風に立つ の商品レビュー
罪を犯した少年の補導委託を受け入れた、南部鉄器の工房が舞台。子を思う親心が核となるお話だった。 親が子供の将来を思う時、 良い大学に行って、給料が良い安定した職に就いて欲しい、苦労をさせたくないと願う親もいるだろうし、 自分のやりたいことを、後悔のないようして欲しい、と思う親...
罪を犯した少年の補導委託を受け入れた、南部鉄器の工房が舞台。子を思う親心が核となるお話だった。 親が子供の将来を思う時、 良い大学に行って、給料が良い安定した職に就いて欲しい、苦労をさせたくないと願う親もいるだろうし、 自分のやりたいことを、後悔のないようして欲しい、と思う親もいるだろう。 どちらも、子を思う親の愛情からのものだ。この二つの考えの両立はなかなか現実的に難しい。だが、それをどうするか?という問いを投げかけられた。 時々出来過ぎだな、としらけそうになることもあったが、先が気になりどんどん読み進めた。 『子供が幸せなら、ずっと幸せなままでいて欲しいと願い、子供が失敗すれば、大丈夫だろうかと心配する。どっちに転んでも、これで安心ということは無い。(親とは)損な役割です。』 この台詞が、とても心に残った。親が子の幸せを願う心は、見方によってはとても貪欲なのだ。 気になったところ ○何かを作り出す者は、刺激や影響を受けつつも、己を貫き通す心がないと、中途半端なものしかできない。 ○何かがこじれる理由は、相手の考えていることがわからないから
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補導委託制度から親子間の長年のわだかまりが氷解しつつあるあり方を描いた作品。 近くにいる者ほど気がつかないもの。親としてのヤセ我慢もあるだろうし、子として直接聞かなくとも自分のことはわかっていて欲しいとの願いもある。 平易な文章ながら、終わりのほうは、ぐっとくるものあり。 久々に...
補導委託制度から親子間の長年のわだかまりが氷解しつつあるあり方を描いた作品。 近くにいる者ほど気がつかないもの。親としてのヤセ我慢もあるだろうし、子として直接聞かなくとも自分のことはわかっていて欲しいとの願いもある。 平易な文章ながら、終わりのほうは、ぐっとくるものあり。 久々に泣ける作品を読んだ。
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盛岡市にある南部鉄器の工房が舞台。親子の話だが、40代の息子が親に大事にされてなかったとか言ってるのが、40にもなってまだそんなこと言ってんのかよと白ける。
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親は子に出来るだけ苦労をさせたくないという思いから、自分の経験則に照らし合わせて、子供のいろんな選択肢を奪いがちなのかもしれない。 孝雄が話した「自分の子供には自由に生きてほしい。選択肢がない人生がいかに辛いかを知っているから」という言葉が胸に刺さる。 自分と家族の幸せについて考...
親は子に出来るだけ苦労をさせたくないという思いから、自分の経験則に照らし合わせて、子供のいろんな選択肢を奪いがちなのかもしれない。 孝雄が話した「自分の子供には自由に生きてほしい。選択肢がない人生がいかに辛いかを知っているから」という言葉が胸に刺さる。 自分と家族の幸せについて考えさせられる小説でした。
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補導委託先という制度(犯した少年を更生させるために一般事業で少年を預かる)をこの小説を通じて知れた。エピソード内の東北の南部鉄器職人の経営判断も面白かった。登場人物のキャラクター設定がきちんとしていてリアル感たっぷりで楽しめた。重い内容だが楽しく向き合えました。
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目に見えるものが、全てではないですよね でも、言葉に、しないと伝わらないのも、事実で… 今の世の中、相手の顔色を探りながら会話しないといけないし、言葉にしたからといって、良い訳でもなく、難しいです ただ、家族は、探りあうのじゃなくて、楽しいこと、辛いこと、共有しあうのが、いいの...
目に見えるものが、全てではないですよね でも、言葉に、しないと伝わらないのも、事実で… 今の世の中、相手の顔色を探りながら会話しないといけないし、言葉にしたからといって、良い訳でもなく、難しいです ただ、家族は、探りあうのじゃなくて、楽しいこと、辛いこと、共有しあうのが、いいのかな〜と思います
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家族の関係性について、とてもリアルな物語で引き込まれた。 終盤は考えさせられる場面も多く、本を閉じて自分の家族のことを考える良い時間がとれた。
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著者の作品としては、正直少し物足りなかった。 とはいえ、盛岡、南部鉄瓶、岩手山なども文化に触れられたことは良かった。 「チャグチャグ馬コ」という行事も初めて知ったこと、いつかは訪れたいと思う。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
2024/01/10リクエスト 48 岩手の南部鉄器工房で、補導委託を引き受けた父と息子の悟、そこで暮らす春斗。 恵まれた家庭環境にありながら非行に走った春斗。補導委託先の工房での父と息子の関係、春斗と両親の関係、工房で長年働く健司の家族、アルバイトに現れる八重樫の育った環境、など様々な家族模様が、春斗家族の問題にも、悟と父親の問題にも影響する。 最後にきっちり話が回収されるが、裁判所での場面、突然に悟の父親である孝雄が、西沼耕太の話を始めるところは、ねじ込んだ感じで、何とも違和感を感じた。 けれど読みやすい文章のためページが進む。 今までの刑事や暴力団をテーマにしたものから、今回の家族系に軸足を移すのかな…
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家族だから伝わらない想いがある――。非行少年を預かることになった不器用な父と子。『盤上の向日葵』の著者による、傑作家族小説。
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