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琥珀の夏 の商品レビュー

4

191件のお客様レビュー

  1. 5つ

    52

  2. 4つ

    69

  3. 3つ

    50

  4. 2つ

    5

  5. 1つ

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2024/05/12

最初から最後までぞくぞくし続けた。 問答の大切さを感じる中で、それがいつの間にか誘導になってないのか。なんだか胸の下奥をぎゅっと掴まれた気分に。

Posted byブクログ

2024/05/06

同じ環境で同じ話、経験を積んでも感じ方は人それぞれで糧にできる人、枷になる人がいる。という当たり前を再確認できた。自分が理解できないというだけで他人が信じているものを貶めるような事はしない方がよい。時には正しさは必要ない場合があるから。

Posted byブクログ

2024/05/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

エピローグが最高だった。 ミカとノリコ、それぞれの関係性の変化、個々人の変化が感じ取れるエピローグだった。 ミカの娘の呼び指す鳥の先にいる、ノリコに気づく。表現があったが、映像として見て取れるような書き方で凄すぎる。 本当に何があったかわからないが、自分の想像しうる悪い方に考えてしまうことはある。その中で最後に頼れる大人が先生でなく、親であって欲しかったなと思う。 子供の頃にあった記憶、なぜかすごい覚えている記憶とかある。 良いことと悪いことの両方が切り離しようもなく捻れてくっつき合い、闇と向こうで不気味にうごめいている。 本作とは関係ないが、自分ごとのように考えると、小さい頃から、親と離されて暮らすのはやはり辛いなと思う。たしかに離れて暮らすことで子供たちとの間でのコミュニケーションなどは上手くなると思うが、親、家族とでしか得られない愛とか信頼とか安心とかそういったものがあると思っている。それを大事な時期に感じられない環境にいるのは少し勿体無いことだなぁと思った。

Posted byブクログ

2024/05/05

すべてとは言わないまでも、辻村深月さんの作品は結構読んでいるほうだと思う。一作ごとに趣向が凝らされ、特定のジャンルに固定されない。作品の幅が本当に広い作家さんである。 子どもを親元から離し、自然の中で共同生活を送らせる団体「ミライの学校」。弁護士の法子は小学校のときの3年間、こ...

すべてとは言わないまでも、辻村深月さんの作品は結構読んでいるほうだと思う。一作ごとに趣向が凝らされ、特定のジャンルに固定されない。作品の幅が本当に広い作家さんである。 子どもを親元から離し、自然の中で共同生活を送らせる団体「ミライの学校」。弁護士の法子は小学校のときの3年間、この学校が主催する夏休み合宿に参加していた。関係者による不祥事が発覚し、カルトと糺弾されてから30年後、学校跡地から子どもの白骨死体が発見される。 宗教2世問題がクローズアップされる前に発表された作品だが、まるで時代を先取りしたかのようなテーマに注目が集まった。辻村さんは子どもの視点から社会を切り取っていくのが非常に上手い。本作も一気に引き込まれて読了した。

Posted byブクログ

2024/05/03

やっぱり本当に辻村深月さんの世界が好き。 最後の最後までドキドキ、先を楽しみに読み終えた。 難しい狭い世界の、いわゆる宗教的な見えない暗闇を本当に想像できる表現でストーリーが作られていた。 読み応えがあり納得できる終わり方。 続編があればぜひ読んでみたいです!

Posted byブクログ

2024/04/17

カルト団体的な施設で暮らして来た子ども達のストーリー。 読み始めは場面設定や時代設定にあたる情報が不足していて読みづらいなあと思っていたが、ようやく中盤くらいでそれも意図的な演出と気づき、一気に面白くなった。 カルト団体との関わりは全く経験が無いが、それでもそこに暮らす人々のリ...

カルト団体的な施設で暮らして来た子ども達のストーリー。 読み始めは場面設定や時代設定にあたる情報が不足していて読みづらいなあと思っていたが、ようやく中盤くらいでそれも意図的な演出と気づき、一気に面白くなった。 カルト団体との関わりは全く経験が無いが、それでもそこに暮らす人々のリアルが手に取るように想像でき、流石の辻村先生だと思った。 (カルト団体のモデルは、時代的に◯ームオブハートかな?笑) また、幼稚園や小学校の子どもの心理描写もすごくリアルだった。話に引き込まれるにつれ、遠い昔の自分の子ども時代の記憶を呼び覚まされた気がした。 全体の9割は陰鬱なトーンだが、最後はほんのりハッピーエンドで終わってくれるので、救いようがあるのも良い。 ------------ 一番良いと感じたのは、このカルト団体のことを全面的に悪いとは断罪しない展開になっていたこと。危険な側面をしっかり描きつつも、この団体の魅力や美化された思い出も揺るぎない事実としていることで、団体側の人物にうまく感情移入できた。

Posted byブクログ

2024/04/24

辻村深月さんの書く文章は、古傷が開くというか、ものすごく心を抉る こんなに心を晒して大丈夫だろうかと心配になる。 読んだあと、物語から浮上するのに時間がかかる。 登場人物の彼女らには幸せになって欲しいと願う。

Posted byブクログ

2024/04/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

法子は小学生4-6年生の夏休みの度に、「ミライの学校」というカルト集団のサマースクールに参加していた。その際、ミカやシゲルといった友人たちに出会っていた。 ミカもシゲルも麓の学校からは切り離され、「ミライの学校」で生活せざるを得ない小学生であった。やがて法子が大人になった際、ミライの学校の敷地からは子供の白骨遺体が見つかる。 弁護士となっていた法子は、吉住という老夫婦から生き別れた孫ではないかという捜索依頼を受け、「ミライの学校」に乗り込むことになる。結果として、吉住の孫娘は別に生きていることがわかる。 しばらくして白骨遺体は久乃という娘のものであることが判明する。 「ミライの学校」の窓口役となっていたミカは、当時の久乃との関係が深かったことから久乃の母より訴えられることに。ミカと結婚していたシゲルからの依頼もあり、ミカの弁護に立つことになる法子。 やがてミカの口から真相が語られる。久乃はミカによって自習室に閉じこめられたのだが、そこの天窓から抜け出そうとして、転落死をした。当時の大人は誰もミカは悪くない、という。 そうではない、ミカは何が起きたのかきちんと知りたかった。罪と向き合いたかった。悪くないと告げることで、大人は全てをミカのせいにし、全てを隠蔽しようとした。ミカは久乃と大人になりたかった。だけれど、全ては琥珀の中に閉じ込められてしまったー 法子との出会いはその琥珀を砕く契機となった。琥珀からはあの時、あの夏、そして友情と罪が溢れ出してくる。 主題は辻村深月の最高作だと思います。

Posted byブクログ

2024/03/29

どこか、なんとなく理想的に映る「ミライの学校」から白骨遺体が見つかり…… という話。ノリコやミカの心情に翻弄されながら読み進めていくうちに、ミライの学校の大人たちや子供たちに、どこか、なんとなく覚える違和感、奇妙さ、あやしさとあやうさ。友情や裏切り、愛情や無関心など交差する結末は...

どこか、なんとなく理想的に映る「ミライの学校」から白骨遺体が見つかり…… という話。ノリコやミカの心情に翻弄されながら読み進めていくうちに、ミライの学校の大人たちや子供たちに、どこか、なんとなく覚える違和感、奇妙さ、あやしさとあやうさ。友情や裏切り、愛情や無関心など交差する結末は絶望か希望か。「読んだ時間、返せっ!」とは思いませんでした。

Posted byブクログ

2024/03/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「思考力」はとても大切だと思うし〈ミライの学校〉の掲げる理想に納得できることも多い。ただ、その結果、子どもたちを大人にとっての〝理想“の子ども像に縛り付けていることに心がギュッと締め付けられた。こう答えてほしいんだろうな、これが正解なんだろうな、と意識して話すのは自分にも心当たりがあるけれど、その環境で育った「いい子」に本当の意味での「自主性」は生まれないだろう。大人(と一括りにするのは本意ではないけれど)たちが善意で活動していることに恐ろしさを感じる。そして、自分だけで育てる自信がないから、という大人たちの裏の動機も恐ろしかった。 〈ミライの学校〉はみんな平等。誰も見捨てない。みんな等しく愛される。でも、子どもには「何があっても自分だけを愛してくれる存在」が必要なんだ。それが家族でも、そうでなくても。誰かに特別に愛された経験が、自己肯定感、ひいてはその後自分の人生を生きる糧になるのではないだろうか。 それでは、幼少期を歪な環境で過ごし、かろうじて立っている大人は、どうすればいいのだろう。自分の過去を正当化しなければ立っていられない場合には、どのように救いの手を差し伸べればいいのだろうか。 そんなことを考えさせられた。 人は誰しも、思い出の中に囚われがちだけれど、自分にも相手にも、等しく時間が流れている。その物語を想像し、尊重しあえるかどうか、が、大人になってからの再会、関係作りには大切なのかもしれない。

Posted byブクログ