風に立つ の商品レビュー
補導委託として非行少年を引き受けることになった南部鉄器の工房「清嘉」。親方であり父である孝雄が勝手に決めてしまったことに息子の悟は戸惑い、そして反感を抱く。険悪ではないもののどこかしら距離のある親子関係を抱え、さらに非行少年を引き受けることに何の意味があるのか。そして実際に少年が...
補導委託として非行少年を引き受けることになった南部鉄器の工房「清嘉」。親方であり父である孝雄が勝手に決めてしまったことに息子の悟は戸惑い、そして反感を抱く。険悪ではないもののどこかしら距離のある親子関係を抱え、さらに非行少年を引き受けることに何の意味があるのか。そして実際に少年がやってきてから、彼らの生活は一変した。不安さを抱えながらも、心温まる物語です。 思ったほど物騒な物語にならなかったのは、登場する人たちが基本的に善人ばかりなのでしょうね。非行少年とはいえ、春斗はいわゆる「不良」ではないし、彼の家庭環境も劣悪なものではないし。春斗を受け入れる「清嘉」の面々も実に温かくて楽しくて、あまりにきれいな物語すぎるのでは、と思ったのですが。 だからこそつらい面もあるのだなあ、というのがやりきれませんでした。春斗の両親は春斗を愛しているし、本心から春斗のことを考えて接している。彼らの親心は全然間違っていないんですよね。なのにその状況が春斗にとって苦痛でしかない、というすれ違いがあまりに悲しいし、苦しい。いったいどうすれば救われるのか、終盤は目が離せませんでした。
Posted by
家族って、煩わしいときもたくさんあるけれど、やっぱりいいなあとおもわせてくれる。自分も、親が大嫌いだった頃を思い出す。同じ年になってわかることもある。話さなければわからないことも、たくさんあるよなあと。
Posted by
柚月裕子さんの作品は、結構読ませていただいたが、この本はちょっと残念な気がした。 薄くありきたりな展開で、最後まで盛り上がりに欠けた。
Posted by
大好きな柚月裕子さんの新作なので期待して読んだが、今回はちょっと期待はずれ。一番入り込めなかったのは、悟の言動。こんなもどかしい人いる!?と思わずにいられなかった。 非行少年を預かることになった(そもそも、非行とも思えない)南部鉄器工房を営む孝雄と悟の親子。今まで父から愛情...
大好きな柚月裕子さんの新作なので期待して読んだが、今回はちょっと期待はずれ。一番入り込めなかったのは、悟の言動。こんなもどかしい人いる!?と思わずにいられなかった。 非行少年を預かることになった(そもそも、非行とも思えない)南部鉄器工房を営む孝雄と悟の親子。今まで父から愛情を受けたことがないと思っていた悟は、他の子の面倒を見ると言い出した孝雄に納得がいかない。 孝雄が預かることになった春斗が人として成長していく姿や、孝雄と悟の歪みが変化していく様子が描かれていく。 個人的には孝雄が語った耕太の話が良かった。不器用だけど、しっかりと愛情を持っている孝雄はカッコいいと思うが、やはり自分の気持ちを伝えることは大切だなと思った。
Posted by
寡黙な男を書かせた、著者の本は、いつも堪能しています。今回も、期待を裏切ることはなく、一気読みしてしまいました。 粗方、想像された展開で話は進むものの、それでも、鼻をすすりながら読みました。 宮沢賢治も読まないとダメかなぁ。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
南部鉄器の職人である父・孝雄が、悟に内緒で非行少年の補導委託を引き受けて来た。やってきた少年春斗は、両親の望むように生きてきて躓いている。春斗をめぐるやりとりを通じて、ぎくしゃくしている孝雄と悟の関係も変化していく。 南部鉄器の愉快な職人仲間たち、居酒屋を営む悟の妹由美との関わりを通じて、少しずつ春斗が自分の気持ちに正直になり、自分の思いを両親にも伝えられるようになっていく成長ぶりがハートウォーミングだった。春斗の父も孝雄もそれぞれに背負ってる背景があって、息子とうまく接しられないでいる。そこを対話によって理解しあっていく、ハッピーエンドな話。それぞれの成長や変化が葛藤とともに描かれていてとてもよい。
Posted by
親子の愛の物語でしょうか。 んー、親の愛か 子どものことを想う気持ち、無償の愛 それは子どもにどれだけ届いているのでしょうか 悟の父親は南部鉄器の職人で仕事一筋。 悟は父親に遊んでもらった思い出も 父親が参観日や運動会に来た記憶もなく 悟が父の跡を継ぐため南部鉄器の職を選んだ...
親子の愛の物語でしょうか。 んー、親の愛か 子どものことを想う気持ち、無償の愛 それは子どもにどれだけ届いているのでしょうか 悟の父親は南部鉄器の職人で仕事一筋。 悟は父親に遊んでもらった思い出も 父親が参観日や運動会に来た記憶もなく 悟が父の跡を継ぐため南部鉄器の職を選んだ時も何も言われなかった。 寂しい思いを感じていたが、成長するにつれ「父は家庭より仕事が大事な人間なんだ」と割り切っていた。 そんな父が 家庭裁判所に送られてきた少年を預かる補導委託を受け入れ 自分の工房で面倒を見ると誰の相談もなしに突然言い出した。一緒に生活することになった十六歳の少年 春斗。春斗を温かく見守り優しい言葉をかける父を悟は嫉妬にも似た気持ちでみている。 自分たちはかまってもらえなかったのに何故? 何故 急に補導委託を受け入れたのか?父親の気持ちが分からず戸惑う。 万引きをくりかえし補導された春斗。 無口で感情を表に出さない大人しい少年だった。 弁護士である父親は補導委託に反対の様子で、自分たちのもとで春斗を更生させたいとの思いがある。 だんだん悟や他の職人たちに打ち解けるようになった春斗は「家では息が上手く吸えなかった。海の中にいるようだった」と漏らす。 ✎┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 「あなたのためだと思って」という言動 子どもの幸せを願わない親はいない 自分と同じ経験をして欲しくない 辛い思いをさせたくない けれどその言葉は 子どもを苦しめてはいないか 子どもの未来を狭めていないか 「思ったことはできる限り言葉にしないといけない。気持ちなんて、それでやっと自分が言いたいことの数パーセントが伝わる程度なんだから。しかも、それが近くにいる人だったらなおさらさ。近すぎて見えないこともあるからさ」 本文のスナックのママの言葉。 ね。 私も子どもに間違った愛情を押しつけてなかったかな?子どもたちは自分の思い描いた人生を歩めているかな? 関係ないけど私の父はまさに悟の父親みたいな人。 仕事とパチンコで忙しいみたいで笑 口数も多くない。あまり優しくされたことも怒られたこともない。悟のように思っていた時期もあったけど、好きでも嫌いでもなかった。ただ父は 私のことが大好きだという謎の確信だけは持っていた というか持っている。只今、腰痛悪化で歩けない私を心配して 良い病院や先生を探し母親に伝えているらしい。そんな父が好きだ笑 こんな長々とレビューを書いて星が2なのは 悟と春斗が年齢の割に考えや言動がとっても子どもっぽく感じ終始モヤモヤしてしまったことです。
Posted by
家庭裁判所に送られてきた少年を預かる補導委託の引受を決めた南部鉄器職人の小原孝雄。親方でもある父の考えが分からず、突然のことに戸惑う息子の悟。工房で共に働き、自宅で同居することとなった春斗少年が、孝雄や父を尊敬する工房の職人の健司、不定期アルバイトの八重樫、妹の由美などの周り人々...
家庭裁判所に送られてきた少年を預かる補導委託の引受を決めた南部鉄器職人の小原孝雄。親方でもある父の考えが分からず、突然のことに戸惑う息子の悟。工房で共に働き、自宅で同居することとなった春斗少年が、孝雄や父を尊敬する工房の職人の健司、不定期アルバイトの八重樫、妹の由美などの周り人々と関わりあいながら、心の苦しみを乗り越えて行く様に、父に対して壁を作っていた悟の心にも少しずつ変化が訪れる。 まったりと読み進み、まあいろいろ良かったね!めでたしめでたし..という結論に達する読了感。
Posted by
単行本でページ数が多いなあって思って読み始めたんだけど、どんどん話に引きずり込まれていった。著者の作品は結構読んでて確かに好きな作品多いけど、これも大当たりだった。春斗君だけでなく、その家族や受け入れた側も、みんな一皮むけたよね。ムチャいい話で大好きです
Posted by
老舗の南部鉄器の工房に、ある日、軽犯罪を繰り返し保護観察処分中の少年が更生のためにやってくるところから物語は始まる。 心を閉ざす少年と大人たちの距離はなかなか縮まないが、ふとしたことがきっかけで、少年の悩みの原因がわかる。そこから始まる、少年と更生を支援する大人たち、そして少...
老舗の南部鉄器の工房に、ある日、軽犯罪を繰り返し保護観察処分中の少年が更生のためにやってくるところから物語は始まる。 心を閉ざす少年と大人たちの距離はなかなか縮まないが、ふとしたことがきっかけで、少年の悩みの原因がわかる。そこから始まる、少年と更生を支援する大人たち、そして少年の両親との確執と再生の物語。題材は地味だが、家族とは、ということを考えさせられる良い作品。
Posted by