百年の子 の商品レビュー
出版社に勤める主人公が自分の祖母もかつて同じ出版社に勤めていたことを知る。戦中の祖母の文学への憧れや葛藤、現代に生きる主人公の葛藤、二つの時代が交差して繋がった時は胸が高鳴った。
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※このレビューにはネタバレを含みます
最初、主人公の気持ちの荒れっぷりでぞわぞわして息苦しく、読み進めるのが若干辛かったが、途中からは一気だった。その最初の部分があるからこそ伝わる部分は大きかった。子供の人権が百年、女性の本当の人権が確立するまでにはどのくらいかかるだろう。私は戦うことを諦めた人なので、少し胸が痛くもあった。
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久しぶりの古内さんらしい壮大で感動的な物語。 令和の今、大手出版社に勤める主人公の明日花が、学年誌100年の記念行事担当になって、過去を調べるうちに、大好きだった祖母の想いに触れていきます。その祖母が戦中・戦後に携わった学年誌の想いやその後の編集者の想いが、昭和の時代の物語として...
久しぶりの古内さんらしい壮大で感動的な物語。 令和の今、大手出版社に勤める主人公の明日花が、学年誌100年の記念行事担当になって、過去を調べるうちに、大好きだった祖母の想いに触れていきます。その祖母が戦中・戦後に携わった学年誌の想いやその後の編集者の想いが、昭和の時代の物語として、交互に進んでいきます。特に昭和の物語は、戦中から戦後へと、編集者や出版に携わる人々が、子どもたちと真剣に向き合おうとする姿に心打たれます。令和の明日花の大きな成長もすてきな、とても素晴らしいドラマでした。
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舞台はとある出版社。28歳の明日花は、女性ファッション誌から会社の百周年企画チームへと、意に沿わない異動でやる気をなくしていた。ある時、歴代入社者名簿の中に、今は認知症になってしまった祖母の名前を見つける…。 世界に例を見ない児童向けの学年別学年誌、百年の歴史を軸に、昭和と令和...
舞台はとある出版社。28歳の明日花は、女性ファッション誌から会社の百周年企画チームへと、意に沿わない異動でやる気をなくしていた。ある時、歴代入社者名簿の中に、今は認知症になってしまった祖母の名前を見つける…。 世界に例を見ない児童向けの学年別学年誌、百年の歴史を軸に、昭和と令和と、戦争や高度経済成長やコロナ禍など、時代が交錯しながら女性の人権や出版業界について描かれる、壮大な物語でした。 こちらは小学館の創立百周年の記念作品なんだそうです。あくまでもフィクションですが、実在の編集者や作家、漫画家などをモデルとしていたり、史実を元に描かれているようです。 私も小学◯年生、よく買ってもらって読んでましたね〜。四年生の頃だったかな、懸賞でドラえもんのTシャツが当たったこともありました。 現代の明日花へ、祖母の話がどう繋がっていくのか、また昭和40年代の編集者たちのエピソードもとてもおもしろかったです。エンタメ作品としてとても読みやすいけれど、大河ドラマのような確かな読み応えもある作品でした。
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明日花と祖母スエの意外な縁にほっこり。令和と戦争激動期を交互に描写。舞台は学年別の学習雑誌の先駆け、大手出版社。子どもに向けた熱意や社風が心地良い。世界で悲惨な戦争が蔓延る今、読んで欲しい一冊です。
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2023年で1番だった。 出版社で働く女性を中心に第二次世界大戦頃とコロナ禍の現代とを描いている。祖母と孫が繋がっていく。 戦後、手塚治虫が登場。凄い人だったんだと改めて感心した。100年史の話をOBから聞いているうちに祖母が深く関わっていたことが判明した瞬間ブワッと溢れた。一気...
2023年で1番だった。 出版社で働く女性を中心に第二次世界大戦頃とコロナ禍の現代とを描いている。祖母と孫が繋がっていく。 戦後、手塚治虫が登場。凄い人だったんだと改めて感心した。100年史の話をOBから聞いているうちに祖母が深く関わっていたことが判明した瞬間ブワッと溢れた。一気に色んなことがギュッとなる感じは爽快だった。 賞レースにノミネートされそう。
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ドキュメンタリーであり近代史であり、そして現在進行形の物語。 フェミニズムの作品かと思ったら全然違った。事実を基にした作品ならではの圧倒的な説得力。ラストに集約されるタイトル。久々に良作に出合った。
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Audible、石田ひかりさんの朗読が良すぎ。出版社を舞台に、母娘3世代が繋がるストーリー。女性や子どもの歴史はわずかまだ100年かーと納得。中盤少し飽きたけど、エンディングが凄く良かった!
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感想 なぜなのか?お上がそう指示するからか。だが草の根は確実に地下で広がっている。それが強かさ。女性も子供も確かにそこにいて輝いている。
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自分も幼い頃読んでいた学年誌だが、それを作った人達があんなにも子供のことを考え、情熱を持って取り組んでいたことに胸を打たれた。 戦時中は、学年誌にまで文豪達が子供達を戦争に駆り立てる内容のものを書いていたのに、戦争に負けた途端に内容が変わるという。世の中の風潮というものはいかに移...
自分も幼い頃読んでいた学年誌だが、それを作った人達があんなにも子供のことを考え、情熱を持って取り組んでいたことに胸を打たれた。 戦時中は、学年誌にまで文豪達が子供達を戦争に駆り立てる内容のものを書いていたのに、戦争に負けた途端に内容が変わるという。世の中の風潮というものはいかに移ろいやすく、脆いものであるか思い知らされる。 ラストの女性達が強かに逞しく生きてきた様子が描かれる場面は何ともすがすがしく、胸が熱くなった。 祖母と母と娘それぞれの生き様や想い、女性が働くことに伴う苦労、そして女性と子供の近代化が描かれ、読み応え充分。
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