籠の中のふたり の商品レビュー
Amazonの紹介より 弁護士・村瀬快彦は傷害致死事件を起こした従兄弟の蓮見亮介の身元引受人となり、釈放後に二人は暮らし始める。小学6年生のときに母親が自殺し、それ以来、他人と深く関わるのを避けてきた快彦だったが、明るい亮介と交流することで人として成長していく。 だが、ある日、母...
Amazonの紹介より 弁護士・村瀬快彦は傷害致死事件を起こした従兄弟の蓮見亮介の身元引受人となり、釈放後に二人は暮らし始める。小学6年生のときに母親が自殺し、それ以来、他人と深く関わるのを避けてきた快彦だったが、明るい亮介と交流することで人として成長していく。 だが、ある日、母が結婚する前に父親の安彦に送った手紙を見つけ、自身の出生に関わる衝撃の秘密を知る。二人は全ての過去と罪を受け入れ、本当の友達になれるのか――。 著者史上もっともハートフルな物語が誕生。最後に芽生える真の友情に、あたたかい涙が止まらない! 毎回、薬丸さんの作品には感動させられます。罪という暗い話が登場するけれども、罪と向き合って更生しようとする、あるいは最終的に罪というものを自覚して生きる展開が、繊細で丁寧な心理描写も加わって、ジーンとしてしまいます。 今回の作品でも、丁寧な心理描写にやられました。 同居することになった2人が快彦としては最初はぎこちなかったのですが、あらゆる出来事を通じて心地よい関係性に変化していくことに感動させられました。 この作品では、主に2つの出来事を主軸にしています。 一つ目はあらすじに書いてある通り、亮介の傷害致死事件です。なぜこのようなことが起きたのか?その裏には、快彦の両親が関係しています。 ただ、この話題は中盤から進んでいくので、お待ちを。 二つ目が前半を主に占めています。それは快彦の初恋の人の相談事です。たまたま行ったバーが同級生経営だったこともあって、そこではかつての同級生も訪ねてきます。そこでDV夫に悩まされる初恋の人の相談事を引き受けることになります。 調べていくうちにDV夫の秘密を知ることになるのですが、快彦だけでなく、亮介も調査に乗り出します。 快彦が弁護士ということもあり、頭脳派で活躍し、亮介は「足」で追跡していきます。 次第にゆっくりですが、お互いを知ることで「仲間」として接していくことにこちらとしても、優しい気持ちになりました。 DV夫の秘密には驚きましたが、出来事を通じて、「罪」と向き合い、再生しようとする描写に頑張っていただきたいと思いました。 そういった流れを経験しての後半戦では、前半よりも、かなりディープな要素や衝撃が待ち受けているので、色んな真実を知るたびに心が痛かったです。 偶然見つけた母から父へ送った手紙が、次第に息子の快彦の秘密にも影響され、はたまた亮介の事件にも繋がっていきます。 読み進めるにつれて、なんとなくこの真相はこうなんじゃないかと情報を集めていくと、みんな同じ想像がつくのですが、改めて文章で説明されると、ショックでもあり、驚きでもありました。 まさか全てが繋がれていたとは。快彦の家族と亮介の家族、そして亮介が傷害致死を起こした被害者が、一つの線となった時には、辛い状況だなと思ってしまいました。 それを乗り越えてのラストの展開には、グッとくるものがありました。 題名の「籠の中のふたり」。これがラストで良い表現として登場するので、今まで辛かった分、心が穏やかになりました。 なぜ亮介は犯罪を起こさねばならなかったのか?そこには、様々な真実が隠されています。 罪を犯すことは許されないことですが、罪を犯した後、友人や知人がどうサポートしていくのか? 真実を知った後、それでも友人や知人関係でいられるのか? 相手に寄り添い、信じることが大切だと感じました。 これから頑張っていただきたいと願うばかりでした。
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※このレビューにはネタバレを含みます
罪を犯す人間の業を描き続ける薬丸岳の新刊は、罪の向こうにあった友情の物語。 父を亡くし恋人にも去られ孤独をさまよう弁護士快彦。20年も音信不通だった従弟亮介は殺人罪で服役中だった。そして不可解な身元引受人依頼。 母の自死、父親が遺した母からの手紙、突然の亮介との同居。混乱する快彦の生活。 人を傷つけたり人に傷つけられたりしたくない。そのために人と深く関わる事を避けてきた。それで構わないはずだったのに。 自から暗く狭い籠の中を選んだ孤独な心が本当に求めていたのは、扉を開けてくれる温かい手だった。 ノックもなしに飛び込んできた亮介によって連れ出された外の世界、でも、亮介の抱える罪はあまりにも意味が大きすぎた。 人は一人で生きていけるのだろうか。誰にも頼らず、誰にも心を開かず、誰からも必要とされず、ただ一人きりで。 亮介によって変わっていく快彦の、その変化がうれしくて。元恋人に勘違いされたらいやだなぁ、などと現実レベルの心配をしていたのに。 ずっと通奏低音のように響き続ける不穏な秘密。知りたくない、快彦にも知らせたくない、という儚い願い。 見つけてしまったその秘密の、あまりの残酷さに現実を呪ってしまう。 亮介の決意、快彦の思い。かたくなな心を開くノックの音。土砂降りの後の晴れ間のようなきらめきに思わず涙。
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薬丸さんの本は大体犯罪者と被害者が出てきて互いが複雑に絡み合うのだけど、今回は少し毛色が違った。 主人公快彦と刑務所から出所してきた亮介の関係性は「普通の人」と「犯罪者」だ。従兄弟という繋がりがあることはあるが疎遠だったようだし、最初は半ば承知せざるを得ないような感じで同居を決め...
薬丸さんの本は大体犯罪者と被害者が出てきて互いが複雑に絡み合うのだけど、今回は少し毛色が違った。 主人公快彦と刑務所から出所してきた亮介の関係性は「普通の人」と「犯罪者」だ。従兄弟という繋がりがあることはあるが疎遠だったようだし、最初は半ば承知せざるを得ないような感じで同居を決められてしまった快彦が若干気の毒だった。 しかし読み進めていくとどうやら亮介はいい人で、どう言う状況で犯罪を起こしてしまったんだろうと気になってくる。逆に人間味をあまり出さない快彦の方が分かりにくいキャラクターのように思えてきてしまう。 ラストは怒涛の展開。亮介が罪を犯した理由と快彦の元へ来た理由が全て明かされたとき、そうだったのか…と亮介に対するなんて言ったらいいのだろうか…慈しみの気持ちが生まれてくる。 自分に罰を与える人が多いんだよね、この本。それで納得できれば良いかもしれないけど、周りの人はあなたが思っている以上にあなたのことを大切に思っていてくれてる、と伝えたい気分だ。 亮介が犯罪者であることは変わらないが、読後は温かい気持ちになった。
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感想 歩み寄る。言葉にすればそれだけ。素直にできたらどれだけいいか。近くにいても心は離れているかも。もし勇気があれば。傷ついても。それでも。
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薬丸岳は やりきれない、やるせない そんな気持ちになることが多いので 弱ってるときには読まない しかし最近読んでなかったなーと 読んでみた 謎がいっぱいだった ラストで怒涛の謎解きなんだけど そこまでも退屈しないし 複雑に(ってこともないけど)絡まった 人間ドラマに仕上がって...
薬丸岳は やりきれない、やるせない そんな気持ちになることが多いので 弱ってるときには読まない しかし最近読んでなかったなーと 読んでみた 謎がいっぱいだった ラストで怒涛の謎解きなんだけど そこまでも退屈しないし 複雑に(ってこともないけど)絡まった 人間ドラマに仕上がってた 何より しこりは残るけど よっしゃ、幸せにむかっていける! って思えたので あれ?これ薬丸岳だっけ? って確認しちゃった すぐ読み終わったし 辛さに打ちのめされることなかったけど まぁフツーっちゃフツーなので 星は3つ
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感動した。感動した。大好きな薬丸岳さんの最新作ストーリーテーラークライムノベルの第一人者、読む手が止まらず結末が近づくのがいやなほどの大傑作であります。弁護士である主人公の村瀬快彦と従兄弟の蓮見亮介の関係性、なぜ殺人を犯したのか謎が解けていくことへの期待感、そしてなぜこんな事にな...
感動した。感動した。大好きな薬丸岳さんの最新作ストーリーテーラークライムノベルの第一人者、読む手が止まらず結末が近づくのがいやなほどの大傑作であります。弁護士である主人公の村瀬快彦と従兄弟の蓮見亮介の関係性、なぜ殺人を犯したのか謎が解けていくことへの期待感、そしてなぜこんな事になってしまったのかと言う結末にあぜんとしてしまった。あなたも読んで涙して下さい。感動して下さい。
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