恥辱 の商品レビュー
登場人物達にさっぱり共感できなかったけれど、心情は理解できた。そして理解できた自分が嫌だった。 飼い慣らすことのできない自分の中の欲とか、ついはってしまう自分を追い詰めるだけの意地とか、なんだか身につまされて嫌な気持ちになった。 娘と父親の、性別なのか年代なのかそれとも関係性のせ...
登場人物達にさっぱり共感できなかったけれど、心情は理解できた。そして理解できた自分が嫌だった。 飼い慣らすことのできない自分の中の欲とか、ついはってしまう自分を追い詰めるだけの意地とか、なんだか身につまされて嫌な気持ちになった。 娘と父親の、性別なのか年代なのかそれとも関係性のせいなのか、埋まることのない溝も、次々襲いかかってくる不幸な出来事も妙にリアリティーがあった。 全然好きにはなれない嫌な話だったけれど、自分の中でいつまでも残っているし、これからいろんな本を読んでも、異物のような感じでいつまでも心に残っていそうな本。
Posted by
犬の眼差し 文が強く鋭い。主人公である50代男の現実的な視線をよく表現している。南アフリカは社会面でも自然面でも日本と違う土地だが、見える風景に対する毒づき方にはいちいち共感した。彼は西欧文学に通じる大学教授。西欧白人社会の偽善にうんざりしていて、口からは皮肉しか出てこない。そ...
犬の眼差し 文が強く鋭い。主人公である50代男の現実的な視線をよく表現している。南アフリカは社会面でも自然面でも日本と違う土地だが、見える風景に対する毒づき方にはいちいち共感した。彼は西欧文学に通じる大学教授。西欧白人社会の偽善にうんざりしていて、口からは皮肉しか出てこない。その南アフリカは、ケープタウンから少し郊外に行くだけで、そうした偽善の裏側にある野生的で危険で不条理な社会がある。彼は学内のセクハラで訴えられ、追われるように娘の住む郊外に行くが、娘を食い物にして消化しようとしているその不条理な社会にも憎しみの目を向ける。鋭い社会批判小説だが、その視点は白人社会にも黒人社会にも置かれず、犬の眼差しのようだと感じた。
Posted by
南アフリカを巡る政治的社会的背景にあまりに無知かつ、詩とか興味も知識もなさすぎて読み進めるのしんどかった 主人公の反抗期的な頑固さが面白い あっさりと判断を下され裁かれるのではなく、自分がした行為を彼らなりの解釈と彼らが期待する感情込みで陳述することを求められて、ショーとして消...
南アフリカを巡る政治的社会的背景にあまりに無知かつ、詩とか興味も知識もなさすぎて読み進めるのしんどかった 主人公の反抗期的な頑固さが面白い あっさりと判断を下され裁かれるのではなく、自分がした行為を彼らなりの解釈と彼らが期待する感情込みで陳述することを求められて、ショーとして消費されるのが嫌だったんだな 一方で、娘には自分の望む形で被害を語って欲しがるから大矛盾。それも人間味がある 性被害についてルーシーが語らないのは自分の問題だからであって、主人公が考えるように、言わずに耐えることで過去の過ちを償いたいとか救済を得たいとかそんな抽象観念的な思考によるものではない 支配非支配関係が混沌としている中で、見方によっては黒人たちから向けられる憎悪や支配に組み敷かれるような形ともとれるが、ルーシーはなんとか生存方法を模索していた 力関係が確かに存在するように思える関係(動物と人間に対する主人公の考え方のように、別の生物種なだけかもしれない)において、その背景に残忍な思いが潜んでいるかもしれない ただ、栄辱などを、互いに理解不能な混沌とした関係性において定義しようとしても、同じ背景や前提で生きていないから無駄な議論なのだろうな 目の前の状況に対してただ対処をしていくだけ 動物に栄辱という概念があるかすらわからない中で動物の最期の姿を気遣う。仲間内で死を悼み合う習慣のないであろう生き物の死を悼む。そんなただ自分の頑固なこだわりとしか形容し難い営み。 そこにやはり普遍的な理解には至らない愛のような何かが存在するのか。 逆に言えば、愛のように見えるものはただのこだわりや執着、「ただやめられないもの」でしかないのかも こちらの方が考え方としては肌に馴染む 詩がくどくて文学苦手だから、きつかった
Posted by
社会的に地位がある人の転落に次ぐ転落と複雑な親子関係を描いた作品。酷い目に遭いながらも、現実路線でそれでも生きていくことの大変さ。選択の難しさ。罪と罰、そして恥のあり方。こういったことをテーマにしながら南アフリカに残る白人と黒人の微妙な空気感までを浮かび上がらせる。文体は簡潔でリ...
社会的に地位がある人の転落に次ぐ転落と複雑な親子関係を描いた作品。酷い目に遭いながらも、現実路線でそれでも生きていくことの大変さ。選択の難しさ。罪と罰、そして恥のあり方。こういったことをテーマにしながら南アフリカに残る白人と黒人の微妙な空気感までを浮かび上がらせる。文体は簡潔でリズム良く話が進む。非常に良かったです。
Posted by
これすごい本かも。「恥辱」のレベルが二段階どころか三段階くらいに分けられていて、原始的共同体や女性の受動性の無条件の肯定さえも許さぬような気迫を感じた。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
作者は、南アフリカ生まれの白人。この作品で、2度目のブッカー賞を受賞。 前に読んだ『絵葉書きにされた少年』で、クッツェーの作品が何度か引用されていたので、興味を持って読んでみた。 読んでみると、話は重い。南アの社会的問題に直面させされる。 アパルトヘイトが終わり、民主化の道を開いたマンデラ政権。様々な人種が共存できる「虹の国」として新しい出発をきった南アだったが、長年抑圧されてきた黒人と白人の共存はむろん一朝一夕で実現できるものではない。犯罪率が急増し、白人への強奪、レイプなどが日常茶飯事となり、南アを去る白人も増えた。 話の展開は、一人の大学教授が、ある時女子学生と親密な中になり、それがきっかけで大学を追われ、南アの田舎で農園を営みながら一人で暮らしている娘のところへ身を寄せる。そこで、親子を襲った事件。娘は3人の黒人からレイプされ、父親は怪我を負う。父親は娘のルーシーにこの田舎の一人暮らしを辞めるように、再三説得するが、ルーシーはその家を出て行かないばかりか、レイプされたという事実を警察に告発もしない。父親は娘を理解できず、娘は説明をしない。 レイプされたという事実を認めたくない、公にされたくないという理由で警察に訴えでない女性は多いと思う。ルーシーもそのような女性かと思っていたが、彼女には決意と覚悟があったのだ。 「いま、農園を去ったら、負けたまま終わってしまう。その敗北感を死ぬまで味わうことになる」と。彼女は、この地に根を張り、暮らしていくことを決めていたのだ。だから、「自分の身におきたことは、まったくもって個人の問題だからよ。べつな時、べつな場所では、社会問題とみなされるかもしれない。でも、この土地、この時代では、違う。これはわたしの問題、わたしだけの問題なの」と言う。 南アで起きている社会的問題が個人の身に降りかかってきたとき、どう対処するか。黒人を憎むのか、社会問題に対処できない政権を批判するのか、それとも、まったくもって個人の問題として捉えるのか。 ルーシーはこの時代に、この国で生きていくのがどのようなことなのか、それを教えてくれる。 小説の最終場面は、衝撃的ともいえる事実が明らかにされるが、それさえも冷静に受け止め、自分がこの地で生きていくにはどうしたらいいのかを彼女は考える。決してその地から離れようとはしない。なぜならそこは、近隣の黒人の人々と同様、彼女の住む土地であり、他に行くところはないと考えているから。 そこには、私が考えていた南アに住む白人とは違った像が描かれていた。そのことに少なからず衝撃を覚えた。 いわゆる「黒人政権」になって10年以上も経過した南アフリカだが、「虹の国」と称えられるのはいつのことになるだろう。
Posted by
南アフリカの複雑さと人間心理の複雑さを併せて描いた小説。 私は気になった本をAmazonのお気に入りにリストアップして順に読んでいくんだけど、きっとこの頃はノーベル賞作家をリストアップしてたんだな。
Posted by
ただただ転落していく様を見ることになり、読み終えても心が晴れることはないだろう。僕にはいまいち心に響くことはなかったのは教養が足りないのか。もう少し歳をとって家庭を持ったり、ある程度の社会的地位を獲得した時に読むと感動は変わってくるのかもしれない。
Posted by
1章からのデヴィッドと大学との話はわかりやすく読めたが、その後、南アフリカのポストアパルトヘイト、セクシュアリティの意識、詩の引用からの警句、動物愛護の提起などいろんな要素があり、ハイコンテクストな印象だった。「格率」に固執するデヴィッドの生き方はなんだかおかしくも感じられた。「...
1章からのデヴィッドと大学との話はわかりやすく読めたが、その後、南アフリカのポストアパルトヘイト、セクシュアリティの意識、詩の引用からの警句、動物愛護の提起などいろんな要素があり、ハイコンテクストな印象だった。「格率」に固執するデヴィッドの生き方はなんだかおかしくも感じられた。「犬のように」とは?
Posted by
最初はしょうもないオッサンやなーって感じだったんだけどね。まぁ最後までそれは変わらなかったわけですよ。 しかし平たく言えばいい年こいても性欲が収まらないオッサンが若い子に手を出すといういやしかし普通に今でもあるけどそれが文学的な表現でここまで生まれ変わるのかと思えば待ちでパパ活に...
最初はしょうもないオッサンやなーって感じだったんだけどね。まぁ最後までそれは変わらなかったわけですよ。 しかし平たく言えばいい年こいても性欲が収まらないオッサンが若い子に手を出すといういやしかし普通に今でもあるけどそれが文学的な表現でここまで生まれ変わるのかと思えば待ちでパパ活に励む世のおっさんどもも大手を振って歩けるというものではないか。 フラレた若い子の出ている劇を見に行ってまた振り返ってくれないかなーとか妄想しているところとか最高だけどしかしこんなんで賞を取っちゃうとか審査員もオッサンしかいねーじゃねーかとかこれはこれでどうしようもなく、、イイネ!
Posted by
