琥珀の夏 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
子供と子育てについて様々な視点から体験することができ、自身にとってはとても参考になった。 どの視点に立っても「なるほど、よく分かる」と思わされた。 話自体はとても良かったです。ただ、一点だけ。 大人になった美夏ちゃんが、法子ちゃんに急に真実を話したくなった、そのきっかけだけが理解できません。
Posted by
うーん、、、面白かったけど。期待値ほどではなかった。登場人物が多く、脇役の描写はもう少し丁寧に描いて欲しかった。カルト宗教という設定自体が興味深く惹きつけられたが、登場人物の奥の部分というか背景をもう少し知りたかった。
Posted by
私も施設で育ったから気持ち分かるよ 余談,,,又吉直樹大先生は、「学生時代の友達なんて、なんの意味もない。家が近い、親が仲良い、習い事が同じ、とかそんなレベルの事。大人になれば価値観の合う友達が出来るから、そちらの方がよっぽど意味のある友達だ」と。
Posted by
かつてカルトと批判された団体『ミライの学校』敷地で発見された女児の白骨死体。 30年前、『ミライの学校』の『学び舎』での合宿に参加した経験を持つ、弁護士となった法子。 白骨死体は、友だちになった彼女ではないか…と。 そんな法子のもとに、白骨死体の身元確認を『ミライの学校』と交...
かつてカルトと批判された団体『ミライの学校』敷地で発見された女児の白骨死体。 30年前、『ミライの学校』の『学び舎』での合宿に参加した経験を持つ、弁護士となった法子。 白骨死体は、友だちになった彼女ではないか…と。 そんな法子のもとに、白骨死体の身元確認を『ミライの学校』と交渉して欲しいとの依頼が… 白骨死体はいったい誰なのか?? カルト。カルト教団の狂気による被害、を想像していたが… 『ミライの学校』、なんなんだろう?? 実際のモデルがあるんだろうか、想像がつかない… カルトにまでなるなんて、もっと宗教的なバックがあるのかと思ったが… でもそこに関わるひとたちにとっては、宗教的なものになるんだろうが… 親と子の在り方について考えさせられる。 子どもの自立を促すにはいいのかもしれない。 ただ、幼い子どもを物心つく前から親と離れて暮らさせることができるだろうか?? さすがにそこまでは… それは育児放棄ではないのか?? ミカの両親のように、20歳すぎてから、一緒に暮らしてもいいと言われても… 何か、子どものため、といいながら、本当に子どものことを考えているのか、と、思ってしまう。 親がいいと思ったことを子どもに押し付けているだけなんじゃないか。 『大丈夫』、何が大丈夫なのか… 結局、大人たちの都合で隠蔽されなければならなかったんだろう。 自分たちの秘密が明らかにならないように。
Posted by
ミライ、問答、自習室などのワードがその団体の奇妙さをうまく表現している。 子供達の心理描写を的確に表現し、ストーリーも過去、現在と進み飽きさせない。 何が正義かは色々な尺度があると思う。
Posted by
読んでいる間も、読み終わってからも、不思議な、複雑な感情が、じわっと、存在している感じ。 もし仮に、この作品を数年後に読み返したとしても、この複雑さはそのまま存在し続けるだろう。 <ミライの学校>という団体の施設の跡地で、白骨遺体が発見される― そんな事件から始まり、主人公の近...
読んでいる間も、読み終わってからも、不思議な、複雑な感情が、じわっと、存在している感じ。 もし仮に、この作品を数年後に読み返したとしても、この複雑さはそのまま存在し続けるだろう。 <ミライの学校>という団体の施設の跡地で、白骨遺体が発見される― そんな事件から始まり、主人公の近藤法子は、弁護士としてこの事件に関わっていくことになる。 そして、弁護士として関わるずっとずっと前から、法子は、この団体を知っていたのだ。 辻村さんの子どもの感情の描き方は本当に丁寧で、今回は、「あなたのためを思って」という、大人がよく子どもに発するこの、良かれと思ってされた表現が、後々その子どもを、ひいては大人になったその人をどれほど苦しめるか、ということが608ページに渡って描かれている。 解説は、こちらも少女の心を丁寧に描くことに長けた、桜庭一樹さん。 解説にあった、愛と平等の話が印象的。 P614「わたしは、子どもには<愛>と<平等>の両方が必要だったのだな、と読後にしみじみ考えた。家庭などのプライベート空間には<愛>があり、学校などの学びの空間には<平等>がある、それが理想だといったら、理想を語りすぎだろうか?」 P614「残酷な現実ではあるけれど、学校であれ、家庭であれ、理想的とはいえない環境で生きのびるしかなかった子どもは、いびつな足場に合う独自の魂の形を作って成長し、その形に固まり、自分だけのバランスでかろうじて立っているような大人になるのではないかと思う。そうやって生き残り、大人になってから、『その足場、間違ってますよー』と誰かの手で正しいものに急に変えられたりしたら、逆にバランスが取れなくなって倒れてしまうかもしれない。」 (これはトー横とかの子どもがまさにそうだと思う) 仕事で出会う保護者や子どものことを思う。 例えば保護者は、子どもが学校に行かないことに、困り果てている。保護者と話していると、「子どものためを思って」いることが多い。だけど、子どもは保護者と同じ方向を向いていなかったり、保護者が、「子どものためを思って」用意した道が合わなくて苦しんでいたり、家庭環境が複雑だったり。 子どもの話を聞くと、「そんな風に思ってたんだー!」ということも多々。 解説にあるように、足場が急に倒れることは、誰にとっても苦しい。だから、保護者も子どもも、少しずつ別の価値観や選択肢を知って、いびつな足場を自分で調整したり、受け止めたりできるようになれたらいいなと思う。 「こうしたら楽なのに」と思うことや、大人が代わりにやってあげられることだってたくさんあるけれど、それを子どもが自分で選んだり決断することが大切で、その選択や決断が子どもにとって苦しいものであっても、いろんな感情と向き合って、「自分で選んだ」「自分で決めた」ことを尊重してエールを送りたい。 その大切な瞬間を「あなたのためを思って」奪って、代理で決めてしまうことは、結果として子どもを苦しめる。 遠回りをしてでも、不登校の期間が多少長くなっても、子どもがじっくり向き合う時間に、じっくり寄り添う。 あなたのためを思うのなら。
Posted by
カルト団体「ミライの学校」の施設から白骨死体が見つかる。弁護士の法子は子供の頃にこの「ミライの学校」の夏合宿に参加した経験があった。もしかしたらあの子の白骨死体なのか? 偶然依頼された仕事から、この白骨死体の謎に法子は踏み込むことになるのだが…。 魅力的な謎と、何が正しさなのかを...
カルト団体「ミライの学校」の施設から白骨死体が見つかる。弁護士の法子は子供の頃にこの「ミライの学校」の夏合宿に参加した経験があった。もしかしたらあの子の白骨死体なのか? 偶然依頼された仕事から、この白骨死体の謎に法子は踏み込むことになるのだが…。 魅力的な謎と、何が正しさなのかを突きつける物語。決してカルト団体を擁護しているわけではないが、立場が違うことで価値観も違うことの難しさに読み進めながら考えさせられる。 「ミライの学校」と向き合うことは、自分の過去に向き合うこと。法子の視点、「ミライの学校」の子どもの視点が交互に語られ、物語の本質に近づく様は読む手が止まらなくなる。さすが、辻村深月さん。
Posted by
カルト団体〈ミライの学校〉…裏表紙の文字を目にしただけで、嫌悪感で怖くなる。 正しいと信じる教義がある強さと、一般社会の乖離の話?と想像していたのだが、そんな単純なものではなかった。 かつて団体施設があった土地から、少女の白骨遺体が見つかった。主人公の法子は、小学生時代に団体...
カルト団体〈ミライの学校〉…裏表紙の文字を目にしただけで、嫌悪感で怖くなる。 正しいと信じる教義がある強さと、一般社会の乖離の話?と想像していたのだが、そんな単純なものではなかった。 かつて団体施設があった土地から、少女の白骨遺体が見つかった。主人公の法子は、小学生時代に団体が主催する、夏合宿に参加した経験があった。 遺体はそこで友達になったミカちゃんではないか⁈ 法子と一緒に胸がザワついた。 子どもでも大人でも、自分の居場所とアイデンティティを求めてやまない。 子どもの愛されたい願望が切なかった。新文庫化作品。
Posted by
ミカとノリコの話を中心に、彼女たちの子どもの頃と大人になった今の話を行ったり来たり。 「ミライの学校」跡地で発見された白骨遺体は誰のものなのか?真相が気になり、ページをめくる手が止まりませんでした。 子どもの頃に経験したような、きゅうっと胸が締め付けられるような気持ちの数々が丁寧...
ミカとノリコの話を中心に、彼女たちの子どもの頃と大人になった今の話を行ったり来たり。 「ミライの学校」跡地で発見された白骨遺体は誰のものなのか?真相が気になり、ページをめくる手が止まりませんでした。 子どもの頃に経験したような、きゅうっと胸が締め付けられるような気持ちの数々が丁寧に描かれていました。読了後の満足感の高い作品でした。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ある新興宗教施設で女児の白骨遺体が発見されます。 それをニュースで知った主人公は、かつて3年間毎年夏休みにそこへ遊びに行っていたことを思い出します。そうこうしている内に弁護士である主人公の元へ、その新興宗教関係の依頼が来て‥というお話でした。 ◯ 施設では〈問答〉というお題に対して自分はどう思うか/なぜそう思うのかを子供達だけで考える時間があります。一見"自主性を育て思考する力"を伸ばそうとしているように見えますが"ミカちゃん"は子供の頃からなんと答えれば大人に褒められるのかを意識して回答しています。そしてもちろん子供の内は気付きませんが、大人は純真無垢で優しく賢い子供の理想的回答に誘導尋問するように話しかけるのです。 ミカちゃんが施設の大切な泉を汚した時も大人はなぜそうしたのか、何のためにしたのかは誰1人聞きません。事件が起こった時も、自分達大人の恥ずかしい側面には一切触れません。 まるで子供を守る優しい大人のふりをして、子供の声に耳を傾ける風にして、ミカちゃんの気持ちを無かったことにしてしまいます。 ◯ 宗教2世というと、子供の意思に関係なく入信させられて可哀想とか、世間とは隔離された世界で生きてきた人が外の世界で生きようとすることの大変さとかを思い浮かべていました。 でも、考え方自体をその施設にいる時のままに縫い留められて客観性を失うこともあるんだ、それがその後の人生にどれだけ影を落とすかということを感じました。 これは教えた側が宗教団体だからこんなに取り沙汰されているけれど、大人から子供、親から子供という単位になれば本当によくある話だと思います。 自分もそうしてしまわないように気をつけたいし、 ある種の呪いが解けるように頑張りたいです。 人生むずかし〜〜ね!!!
Posted by