籠の中のふたり の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
図書館本。 孤独な弁護士快彦と殺人を犯し服役していた亮介。 亮介の身元引受け人となった快彦。人を寄せ付けない快彦が亮介と関わることで人間味を帯びていく。だけでは当然終わらず、快彦の自殺の真相、出生の秘密を解き明かすことになるなんて。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
30代前半の弁護士の主人公。父親が少し前に死に、母親は12年ぐらい前に自殺した。 20年以上会ってない同い年のいとこが、殺人の仮釈放で身元引受人として主人公を指名。一緒に暮らし始める。 前半では、主人公の小学校同級生をDV夫から救う。ゲイの警察官の夫が、恋人の男を仕向けて浮気に見せかけるなど。 後半は本命。父親と血が繋がってないことに気づき、殺人犯が殺した相手が自分の父親と知り、自分はその生物学的父親が母親をレイプした時の子と知り、母親の自殺もそいつのせいと知る。
Posted by
はじめは、内向的な快彦の心を亮介が解きほぐしてゆく良いお話なのかなと読んでいたが、やはり薬丸先生の作品はそう単純ではなく、ラスト数十ページで快彦出生の謎や、自責の念とどう折り合いをつけるのかが、たたみかけるように登場し、こうこなくっちゃと思った。それでも、ここ最近読了後が苦しく...
はじめは、内向的な快彦の心を亮介が解きほぐしてゆく良いお話なのかなと読んでいたが、やはり薬丸先生の作品はそう単純ではなく、ラスト数十ページで快彦出生の謎や、自責の念とどう折り合いをつけるのかが、たたみかけるように登場し、こうこなくっちゃと思った。それでも、ここ最近読了後が苦しくなる作品が続いていたので、マイルドで良かった。
Posted by
どこまでも優しさが溢れる… 人との関わり合いを愛情たっぷりに描く人間ドラマ #籠の中のふたり ■あらすじ 人と関わるのを好まない弁護士村瀬快彦は、刑務所から仮出所する人物の身元引受人を依頼される。その人物は快彦の従兄弟であり蓮見亮介であったが、少年期から縁がなく、なぜ自分を頼っ...
どこまでも優しさが溢れる… 人との関わり合いを愛情たっぷりに描く人間ドラマ #籠の中のふたり ■あらすじ 人と関わるのを好まない弁護士村瀬快彦は、刑務所から仮出所する人物の身元引受人を依頼される。その人物は快彦の従兄弟であり蓮見亮介であったが、少年期から縁がなく、なぜ自分を頼ったのか不思議に思っていた。 快彦は渋々ながらも同居を認めるのだが、明るく優しい性格の亮介と生活するうち、徐々に変化が起こっていく。しかしある日、快彦は自らの出生の秘密を知ってしまって… ■きっと読みたくなるレビュー どこまでも優しさが溢れる作品、疲れぎみの方こそ読んで欲しいですね。昭和の山田太一や向田邦子のテレビドラマを見ているかのような読みごこちでした。 出てくる登場人物がほぼ全員がいい人ばかりなんです。それぞれ背負っている悩みや苦しみは大きいけれど、誰かのために自らを手間と時間を使っても助けてあげる。大人になると自分が可愛くなってしまって、なかなか自分を犠牲にすることはできなくなるんですよね。 本作の主人公は、弁護士の快彦と刑務所から仮出所してきた亮介。二人が歩んできた人生が違うから人間性もまるで違う。ただ子どもの頃にあった辛い影響で、心が閉ざされてしまった二人。彼らが交流を深めていくことで、どう関係性と人間力が変わっていくのか… メインの読みどころなので、じっくりと楽しんでください。 ただ二人を見てると、本当に出会えてよかったと思う反面、必然だったような気がするんです。出会う背景はあるんですが、やっぱり神様は人間たちの幸せを願っていると信じたいんすよね。 また彼らと取り巻く家族や仲間たちの人間ドラマも味わい深い。たくさんキャラクターが出てくるんですが、なんか全員の顔が目に浮かんでくるんですよね。生きてるって感じがするし、ひとりひとり人間らしさが伝わってくる。 こういう物語を読むと、つくづく人間ってひとりでは生きられないと痛感する。何のために勇気を出すのかって、自分のためではなく、隣にいる人のためだと思うわ。 物語の後半に入ると、いよいよ主人公二人の薄暗い歴史に迫ってくる。人と深く関われない快彦と、優しさや責任感が強すぎることで、その結果大切な人を遠ざけてしまう亮介。私は彼らのこれからを見守ってあげたいと思いました。 ■ぜっさん推しポイント 私は20代前半の人生をさぼっていた、20代後半は仕事もプライベートも辛いことが多かったんです。実家も大変な時期で、会社でも自宅に戻っても精神が休まることがなく、いま思えば良く心がつぶれなかったですよ。もちろんほとんどは自業自得なんですが、当時はいつも暗闇の中を歩いているようでした。 ただ唯一楽しく過ごせたのは、会社で知り合った仲間たちとの時間。喫茶店で何時間も粘っておしゃべりをしたり、カラオケで辛い憂さを晴らしたり、安いバンを借りて貧乏旅行に出かけたり。お互いの良いところも悪いところも丸ごと大好きで、彼らがいなかったら、私はまだ暗闇の中を歩いていたかもしれない。今では会う機会はほとんどなくなったけど、たまに思い出すと幸せな気分になれるんです。 忙しい日々ですが、忘れがちな大切なものを思い出させてくれる作品でした。
Posted by
デビュー作「天使のナイフ」以来、様々な贖罪の形を書き続けてきた薬丸さん。 今作では、少し切ない二人の男性が主役 (つづく)
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
母親の自殺に自責の念を感じ、周囲の人間、恋人にさえも心を閉ざし孤独を抱える弁護士・快彦と、傷害致死事件を起こした従兄弟・亮介が共同生活を通して、それぞれの過去という”籠”に囚われていた心を解放し、心を通わせて行く。 快彦の心に深く根ざしたわだかまりには、自死の、殺人に勝るとも劣らない罪深さを思い、深く嘆息する。また、償う相手の不在に苦悩した亮介がとった行動には、犯した罪にふさわしい罰が加害者本人の心をも救うということにも。ただ、今回のような人間が被害者となると、どんな理由があろうと殺されてよい人間なんていない、とはよく言われることだけれど、では、どう対処するのが正解だったのか、と、不条理に怒りを禁じ得ない。 薬丸岳はいつも作品を通じて「罪とは」「償いとは」を、投げかけてくる。しかし今回は、人との関りは、時に煩わしさを伴うけれど、生きる歓びも人間的な成長もそれを乗り越えてこそ得られる、という強いメッセージもあり、清々しい読後感。
Posted by
一気読み。 犯罪を犯してしまった男と弁護士の男、全く生き方が異なるいとこ同士なのに、事件をきっかけに二人の同居が始まる。 薬丸岳の小説には、こういう境遇の人々を描いた小説が多い。 一線を越えた人間の再起の困難さ、人々の態度の変化が丁寧に描き込まれていた。 本を読むことで、読者も想...
一気読み。 犯罪を犯してしまった男と弁護士の男、全く生き方が異なるいとこ同士なのに、事件をきっかけに二人の同居が始まる。 薬丸岳の小説には、こういう境遇の人々を描いた小説が多い。 一線を越えた人間の再起の困難さ、人々の態度の変化が丁寧に描き込まれていた。 本を読むことで、読者も想像力を鍛え、残酷な行動の抑止力につながっている、、、と信じたい。
Posted by
傷害致死の罪を犯した従兄弟の身許引受人となった弁護士の快彦。 実は従兄弟の犯した罪も自分に関わるものだった。 もつれた糸が段々解されて行く様に事件の真相が明らかになる。 読んでいて苦しくもなるが、最後は2人も籠から出られたのかなとちょっと安堵する。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
孤独な弁護士と人殺しの罪を背負う男 少年をテーマにしたものではなく、氏にしては重くないというか、軽い部類 なんか東野圭吾を感じる雰囲気だった 読みやすく、途中、都合良すぎなストーリーという気もしたが、最後の数ページは結局泣くってパターン 読後感は良い
Posted by
SL2024.10.1-2024.10.2 思ったより重い話だった。ちょっと少女漫画のような過去話で残念な面もあり。 主人公たちの周りの人がみんないい人で現実的でないと思いながらもけっこうみんな好き。
Posted by