うるさいこの音の全部 の商品レビュー
物語の設定と著者自身の4者?の境界が分からなくなって、読者自体が巻き込まれていく感じ。 どの作品も、誰もが自分の中にある澱、それを見事に文章に昇華することが出来るのが作家なんだと。 現実と虚構の物語、読者はさらに勝手に(著者の真実かと)妄想を膨らませていく。
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「うるさいこの音の全部」は文學界2023年2月号で読んでいたので、「明日、ここは静か」を読んだ。 「うるさいこの音の全部」の感想は、文學界の感想からコピペ。↓ ゲームセンターの社員兼小説家の主人公の話。 主人公が書いている小説と、地の文が交互に書いてある。だんだんと主人公が書いた小説の話と主人公自身の話が混ざってきて、どちらが小説でどちらが主人公の話だったかわからなくなった。 小説家が書いていることが、本当なのかフィクションなのか、ということが曖昧で、本当でもあるしフィクションでもあるということがなんとなくわかるのが面白かった。 「いい子のあくび」でもそうだったけど、主人公が心の中で思っていることと、実際に言葉に出したり表情に出すことが全く違っていて、実際に出す言葉や表情は、相手がこう言ってほしいだろうなという想定通りに喋っていて、それが少し共感できる。でも、この主人公はあまりにも相手の求める像に(相手がこう求めているだろうなという、主人公の想定でしかないんだけど)、寄りすぎていて、しかも言ったことを覚えていなさすぎて、そこはちょっと共感はできなかった。 「明日、ここは静か」は、その続きの話なのか、主人公が同じ。 インタビューに答えるとき、相手の求めるものを提供しなきゃと思うがあまり、話を作って嘘を言ってしまう。 こういう気持ちはわからなくもないけど、行きすぎていて怖いなと思った。 相手の気持ちを察する能力は素晴らしいけど、たとえ相手から求められていても、心にも思ってないことを言われると、それが嘘だと気づいた時に傷つくなと思うから、こうゆう人はちょっと怖いと思った。
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デビュー作から追い続けている高瀬さん。 本作は 「うるさいこの音の全部」 「明日、ここは静か」の二篇収録。 ゲームセンターで働く長井朝陽は、早見有日のペンネームで小説家デビューを果たし、なんと芥川賞を受賞する。 高瀬隼子さんご本人がモデル?なんて事はなく、あくまでもフィクショ...
デビュー作から追い続けている高瀬さん。 本作は 「うるさいこの音の全部」 「明日、ここは静か」の二篇収録。 ゲームセンターで働く長井朝陽は、早見有日のペンネームで小説家デビューを果たし、なんと芥川賞を受賞する。 高瀬隼子さんご本人がモデル?なんて事はなく、あくまでもフィクション。 朝陽自身が小説と現実の境界が曖昧になっていくのと同時に、作中作が合間に挟まれる事で読者も混沌状態に。 有名税と言うべきか、近づいてくる「うるさい」人達、それに反発するかのように嘘を吐き続ける朝陽。 悪意とネガティブな感情に飲み込まれそうになる。
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著者の実体験か想像の産物かは不明だが、一般人から有名人になることによるカオスな状況が詳細に描かれている。一般人・長井朝陽と芥川賞受賞で一躍有名人の仲間入りをした早見夕日の境界が曖昧になり、それとともに執筆中の小説と現実の境界があいまいになるあたりの描写は秀逸。2作品に分かれている...
著者の実体験か想像の産物かは不明だが、一般人から有名人になることによるカオスな状況が詳細に描かれている。一般人・長井朝陽と芥川賞受賞で一躍有名人の仲間入りをした早見夕日の境界が曖昧になり、それとともに執筆中の小説と現実の境界があいまいになるあたりの描写は秀逸。2作品に分かれているが、2作品が一つの作品になっている。受賞作ほどではないが、面白かった。
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一枚一枚重なっていく感覚。一度力を入れただけでは破れなくなるだろう。 ゲームセンターで働いている朝陽が小説家になったことで環境、周りの人、自分が変わってしまう物語。 新人賞、芥川賞で小説家になってことによって偽りの自分をつくってしまった。その影響で今までと見方がかわって...
一枚一枚重なっていく感覚。一度力を入れただけでは破れなくなるだろう。 ゲームセンターで働いている朝陽が小説家になったことで環境、周りの人、自分が変わってしまう物語。 新人賞、芥川賞で小説家になってことによって偽りの自分をつくってしまった。その影響で今までと見方がかわってしまい親友との関係がチグハグになってしまったり、少し盛った記事でトラブルが発生したりと本人は良かれと思ってやっていることで自分の首を絞め他の人からも指摘されてしまう有様、、、 ストレス不安によって仮面が重なっていく姿を見て優しい主人公だから読んでいて辛くなった。
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わー だめだ 苦手な本だった どこで息継ぎしていいかわからなくなるような文体 、と主人公が嫌いなタイプ なんだか疲れたのでとりあえず「苦手なやつ」 とだけ記しておこう。うん。
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感想はブログにて https://west-wing.hateblo.jp/entry/2023/10/26/194853
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高瀬さんのご本はほんとうにお話が終わったあと主人公の物語がどう続くのか、気になりすぎる…!そのまま嘘を吐き続けるのか、素直になって嘘をやめるのか。 今回は小説家になった主人公のお話だったので、お話の中で主人公の書いた小説を読むことが出来たんだけれど、そのお話も面白かったー! 小説家になったことで周りがめちゃめちゃはしゃいだり担ぎあげたりしているのを、しんど!しんど!って言いながら読みました 明日、ここは静かでは嘘だからそんなことは無いはずなのにわたしが元凶のイズタニです、ごめんなさい、って出てきたところで、どうにかして有名になった主人公に関わっていたいのかなって思ってうんざりした。。大変だったね主人公。。 でも、お話が進むと、小説に書いたもん勝ちだね、って主人公に噛み付く先生が出てきて、確かにそういう考えかたもあるのかってはっとさせられた。 何がどう影響するかわからないから、ますます自分の吐く言葉には注意しなきゃいけないな、吐いた言葉には責任を持たないといけないな、と身につまされる話でした。イズタニさん出現もそういうことだったのかな、って全部読み終わったあと、感想を書いている今納得した
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実体験も混じっているのだろうなぁと思わせる内容。 人から言われて思ったことなど、リアルな感情を書くのが上手いと思う。 中国人の息子の人の話は、とても印象的。 あとで、車を借りた先輩の後日談は、本当に怖い。 怖くて、車に乗る時に後部座席を確認してしまうかもしれない。怖すぎる。 雑誌...
実体験も混じっているのだろうなぁと思わせる内容。 人から言われて思ったことなど、リアルな感情を書くのが上手いと思う。 中国人の息子の人の話は、とても印象的。 あとで、車を借りた先輩の後日談は、本当に怖い。 怖くて、車に乗る時に後部座席を確認してしまうかもしれない。怖すぎる。 雑誌のインタビュー記事を見て、会いたいと訪ねてきた恩師の先生の話も、とても印象的。言いがかりか?とも思うけど、そうさせたのは自分の発言からなので、複雑に思う感じ。怒っていたんだね。先生。 有名になると、全く覚えのない人が、近づいてきたりするのかもしれない。 スイミングの先生とか、 その間に入って話をしてくる母親のいらただしさも。 そういうのが全部、うるさい音なのだと思った。
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今回も好みで、読み終えて面白いーー!と声に出してしまった。作家さんは、勝手に小説のイメージをつけられてフィルターを通して見られるのは生きにくそう。私は、登場人物で出てきた、作家さん自身には興味がない派で、むしろ生活知りたくない。しかし、高瀬さんの小説は大好きで、独特な世界の見方に感動する。あくまでも本としての見方で、高瀬さん自身の生活とは関係ないものなんだよなと考えさせられた。 作家以前の友だち、家族に小説を読まれるのは、作家ではない自分には想像もつかない。恥ずかしくなりそうだと思った。読んでほしいような、読んでほしくないような... 有名になった途端色んなところから、親しい顔で頼まれごとはイラっとするし断りたくなるだろうなと思った。はっきり断るべきだし、有名になったからこそ、お金を取って引き受けるべき。最後のインタビューの完全な嘘を指摘されるシーンが好きだった。
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