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琥珀の夏 の商品レビュー

4

199件のお客様レビュー

  1. 5つ

    54

  2. 4つ

    72

  3. 3つ

    51

  4. 2つ

    5

  5. 1つ

    0

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2024/07/12

暑さが次第に厳しくなってきた。「夏」と題名にあるものを冷房の効いた本屋さんで探していたら、見つけた。「琥珀」というのも気になる。琥珀は樹脂の化石だ。そこから登場人物の過去を夏とともに思い出されることを推測してしまう。まさか、ジブリに出てくる川の神様ではないだろう。 まるでタイムカ...

暑さが次第に厳しくなってきた。「夏」と題名にあるものを冷房の効いた本屋さんで探していたら、見つけた。「琥珀」というのも気になる。琥珀は樹脂の化石だ。そこから登場人物の過去を夏とともに思い出されることを推測してしまう。まさか、ジブリに出てくる川の神様ではないだろう。 まるでタイムカプセルのように琥珀に閉じ込められた作者の気持ちが溶解していくように感じた。案外奥が深い作品だと思う。 ミカ(美夏)とノリコ(法子)の時間軸は子どものころと、現在の成人した時代が織り交ぜられる。ミカって「夏」の字が入っている。初めはカタカナだった。そこに意味がある。テーマとしては、カルト集団に限らず子育てのあり方が主題だと感じる。それを子どもの視点からも描くために、子ども時代を並行して描写されているように感じた。同時に本来の豊かさとはどうあるべきかという事も考えさせられた。 この作品は、さまざまな疑問点が少しずつ紐解かれていくストーリーにもなっていて、それも魅力だと感じる。また、主テーマに付随するテーマも現代日本の課題を浮き彫りにしている。 こうした事を考えさせられたことから、案外奥が深いと思ったのである。

Posted byブクログ

2024/07/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

辻村さんは様々な年代の子供の感情を表現するのがすごく上手だと思う。ミライの学校、そこでの過ごし方や問答、先生の考え方など否定できない部分もある反面、ミライの学校での環境しか知らない子供達、親と離れて暮らすこと、外の世界と拒絶されていてそんな子供達に本当にミライはあるのか? ヒサノとミカのやりとりが切なく11歳のミカがかわいそうに思えた。いろいろ考えさせられた。

Posted byブクログ

2024/07/25

琥珀といえば、まず琥珀糖を連想する人が多いだろうが、実際は何千年も前の樹木の成分が堆積してできた天然樹脂の化石を意味する単語のようだ。 それに対して琥珀糖は、好きな色をつけて固める砂糖菓子。両者に共通しているのは、かつての記憶や瞬間を閉じ込めているという点で、“琥珀”の夏というタ...

琥珀といえば、まず琥珀糖を連想する人が多いだろうが、実際は何千年も前の樹木の成分が堆積してできた天然樹脂の化石を意味する単語のようだ。 それに対して琥珀糖は、好きな色をつけて固める砂糖菓子。両者に共通しているのは、かつての記憶や瞬間を閉じ込めているという点で、“琥珀”の夏というタイトルが秀逸だと思う。 作品全体を通して、待機児童問題、核家族化、仕事と育児の両立、宗教、公教育、社会を生き抜く力、学歴至上主義…等々考えさせられることは多かった。今時、一馬力の世帯はほんの一握りとは聞くが、そこでの子育てって実際どうなのだろう。 カルトかそうじゃないかの線引きって難しい。 妙に教育熱心で、調べる暇がある(母)親ほどハマってしまう。 時間がある人ほど余計なことに首を突っ込みがち。 現代パートの切れ味は流石としかいいようがない。子どもの頃って、今となってはどうでもいいことにくよくよ悩んでいたと思う。ミクロな世界しか知らない頃の私に教えてあげたい。そのうちどうでもよくなるよって。 ただ情景描写に関してはピントが合っているように見えて、ずっとピンボケ。回想や先生間の関係性も有耶無耶にされてしまったような感覚が拭えない。 最終章手前の残ページを見て、ここから決着がつくのかと一抹の不安を覚えたが、無事着地。そして着地点は妥当というところ。 頁数の割に読後感はライトであった。

Posted byブクログ

2024/07/06

シリアスなのに重くなく、ページをめくる手は止まらず。読後もすっきり。 今年読んだ中で一番考えさせられた本。

Posted byブクログ

2024/06/30

辻村深月はクラスに1人はいるような嫌な女を描くのがとても上手だと思う。言葉選びだったり、妬み嫉みの行動だったり。 なんとなく終始ぼやっとしてて先生たち同士の関係性などはっきりしないものが多かったので3

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2024/06/29

テーマが定まらない感じがして、辻村作品としては珍しく長く感じてしまった。子供と宗教の話はあまり好きじゃないからかも。

Posted byブクログ

2024/06/25

友達から、「自分が面白くないと思われている」という表現を読んだ時、心がギュッとなった。 私自身も思春期に、友達との会話やコミュニケーションにとても悩んで苦しんだ時期があった。 ひとりぼっちよりはマシだと思って、あまり好きではない友達とつるんだりしたこともあった。 大人になった...

友達から、「自分が面白くないと思われている」という表現を読んだ時、心がギュッとなった。 私自身も思春期に、友達との会話やコミュニケーションにとても悩んで苦しんだ時期があった。 ひとりぼっちよりはマシだと思って、あまり好きではない友達とつるんだりしたこともあった。 大人になった今、視野が少し広がって色んな価値観も知ることができてやっと、思春期時代を客観視することができる。 だけど、痛みは痛みとして残ったままで、思い出して自己嫌悪に陥ったりすることがある。変わってないなあと思ってしまう。 そんな自分と重ねながら読んだ本でした。 ノリコとミカの関係が前を向いていて救われました。

Posted byブクログ

2024/06/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

親が子どものことを思って入れた場所に囚われ続けたまま成長したミカ。 その場所に一時的に行ったからこそ、自分も理解できるという思いでいたノリコは、途中でその思いが砕かれる。 しかし、同じ子どもを持つ親だからこそ感じとれる部分もあって、それが終盤の2人を繋ぎ止めていく。 子どもは今自分がいる環境やそこからの影響が全てで、その子の普通になる。 他を知らないから、それが良いのか悪いのか、考えることもできない。 宗教のように、同じ理念に共感した場に集まる中にも色んな思いを抱える人がいるのかと思った。 また、子どもの教育等に良いからという思いでも、大人になったときにどうなのかという視点でも考える必要があると思った。

Posted byブクログ

2024/06/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

新興宗教。昔からあったけど2022年くらいから特にクローズアップされてる。宗教って自分自身の意思がなくなってしまう感じが子どものころから怖かった。そういえば、エホバの証人を親が信じている家の子がいたけど、今頃どんな人生送ってるのかな?

Posted byブクログ

2024/06/16

失恋後15作品目 読み終わった時に、なんとも言えない気持ちになった。夏の思い出がそれぞれの立場によって、同じ出来事でも感じたことや考えていることは…当たり前ではあるが違うのだと。宗教的なニュアンスのある施設での親子分離での自立生活。色々な思いを抱えている子どもたちや大人たち。 分...

失恋後15作品目 読み終わった時に、なんとも言えない気持ちになった。夏の思い出がそれぞれの立場によって、同じ出来事でも感じたことや考えていることは…当たり前ではあるが違うのだと。宗教的なニュアンスのある施設での親子分離での自立生活。色々な思いを抱えている子どもたちや大人たち。 分量的には長く、途中重く、でも最後はなんとなく光があるような、そんな感じがした。

Posted byブクログ