うるさいこの音の全部 の商品レビュー
「明日、ここは静か」と、合わせて完成するような。 高瀬隼子の作品は毎回ラストの視点人物が怖くて、好きだ。 帯から、メタフィクションぽい作品なのかな、と思っていたけれど、そんなことはなかった。架空と現実はきちんと区別されていて、変に奇を衒わない姿勢がよい。 作品と作者が近い、と...
「明日、ここは静か」と、合わせて完成するような。 高瀬隼子の作品は毎回ラストの視点人物が怖くて、好きだ。 帯から、メタフィクションぽい作品なのかな、と思っていたけれど、そんなことはなかった。架空と現実はきちんと区別されていて、変に奇を衒わない姿勢がよい。 作品と作者が近い、という、ともすれば小説の安っぽさに寄与しかねない問題にもきちんと言及していて、その点にも好感が持てた。
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感想 自分の姿を決めるもの。地位が上がったことで周りは擦り寄ってくる。それがあまりに鬱陶しい。だけどそれすらどうでもいい。もはや無気力。
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●なぜ気になったか 僕が好みの小説の一つの条件は、感性が刺激される、人の心の動きが描かれていること。主人公の作家デビューが、登場人物達の心の絡み合いをどう作り出すのかを楽しみたい ●読了感想 期待通りの面白さ。どこまでがノンフィクション?、主人公の考えの中に高瀬さんの本音はどれ...
●なぜ気になったか 僕が好みの小説の一つの条件は、感性が刺激される、人の心の動きが描かれていること。主人公の作家デビューが、登場人物達の心の絡み合いをどう作り出すのかを楽しみたい ●読了感想 期待通りの面白さ。どこまでがノンフィクション?、主人公の考えの中に高瀬さんの本音はどれくらい含まれているの?、などと考えるのが楽しかった。言葉使いのセンスも今の僕には相性最高! #うるさいこの音の全部 #高瀬隼子 23/10/10出版 #読書好きな人と繋がりたい #読書 #本好き https://amzn.to/3ZOoiQZ
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芥川賞を受賞した兼業作家の女性が主人公。小説家デビューしたと同時に、見知らぬ同級生から連絡が来たり、特に仲良くなかった人が友人としてSNSに投稿していたりと、ありそうだな〜と思えるモヤモヤなエピソードが満載で、心がざわついた。 インタビューに嘘を交えて答えると、それが地元の人たち...
芥川賞を受賞した兼業作家の女性が主人公。小説家デビューしたと同時に、見知らぬ同級生から連絡が来たり、特に仲良くなかった人が友人としてSNSに投稿していたりと、ありそうだな〜と思えるモヤモヤなエピソードが満載で、心がざわついた。 インタビューに嘘を交えて答えると、それが地元の人たちに知れ渡り、それが事実だったと語る人が現れる。 小説の中の主人公が自分に重なり、現実にも影を落としてくる。 会社員である自分と、作家である自分が分離して、心の中で言い合いを始める。 色々な境目が曖昧になり、何が真実なのかがわからなくなって、最終的に「どうでもいいや」になっていく主人公の心境に同情しながらも、不安定な危うさを感じる。 終始、ざわざわと落ち着かない気持ちで読んだ。これも読書の醍醐味。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「芥川賞受賞、おめでとうございます!」(帯より) 「うるさいこの音の全部」とその続編「明日、ここは静か」の2作を収録。 …ノンフィクション?いやいや違う。でも赤裸々(なのかどうかも懐疑的になるほど惑わされる)。 「※この作品はフィクションです。」というテロップを脳内に流しながら読みました。 受賞後から課されていくいわゆる有名税にじわじわと身動きが取れなくなっていく、自分自身にも止められない、賞味期限のカウントダウンをひしひしと感じる、毎作品なにかに囚われている人を描く高瀬さんの真骨頂。 フィクションとノンフィクションのマーブル模様。面白かったです…が今後は賞の授賞式を観るとヒヤリとしそう(汗 タイトルだけ出た作中作『配達会議』も読んでみたい。 #うるさいこの音の全部 #NetGalleyJP
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【小説と現実の境目が溶けはじめる、サスペンスフルな傑作】「おいしいごはんが食べられますように」に続き高瀬氏が描くのは、作家デビュー後の不安、そして彼女の身に起こる不可思議な出来事。
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ゲームセンターで働きながら小説を書いている長井朝陽が主人公。実は彼女は早見有日のペンネームで作家デビューしている。彼女の書いている小説が作中作として提示され、現実と虚構が曖昧になっていく。さらに高瀬さん自身が反映されているようにも読めて、実にスリリングである。 朝陽は相当面倒くさ...
ゲームセンターで働きながら小説を書いている長井朝陽が主人公。実は彼女は早見有日のペンネームで作家デビューしている。彼女の書いている小説が作中作として提示され、現実と虚構が曖昧になっていく。さらに高瀬さん自身が反映されているようにも読めて、実にスリリングである。 朝陽は相当面倒くさい性格で読んでいてイライラするが、有日の書く小説にはそんな朝陽の性格が裏返しに反映されている。現実で溜め込んだ負の感情をエネルギーに文章を紡いでいるのだろうか。現実での出来事のあとに作中作が変わっていくのもおもしろい。 さらっと読めて後味が悪いのはいつもの高瀬さんと同じだが、本作でまた一段高みに上ったように思えた。
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