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墨東綺譚 新潮文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 新潮社/新潮社 |
| 発売年月日 | 2011/10/01 |
| JAN | 9784101069067 |
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墨東綺譚
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商品レビュー
3.7
55件のお客様レビュー
きっかけは映画だった…
きっかけは映画だったが、荷風入門には最適の1冊だろう。荷風という生き方の根っこの部分の拘りが伝わってくる。そして装置によって見過ごしがちだが、究極の恋愛物語でもあったりする。
文庫OFF
再読。 昭和初期。私娼窟という迷宮に忍び込んだ老作家が、一人の娼婦と出会い、ただ別離する。 老作家の明治、大正の滅びゆく市井の文化や人の移り変わりを嘆きつつも、一人の娼婦の中に懐かしいものを感じていく。 私は土地勘も乏しく、当然、当時を生きてはいないが、どこかその滅びへの哀愁を...
再読。 昭和初期。私娼窟という迷宮に忍び込んだ老作家が、一人の娼婦と出会い、ただ別離する。 老作家の明治、大正の滅びゆく市井の文化や人の移り変わりを嘆きつつも、一人の娼婦の中に懐かしいものを感じていく。 私は土地勘も乏しく、当然、当時を生きてはいないが、どこかその滅びへの哀愁を感じながら、全く知らない迷宮の中に引き摺り込まれる。 今で言えばただの老作家がトー横通いして、などと味気ない話になるだろうが、街や自然描写の精緻さや、滅びゆく美しさに興を覚える。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
随筆風の展開や、主人公の名前が「大江匡」ということもあってか、小説なのだけれどもドキュメンタリーを見ているような、映像を呼び起こさせる臨場感のある文章が独特で、それは関東大震災の頃までは逢うことができた、『東京の下町の風俗をそのまま崩さずに残している』世界が、次第と消えていくことへの虚しさを感じながらも探し続けたい、そんな自己確立への拘りの思いが、変わりゆく時代の流れに抗う様と共に印象に残る。 大江が構想中の小説の内容と、本書の物語が相互に関わり合うような展開も新鮮な中、メインストーリーとなる娼婦「お雪」との出会いの場面は、雷も閃く突然の夕立の中、常に準備万端で傘を備えていた大江の元にお雪が「檀那、入れてってよ」と声をかける、そんな狙ったかのような劇的さに、やはり小説かと一瞬思いが過りながらも、この後の展開を知ると、どうにもこうにも煮え切らない様子で、これが如何にも現実とはこういうものだという諦観ぶりを思い知らせてくれるようで切ない。 そこには大江自身の正直な思いをひた隠しにしてきたことによる、お雪への申し訳なさがありながらも、それならば正直に言えばいいのではと思うところを、それができないことには、どうも前者と矛盾しているかのような心中である点にリアルな人間らしさを感じられて、しかも自分で決め付けているかのようなネガティブな観点によることから、その出来事を『綺譚』としている点にも、そこから先は作中で構想中の小説のようには行かないんだなと、この自ら線引きしている感じがまた何とも煮え切らないというか、ただ、このような相手を交えずに自分の心の中だけで全てを決め付けてしまう哀しき葛藤には、人間の奥ゆかしさといった美点もあるだけに、日本文学としてはこの煮え切らなさにこそ、しみじみとした情趣を感じられるのかもしれない。
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