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籠の中のふたり の商品レビュー

3.9

56件のお客様レビュー

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2024/10/23

従兄弟同士。隠された出生の秘密や過去。どうしようもなく苦しく逃れられない痛みを抱えて生きていく二人の心の機微が描かれている。周囲の友人たちの温かさが救いで絶望に至らないのが良かった。

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2024/10/20

薬丸岳さん作品はこれが初読なんだけど、一気読みする程面白かったなー! 前半快彦と亮介の出会いから、亮介によってだんだん快彦の心が解きほぐされていく→からの、後半怒涛の謎の解き明かしで、全く飽きずに読めた。

Posted byブクログ

2024/10/20

もっと人を信じること、そして、自分自身と向き合うことができる小説。 孤独な弁護士が傷害致死事件を起こした従兄弟の身元引受人となり、二人で暮らしていく。その中でなぜ傷害致死事件を起こしたのか・・・ その衝撃の秘密を知ること。 胸が締め付けられる衝撃的な後半で出来事が圧巻でした。...

もっと人を信じること、そして、自分自身と向き合うことができる小説。 孤独な弁護士が傷害致死事件を起こした従兄弟の身元引受人となり、二人で暮らしていく。その中でなぜ傷害致死事件を起こしたのか・・・ その衝撃の秘密を知ること。 胸が締め付けられる衝撃的な後半で出来事が圧巻でした。 人と関わることでの衝撃から逃げてしまいたくなる恐怖やそっとして欲しいと思ってしまう気持ちが共感しました。 その中で、快彦の成長する姿などは心に刺さりました。 人って何かをきっかけに成長できるのなど実感できます。 物語も後半に向けてヒートアップしてページを捲る手が止まりませんでした。 ぜひ映像化してほしい作品です。

Posted byブクログ

2024/10/19

母親を自殺で亡くした弁護士の快彦は、それ以来他人と深く関わるのを避けていた。唯一の家族である父も亡くし恋人と別れ一人になった彼は、傷害致死事件を起こした従兄弟の身元引受人となる。従兄弟とはいえ長年会っていなかった亮介を半ば忌避する快彦だったが、亮介との生活で徐々に変わっていく自分...

母親を自殺で亡くした弁護士の快彦は、それ以来他人と深く関わるのを避けていた。唯一の家族である父も亡くし恋人と別れ一人になった彼は、傷害致死事件を起こした従兄弟の身元引受人となる。従兄弟とはいえ長年会っていなかった亮介を半ば忌避する快彦だったが、亮介との生活で徐々に変わっていく自分に気づいた。つらく切なく、しかしとても優しいミステリです。 他人と接することで相手を傷つけ、また自分も傷つくことを恐れる快彦は、とても心優しい人物なのだけど。だからこそそういう態度しか取れないのがもったいないし悲しいと思っていたのだけれど、彼がどんどん変わっていくさまにほっとさせられます。一方で亮介は、一見あけっぴろげで傍若無人なように見えるけれど、実は気遣いのある人物だし。だからこそなぜ彼が事件を起こしてしまったのかが大きな謎。それがどう解かれるのか、そして快彦の家族に関わる謎もまた気にかかり、ぐいぐい読ませられます。 思いもかけないところから繋がっていく謎と真相は、ひどく苛酷なものでした。それでも作品の読み心地が重たいばかりでないのは、快彦も亮介もたくさんの人に必要とされ支えられている部分が大きいからなのでしょうね。やはり人間って、日ごろの行いが大事だということを思い知らされます。

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2024/10/14
  • ネタバレ

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図書館本。 孤独な弁護士快彦と殺人を犯し服役していた亮介。 亮介の身元引受け人となった快彦。人を寄せ付けない快彦が亮介と関わることで人間味を帯びていく。だけでは当然終わらず、快彦の自殺の真相、出生の秘密を解き明かすことになるなんて。

Posted byブクログ

2024/10/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

30代前半の弁護士の主人公。父親が少し前に死に、母親は12年ぐらい前に自殺した。 20年以上会ってない同い年のいとこが、殺人の仮釈放で身元引受人として主人公を指名。一緒に暮らし始める。 前半では、主人公の小学校同級生をDV夫から救う。ゲイの警察官の夫が、恋人の男を仕向けて浮気に見せかけるなど。 後半は本命。父親と血が繋がってないことに気づき、殺人犯が殺した相手が自分の父親と知り、自分はその生物学的父親が母親をレイプした時の子と知り、母親の自殺もそいつのせいと知る。

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2024/10/10

 はじめは、内向的な快彦の心を亮介が解きほぐしてゆく良いお話なのかなと読んでいたが、やはり薬丸先生の作品はそう単純ではなく、ラスト数十ページで快彦出生の謎や、自責の念とどう折り合いをつけるのかが、たたみかけるように登場し、こうこなくっちゃと思った。それでも、ここ最近読了後が苦しく...

 はじめは、内向的な快彦の心を亮介が解きほぐしてゆく良いお話なのかなと読んでいたが、やはり薬丸先生の作品はそう単純ではなく、ラスト数十ページで快彦出生の謎や、自責の念とどう折り合いをつけるのかが、たたみかけるように登場し、こうこなくっちゃと思った。それでも、ここ最近読了後が苦しくなる作品が続いていたので、マイルドで良かった。

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2024/10/09

どこまでも優しさが溢れる… 人との関わり合いを愛情たっぷりに描く人間ドラマ #籠の中のふたり ■あらすじ 人と関わるのを好まない弁護士村瀬快彦は、刑務所から仮出所する人物の身元引受人を依頼される。その人物は快彦の従兄弟であり蓮見亮介であったが、少年期から縁がなく、なぜ自分を頼っ...

どこまでも優しさが溢れる… 人との関わり合いを愛情たっぷりに描く人間ドラマ #籠の中のふたり ■あらすじ 人と関わるのを好まない弁護士村瀬快彦は、刑務所から仮出所する人物の身元引受人を依頼される。その人物は快彦の従兄弟であり蓮見亮介であったが、少年期から縁がなく、なぜ自分を頼ったのか不思議に思っていた。 快彦は渋々ながらも同居を認めるのだが、明るく優しい性格の亮介と生活するうち、徐々に変化が起こっていく。しかしある日、快彦は自らの出生の秘密を知ってしまって… ■きっと読みたくなるレビュー どこまでも優しさが溢れる作品、疲れぎみの方こそ読んで欲しいですね。昭和の山田太一や向田邦子のテレビドラマを見ているかのような読みごこちでした。 出てくる登場人物がほぼ全員がいい人ばかりなんです。それぞれ背負っている悩みや苦しみは大きいけれど、誰かのために自らを手間と時間を使っても助けてあげる。大人になると自分が可愛くなってしまって、なかなか自分を犠牲にすることはできなくなるんですよね。 本作の主人公は、弁護士の快彦と刑務所から仮出所してきた亮介。二人が歩んできた人生が違うから人間性もまるで違う。ただ子どもの頃にあった辛い影響で、心が閉ざされてしまった二人。彼らが交流を深めていくことで、どう関係性と人間力が変わっていくのか… メインの読みどころなので、じっくりと楽しんでください。 ただ二人を見てると、本当に出会えてよかったと思う反面、必然だったような気がするんです。出会う背景はあるんですが、やっぱり神様は人間たちの幸せを願っていると信じたいんすよね。 また彼らと取り巻く家族や仲間たちの人間ドラマも味わい深い。たくさんキャラクターが出てくるんですが、なんか全員の顔が目に浮かんでくるんですよね。生きてるって感じがするし、ひとりひとり人間らしさが伝わってくる。 こういう物語を読むと、つくづく人間ってひとりでは生きられないと痛感する。何のために勇気を出すのかって、自分のためではなく、隣にいる人のためだと思うわ。 物語の後半に入ると、いよいよ主人公二人の薄暗い歴史に迫ってくる。人と深く関われない快彦と、優しさや責任感が強すぎることで、その結果大切な人を遠ざけてしまう亮介。私は彼らのこれからを見守ってあげたいと思いました。 ■ぜっさん推しポイント 私は20代前半の人生をさぼっていた、20代後半は仕事もプライベートも辛いことが多かったんです。実家も大変な時期で、会社でも自宅に戻っても精神が休まることがなく、いま思えば良く心がつぶれなかったですよ。もちろんほとんどは自業自得なんですが、当時はいつも暗闇の中を歩いているようでした。 ただ唯一楽しく過ごせたのは、会社で知り合った仲間たちとの時間。喫茶店で何時間も粘っておしゃべりをしたり、カラオケで辛い憂さを晴らしたり、安いバンを借りて貧乏旅行に出かけたり。お互いの良いところも悪いところも丸ごと大好きで、彼らがいなかったら、私はまだ暗闇の中を歩いていたかもしれない。今では会う機会はほとんどなくなったけど、たまに思い出すと幸せな気分になれるんです。 忙しい日々ですが、忘れがちな大切なものを思い出させてくれる作品でした。

Posted byブクログ

2024/10/24

デビュー作「天使のナイフ」以来、様々な贖罪の形を書き続けてきた薬丸さん。 今作では、少し切ない二人の男性が主役 (つづく)

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2024/10/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

母親の自殺に自責の念を感じ、周囲の人間、恋人にさえも心を閉ざし孤独を抱える弁護士・快彦と、傷害致死事件を起こした従兄弟・亮介が共同生活を通して、それぞれの過去という”籠”に囚われていた心を解放し、心を通わせて行く。 快彦の心に深く根ざしたわだかまりには、自死の、殺人に勝るとも劣らない罪深さを思い、深く嘆息する。また、償う相手の不在に苦悩した亮介がとった行動には、犯した罪にふさわしい罰が加害者本人の心をも救うということにも。ただ、今回のような人間が被害者となると、どんな理由があろうと殺されてよい人間なんていない、とはよく言われることだけれど、では、どう対処するのが正解だったのか、と、不条理に怒りを禁じ得ない。 薬丸岳はいつも作品を通じて「罪とは」「償いとは」を、投げかけてくる。しかし今回は、人との関りは、時に煩わしさを伴うけれど、生きる歓びも人間的な成長もそれを乗り越えてこそ得られる、という強いメッセージもあり、清々しい読後感。

Posted byブクログ