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恥辱 ハヤカワepi文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 早川書房/早川書房 |
| 発売年月日 | 2007/07/15 |
| JAN | 9784151200427 |
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恥辱
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商品レビュー
4
72件のお客様レビュー
社会的に地位がある人の転落に次ぐ転落と複雑な親子関係を描いた作品。酷い目に遭いながらも、現実路線でそれでも生きていくことの大変さ。選択の難しさ。罪と罰、そして恥のあり方。こういったことをテーマにしながら南アフリカに残る白人と黒人の微妙な空気感までを浮かび上がらせる。文体は簡潔でリ...
社会的に地位がある人の転落に次ぐ転落と複雑な親子関係を描いた作品。酷い目に遭いながらも、現実路線でそれでも生きていくことの大変さ。選択の難しさ。罪と罰、そして恥のあり方。こういったことをテーマにしながら南アフリカに残る白人と黒人の微妙な空気感までを浮かび上がらせる。文体は簡潔でリズム良く話が進む。非常に良かったです。
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これすごい本かも。「恥辱」のレベルが二段階どころか三段階くらいに分けられていて、原始的共同体や女性の受動性の無条件の肯定さえも許さぬような気迫を感じた。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
作者は、南アフリカ生まれの白人。この作品で、2度目のブッカー賞を受賞。 前に読んだ『絵葉書きにされた少年』で、クッツェーの作品が何度か引用されていたので、興味を持って読んでみた。 読んでみると、話は重い。南アの社会的問題に直面させされる。 アパルトヘイトが終わり、民主化の道を開いたマンデラ政権。様々な人種が共存できる「虹の国」として新しい出発をきった南アだったが、長年抑圧されてきた黒人と白人の共存はむろん一朝一夕で実現できるものではない。犯罪率が急増し、白人への強奪、レイプなどが日常茶飯事となり、南アを去る白人も増えた。 話の展開は、一人の大学教授が、ある時女子学生と親密な中になり、それがきっかけで大学を追われ、南アの田舎で農園を営みながら一人で暮らしている娘のところへ身を寄せる。そこで、親子を襲った事件。娘は3人の黒人からレイプされ、父親は怪我を負う。父親は娘のルーシーにこの田舎の一人暮らしを辞めるように、再三説得するが、ルーシーはその家を出て行かないばかりか、レイプされたという事実を警察に告発もしない。父親は娘を理解できず、娘は説明をしない。 レイプされたという事実を認めたくない、公にされたくないという理由で警察に訴えでない女性は多いと思う。ルーシーもそのような女性かと思っていたが、彼女には決意と覚悟があったのだ。 「いま、農園を去ったら、負けたまま終わってしまう。その敗北感を死ぬまで味わうことになる」と。彼女は、この地に根を張り、暮らしていくことを決めていたのだ。だから、「自分の身におきたことは、まったくもって個人の問題だからよ。べつな時、べつな場所では、社会問題とみなされるかもしれない。でも、この土地、この時代では、違う。これはわたしの問題、わたしだけの問題なの」と言う。 南アで起きている社会的問題が個人の身に降りかかってきたとき、どう対処するか。黒人を憎むのか、社会問題に対処できない政権を批判するのか、それとも、まったくもって個人の問題として捉えるのか。 ルーシーはこの時代に、この国で生きていくのがどのようなことなのか、それを教えてくれる。 小説の最終場面は、衝撃的ともいえる事実が明らかにされるが、それさえも冷静に受け止め、自分がこの地で生きていくにはどうしたらいいのかを彼女は考える。決してその地から離れようとはしない。なぜならそこは、近隣の黒人の人々と同様、彼女の住む土地であり、他に行くところはないと考えているから。 そこには、私が考えていた南アに住む白人とは違った像が描かれていた。そのことに少なからず衝撃を覚えた。 いわゆる「黒人政権」になって10年以上も経過した南アフリカだが、「虹の国」と称えられるのはいつのことになるだろう。
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