1,800円以上の注文で送料無料

嫌いなら呼ぶなよ の商品レビュー

4

75件のお客様レビュー

  1. 5つ

    23

  2. 4つ

    32

  3. 3つ

    12

  4. 2つ

    5

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2025/10/01

綿矢りさ作品は今回が初めてでした。 まず驚いたのは、ご本人の印象と文章とのギャップです。清楚なお嬢様のようなイメージがあったので、文章もおっとり上品なのかと思っていたのですが……実際はずいぶんパンチが効いている。笑 しかも主人公に据えるのは、かなり歪んだ個性の持ち主。考え方のぶ...

綿矢りさ作品は今回が初めてでした。 まず驚いたのは、ご本人の印象と文章とのギャップです。清楚なお嬢様のようなイメージがあったので、文章もおっとり上品なのかと思っていたのですが……実際はずいぶんパンチが効いている。笑 しかも主人公に据えるのは、かなり歪んだ個性の持ち主。考え方のぶっ飛び具合が半端なくて、笑ってしまうほどです。 ある意味、自分の外側の世界にいる人たちの思考を学べる小説、とも言えるかもしれません。 本作はコロナ禍を背景にした短編集で、テーマもまさに「あの頃あったよな……」と思い出させるものばかり。 ・美容整形 ・SNS の炎上 ・緊急事態宣言後の集い こうした題材に、今だからこそのリアリティを感じました。 短編は全部で4編。 そのなかで特に気になったのは、表題作「嫌いなら呼ぶなよ」です。 主人公・霜月の美意識は女子以上かもしれません。 とにかく他人からどう見られるかを意識し、日焼け止めや日傘を常に携帯、筋トレで体型維持、20代はコンシーラーとパウダーで美肌づくり、ファッションにも余念がない。そして女の子の喜ばせ方まで研究しているのです。 ここまで外見に力を注ぐ人間はそうそういないでしょう。努力しているからこそ、彼は容姿に関して強い自信を持っているのだと感じました。 とりわけ印象的だったのは、男性の化粧。 私の感覚では一般男性が化粧でニキビをカバーするのは珍しいことです。少なくとも10~15年前の会社員社会では見かけなかった。せいぜいビジュアル系バンドくらいだったと思います。 さらに霜月は日傘まで使用。今でこそ猛暑対策で男性の日傘も珍しくなくなりましたが、当時はかなりレアだったはず。それも理由は暑さ対策ではなく、シミ対策。凄まじい美意識だと感じました。 この霜月を読んでいて思い出したのが、花火大会で見かけた若いカップルの男子たちです。 明らかにファンデとティントを塗っていて、韓流的なメイクというのでしょうか、彼女よりも白いくらいの肌色。メイク男子は必ず女の子と一緒で、男同士の集団では見たことがないのも印象的でした。 霜月の美意識の高さに、彼らが重なって見えたのです。 メイク男子は彼女に求められてそうしているのか、それとも自分の興味でやっているのか。 この小説を読む限り、恐らく両方のニーズが一致して関係が成り立っているのでしょう。 時代が変われば価値観も変わる 。街を歩く人たちが、男女問わず化粧をする時代も近いのかもしれません。 私は古い人間なので、どうしてもこの考えから抜け出せません。 『楓、今日こそ霜月さんにはっきり言ってやんなよ、男のくせにファンデーション塗ってるの気持ち悪いって』 この言葉に同意出来るか、反発するか。 時代の変わり目は価値観がぶつかり合うものですね。

Posted byブクログ

2025/09/30

タイトルと表紙のデザインに惹かれて購入しました。 どの話も面白かったですが、特に「老は害で若も輩」が面白かったです。 終わりのインパクトがすごかった。

Posted byブクログ

2025/09/29

コロナ禍でのマスクの状況だったり、職場の人との関係性だったり、SNSの誹謗中傷だったり…身近な状況でリアルに想像できて、近くにこんな人いたら嫌だなあと本の中の登場人物なのにめっちゃ嫌悪感抱いた笑 人の本音は知らないが仏なのかな。

Posted byブクログ

2025/09/29

綿谷さんは初めての作品。表紙が可愛く気になったので購入。正直、自分には合わない作風だった。 言葉遣いとかも大分関係あると思うけど… 前半は読み進めるのに共感できずしんどかった。 後半の2作は男目線で、何故かそちらのほうは面白かった。第3者として傍観しているようで…同じ女性だからや...

綿谷さんは初めての作品。表紙が可愛く気になったので購入。正直、自分には合わない作風だった。 言葉遣いとかも大分関係あると思うけど… 前半は読み進めるのに共感できずしんどかった。 後半の2作は男目線で、何故かそちらのほうは面白かった。第3者として傍観しているようで…同じ女性だからやり口に共感できるというか、そういう場面をみたことがあるというか… 振り回されている男性にはご愁傷さまといった感じ。 好きな作風ではなかったが 卓越した人間の心情や内面、感情の表現力はさすが。 機会があれば違った作風のものも読んでみたい。

Posted byブクログ

2025/09/28

毒々しいカバー表紙に劣らない毒を孕んだ短篇集。 なるほど、これがブラックユーモアってやつか。 拳を一切使わずに殴り合うようなこのヒリヒリした感じ、嫌いじゃないな。 整形、SNS炎上、不倫、老害。 正直あまりポジティブな印象が無い題材ばかり。 なのにストーリーが賑やかというか、ぶっ...

毒々しいカバー表紙に劣らない毒を孕んだ短篇集。 なるほど、これがブラックユーモアってやつか。 拳を一切使わずに殴り合うようなこのヒリヒリした感じ、嫌いじゃないな。 整形、SNS炎上、不倫、老害。 正直あまりポジティブな印象が無い題材ばかり。 なのにストーリーが賑やかというか、ぶっ飛んでるというか…。 何とも不思議な読み心地だった。 個人的に『神田タ』のYouTuberが最強だと思う。 こういう奴は強い。

Posted byブクログ

2025/09/27

全体的に主人公が痛い。だが、それで良い。 眼帯のミニーマウスの主人公が好き。気の強いメンヘラ。いい子だと思う。 老害、繊細ヤクザにならないように気をつけよう。

Posted byブクログ

2025/09/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

綿矢りささんの作品は初めて読むがパンチがあって面白いw 眼帯のミニーマウスは、可愛い物好きの女子の話、出る杭は打たれるから可愛い格好は同棲から疎まれるのか。そんな可愛いを追求する女性の考えを垣間見ることができた話だった…と思ったらメンヘラ女子の話だった!何もかもぶっ飛んでいて面白いwなんか人生楽しそうと楽観して読んでいたが、リストカットもしてることから本人は相当大変なんだと思ってしまう。 全体的にメンヘラ女子たちの話なのかな?と思った。男が読んでるので、間違ってたらすいません。 「嫌いなら呼ぶなよ」正直、小さな親切大きなお世話感が漂っていた。いくら仲良い友達同士だからって旦那の浮気とかも相談するものなのか?しかも、相手の旦那さんを友達が罵るってあまり現実味を帯びていない。そもそま自分たち夫婦で解決できないようなら、もう終わっているような気がするが、それでも友達は言いたい放題。 完全に読者を笑わしにかかってる文章が最高で面白いwシリアスな場面から一変して笑かしにかかってくるから、起伏が激しくてこんなん笑うわwあと、あだ名のセンスが抜群すぎる

Posted byブクログ

2025/09/25

短編集で話が4話あった。一つ一つが現実を忠実にかつ最高の語彙力で表現しており、とても読みやすかった。また、本来言葉にはしないこと、してはいけないこととして自分の中で閉じ込めているものを素敵な語彙力で文章として前面に出されることで、本音を見透かされているようなそんな気分になり、他人...

短編集で話が4話あった。一つ一つが現実を忠実にかつ最高の語彙力で表現しており、とても読みやすかった。また、本来言葉にはしないこと、してはいけないこととして自分の中で閉じ込めているものを素敵な語彙力で文章として前面に出されることで、本音を見透かされているようなそんな気分になり、他人への評価をしている自分を考えさせられる瞬間が何度もあった。4話とも読みやすく、面白かった。

Posted byブクログ

2025/09/25

いやー、おもしろい! なんだろうな、この読了感を例えるなら"トイレの落書きがすげぇハイセンスだったわ…"みたいな感じでしょうか。 どの短編も主人公の行為自体はいたって下品なのに綿谷りさのセンスによって、もっともらしく読めてしまう怖さ…。 自分らしく生きるってかえすがえす...

いやー、おもしろい! なんだろうな、この読了感を例えるなら"トイレの落書きがすげぇハイセンスだったわ…"みたいな感じでしょうか。 どの短編も主人公の行為自体はいたって下品なのに綿谷りさのセンスによって、もっともらしく読めてしまう怖さ…。 自分らしく生きるってかえすがえす下品なことなんだろうなぁ、こんなしっかり文章にされると困るよ。ほんとに。 また好きな作家が増えてしまった、ギャル界一の文才を持つ女、綿谷りさ。おもろ。

Posted byブクログ

2025/09/23

これまたやばい作品やばい作家に出会ってしまった… 人間の一度は思ったことがあるような、でも大声で言うことが出来ない本音がこの本によって大声より凄まじい力で拡散されてて、見てて爽快感がえげつない。見事に全部刺さった。全部最後の一文が好き タイトルにもなってる「嫌いなら呼ぶなよ」では...

これまたやばい作品やばい作家に出会ってしまった… 人間の一度は思ったことがあるような、でも大声で言うことが出来ない本音がこの本によって大声より凄まじい力で拡散されてて、見てて爽快感がえげつない。見事に全部刺さった。全部最後の一文が好き タイトルにもなってる「嫌いなら呼ぶなよ」では、つい読んでる自分も言いくるめられそうになって危なかったし、共感したり刺さる言葉もあったけど、不倫男の言葉やから肯定してもいいのかな?という変な葛藤も生まれた。 他の綿矢作品も是非読んでみたい!!

Posted byブクログ