感じた次第。 本書ではチャブが生まれた根本原因として、サッチャー首相時代の経済政策の大失敗を挙げているが、いかに政治の失敗が国を危うくするかがあらためて良く分かった。日本も既にイギリスと同じ道をたどり始めているのかも・・・。全ての為政者必読の本。
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