ザリガニの鳴くところ の商品レビュー
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壮絶な人生を歩んできた湿地の少女の話 裁判の後は、心許せるパートナーと穏やかに過ごし、大好きな場所で最期を迎えられたようで良かった 「そこに悪意はなく、あるのはただ拍動する命だけなのだ」 自然の摂理には何物も抗えない
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沼地の少女という設定にまず衝撃を受けました。 アメリカの差別問題というと人種間の差別がわりとすぐ連想されますが、本作で取り上げているのは、ホワイトトラッシュと呼ばれる南部に暮らす白人の貧困層。 主人公カイヤの置かれた環境は壮絶ですが、その貧困な暮らしの隣には常に美しい自然があ...
沼地の少女という設定にまず衝撃を受けました。 アメリカの差別問題というと人種間の差別がわりとすぐ連想されますが、本作で取り上げているのは、ホワイトトラッシュと呼ばれる南部に暮らす白人の貧困層。 主人公カイヤの置かれた環境は壮絶ですが、その貧困な暮らしの隣には常に美しい自然があります。 作中で描写される沼地の自然の描写は本当に秀逸で、読んでいると鳥のさえずりや、木々の葉が風にそよぐ音が聞こえてきそうです。 自然も人間社会も等しく、喜びと辛さがあるということを実感させてくれる美しくも哀しい物語でした。
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もう心の中で整理できない気持ちがどんどん湧き出てきて途中で自分の体力を回復させないと物語に飲み込まれてしまいそうになって読み進めることが難しくなるほど強い作品だった。最後の最後までぎっっっしりつまっていて読み終えた今、静かに感想を語れる日は来ない気がする。だってね、ってここから何...
もう心の中で整理できない気持ちがどんどん湧き出てきて途中で自分の体力を回復させないと物語に飲み込まれてしまいそうになって読み進めることが難しくなるほど強い作品だった。最後の最後までぎっっっしりつまっていて読み終えた今、静かに感想を語れる日は来ない気がする。だってね、ってここから何時間でも語ってしまいそうだ。
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カイアが湿地の、家庭の厳しい環境下に置かれながらも孤独とたたかいながら美しくたくましく成長する様子に心をうたれた。 序盤は読んでいて心が痛む部分も多く、読むのが辛かったがカイア成長するにしたがって違う種類の胸糞の悪さも出てくるが特に中盤からはテンポ良く読みやすくなる。 最後の詩...
カイアが湿地の、家庭の厳しい環境下に置かれながらも孤独とたたかいながら美しくたくましく成長する様子に心をうたれた。 序盤は読んでいて心が痛む部分も多く、読むのが辛かったがカイア成長するにしたがって違う種類の胸糞の悪さも出てくるが特に中盤からはテンポ良く読みやすくなる。 最後の詩が、その詩の作者が、よかった。 何気なく手に取った本がヒットすることが多いなあ
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映画を先に見ていたので、 最後のオチは知っていながら読んだ。 カイアの心情は、映画のそれよりもより深く、 父親への恐怖と失望、誰にも愛されていない孤独、 教養を受けていない自分への恥、 期待したことヘの裏切りによる荒廃感が 伝わってきた。 映画版では大分きれいな女優さんを起用している ように思えたが、小説ではどちらかというと やや野蛮さを残した風変わりな人と いう感じだったのではないか。 この物語のポイントは、 弁護士によるリフレームにあると思う。 陪審員に訴えかけるシーンが秀逸。 私たち住民は、湿地の娘を自分たちとは違う人間だとみなし、疎み、遠ざけ、偏見の目で見てきた。 しかしこの裁判では、そうした背景を忘れて 事実のみに注目してほしい。 あなたがたならそれができると思う。 そうした問いかけをされた時、 一つ目の視点の転換として、 偏見のフィルターを外し、 純粋に事実を見ることに誘導される。 ただここで、もう一つ、陪審員は もっと重要な視点の転換を迫られる。 それは、偏見を持っていた自分から脱し、 偏見のない中立な良い人でありたいという 気持ちを思い起こさせられるということ。 この湿地の娘を有罪とするか無罪とするかは、 もはや被告人の問題ではなく、 陪審員自分自身がどんな人間かを問う問題に たくみにすり替えられている気がした。 映画を見直すと、カイヤも 「好きなように裁けばいい。でも彼らが裁くのは私じゃない。彼ら自身よ」といったことを言っている。自分がもしや死刑になるかもしれないといった 極限状況でそれに気づいていたのであれば、 すごい思考力だと思う。 面白かった、性に目覚めるあたりは 少し「哀れなるもの」のストーリーとも通じるものを感じた。女性にも女性として愛されたい欲求はある。しかし男性の前ではどうしたって圧倒的な力で負けてしまう女性、でも女性の中に秘められた真の力、容赦しなさをなめたらいかんぜよ、というような。
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作者が植物とかに詳しいらしく描写がすごいよーなんてザックリ教えてもらい読み始めました。 湿地の雰囲気、知らないながらに想像が膨らんだ。 主人公のカイア、すごいな〜〜、生き抜く力って言うの?すごいな〜 恵まれない環境の中であっても諦めずにやれる事をやって行く。生きて行くために...
作者が植物とかに詳しいらしく描写がすごいよーなんてザックリ教えてもらい読み始めました。 湿地の雰囲気、知らないながらに想像が膨らんだ。 主人公のカイア、すごいな〜〜、生き抜く力って言うの?すごいな〜 恵まれない環境の中であっても諦めずにやれる事をやって行く。生きて行くために。 爪弾きにする人も居れば寄り添ってくれる人も居た。 その優しさにどれだけ救われた事やろなぁ。 少女から大人になって行くカイアの変化や周りの変化。うんうん、女としてわかるよわかるよ、、てとこもありました。が、、、 読後少し時間が経ち、うまく書けないけど、 カイアは才能あるし、色んな意味で賢かった、、、 けど、 あーーーーーーー、、、、て思ってしまったよぉ。
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素晴らしい。ストーリーとしても文章としても読むに値する内容。頭の中で生き生きとした自然が映像化される。その中で繰り広げられるみずみずしい恋愛の尊さと、生き物のグロテスクな面が見事な対比で描かれている。自然界では善悪はなく、ただ遺伝子を残そうとする行動が脈々と受け継がれている。交尾の相手を食べてしまうカマキリのように。 テイトの至高の愛はなんて人間的なのだろうか。まるで真綿に包むような愛にうっとりしてしまう。カイアが幸せになるのか気になってどんどん読み進めていたが、やはり最後の最後で急展開。面白かった。 【実践】 日々の記録、スケッチをのこすこと 孤独をおそれない マインドフルネス
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細かく章が区切られていて読みやすく、翻訳もとても素晴らしい。 ミステリー?…って言えばミステリーだけど、推理とか謎解きとかには主眼は置かれてはいない。 ひとりの貧しい少女が湿地帯の雄大な自然にいだかれて逞しく生きる成長物語。 情景描写も秀逸で傑作と言っても差し支えないだろう。
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ミステリー仕立てになってはいて先が気になる展開で読ませる所もありますが、それはあくまでスパイス程度。 主人公である「湿地の少女カイア」の人生の物語です。主人公の魅力と、それを取り巻く湿地の描写で読ませます。 文庫は重いほど厚いですが、かなり長く楽しめました。
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【2024年47冊目】 湿地の中で孤独と共に暮らした一人の女、カイアの物語。物語は村の青年が死体で発見されたところから始まり、次に幼いカイアの人生について語られていきます。章が変わる毎に事件が進展を見せ、同時にカイアの人生も進んでいきます。 物語全体を覆っているのは「孤独」と「...
【2024年47冊目】 湿地の中で孤独と共に暮らした一人の女、カイアの物語。物語は村の青年が死体で発見されたところから始まり、次に幼いカイアの人生について語られていきます。章が変わる毎に事件が進展を見せ、同時にカイアの人生も進んでいきます。 物語全体を覆っているのは「孤独」と「生きる強さ」です。幼い頃に家族がいなくなってしまい、一人で湿地を生きることになったカイアは、時に恋に落ちながら、寄り添い合う温もりと、他人が去っていってしまう悲しみを一身に受けながら成長していきます。 物語は裁判のパートにさしかかって大きく様相を変え、ひたすらハラハラドキドキしながら行く末を見守りました。読んでる途中でトイレに行きたくなりましたが、限界まで行くのを我慢したほど。 弁護人と検察官の戦いは非常に臨場感に溢れていましたし、物語全体を覆うような湿地の描写は、はっきりと目に浮かぶようでした。私もボート浮かべて湿地を走り抜けたい。 そこそこ長めの話ですが、前半で愛を自覚しているからこその孤独が際立つパートがあるからこそ、裁判パートからの怒涛の展開が更に楽しめる構成だったのではないかと思います。 なお、最後らへん読んでた時、変な声出ました。 邦訳も素晴らしかった。きっと原文の美しさを存分に活かす訳し方をして下さっている。 映画も見てみようかなあ、話もそうですが圧倒的な美を見たい気がしています。
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