琥珀の夏 の商品レビュー
辻村深月さんの作品。 カルト集団的なミライの学校でかつて過ごしたミカ、ノリコそれぞれの視点から描かれる。 小学生くらいの視線での描き方は、本当に上手で、私も小学生からだいぶん離れたけれど生き生きとイメージできる。 思想というのは怖くて、いいものだとのめり込んで、過ごしてしまったそ...
辻村深月さんの作品。 カルト集団的なミライの学校でかつて過ごしたミカ、ノリコそれぞれの視点から描かれる。 小学生くらいの視線での描き方は、本当に上手で、私も小学生からだいぶん離れたけれど生き生きとイメージできる。 思想というのは怖くて、いいものだとのめり込んで、過ごしてしまったその時間は後から取り戻すことはできない。 思想、自己啓発、宗教、いろいろ紙一重だなと思いつつ、こう言ったことをテーマにした作品に私は惹かれがちだ。
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いままで辻村深月の本は苦手意識あったけど(でも毎回話題に乗せられて読んでいる)今回はおもしろかった。 非日常すぎない、自分には関係がなさそうでありそうな話 途中で保育園の児童待機問題出てきて???と思ったけど、そこで繋げたかったのねと納得 よくあるニュースの内容だけど。 黄色い家...
いままで辻村深月の本は苦手意識あったけど(でも毎回話題に乗せられて読んでいる)今回はおもしろかった。 非日常すぎない、自分には関係がなさそうでありそうな話 途中で保育園の児童待機問題出てきて???と思ったけど、そこで繋げたかったのねと納得 よくあるニュースの内容だけど。 黄色い家に雰囲気が似ている気がした。 読んでいて胸が苦しくなる部分がたくさんある。途中で読むのがつらくなることもあるけど続きが気になる…人間の性なのかもしれないな はじめ琥珀の夏ってなに?と思ったけどなるほどノリコはそういう気持ちなんだなと思った時から流石のネーミングセンスだなと思った。
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さすが辻村作品。ページを捲る手が止まらず一気に読破。でも、面白かったけど他の作品ほどには響かなかったです。 これは宗教団体とは別かもしれないですが、根底は同じなのでしょう。まるで洗脳のようにミライの学校は素晴らしいと信じている人たちがいる。家族、とりわけ子供を巻き込んで。 少し前...
さすが辻村作品。ページを捲る手が止まらず一気に読破。でも、面白かったけど他の作品ほどには響かなかったです。 これは宗教団体とは別かもしれないですが、根底は同じなのでしょう。まるで洗脳のようにミライの学校は素晴らしいと信じている人たちがいる。家族、とりわけ子供を巻き込んで。 少し前に世間を騒がせていた宗教二世と同じですね。 私も小学生の頃、親が天理教に入っている友人に誘われて一緒に奈良まで夏休み子供会みたいな泊まりのイベントに行ったことを思い出しました。集会みたいな何かで貧血起こしたことしか覚えてません。二度目はなかったです。私はただシカに餌があげれるっていうから来たのにと思ってました。 でも法子にとってミライの学校は琥珀に閉じ込めた綺麗な思い出なんですね。 個人的には法子と瑛二のやり取りが印象的でした。 瑛二の反応はまさに世間一般のもので、むしろ妻である法子の話を一旦飲み込んで聞いてくれる良い旦那さんだなぁと思いました。 でもそこにちょっともやもやしてしまう法子の心情も分からなくはない。ミライの学校は当時の法子にとって非日常で、学校カースト下位の彼女が認めてもらえる場所だったのでしょう。 そしてそれが夏の一週間の出来事だから綺麗な思い出なのだということをきっと大人になった法子は分かってるんだろうなと思います。 分かってはいるけれど、ミライの学校にしか自分の孤独や寂しさやほんの少しの虚栄心を埋めてくれる人はいなかったということを、夫が理解してくれることは決してないということにもやもやするんでしょう。いま一番近くにいるはずの存在なのに。 毎回思うのは、辻村さんはその微妙な心理描写を描くのが本当にお上手だということです。
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素晴らしい作品でした。608ページ、一気読み! ブクログで数えてみたら、辻村深月さん、私はこれで、10作目でした。(昔、図書館で読んでて忘れているのがなければ) なぜかしら?辻村さんの本を手に取るとき、私はいつも、ちょっと勇気がいるのです。 ミステリーとか、ちょっと怖かったり、ガ...
素晴らしい作品でした。608ページ、一気読み! ブクログで数えてみたら、辻村深月さん、私はこれで、10作目でした。(昔、図書館で読んでて忘れているのがなければ) なぜかしら?辻村さんの本を手に取るとき、私はいつも、ちょっと勇気がいるのです。 ミステリーとか、ちょっと怖かったり、ガッツリ話や変な話(?)も好きなので、怖いとかそういう単純なことではなく……なんだろうな?子ども目線での表現が豊かだから、親になってる自分が読むのに、ちょっとした覚悟がいるのかもしれない?と今回思いました。 今作、話としては、もっとカルト宗教的なものかな?と思って読み始めたのですが、違うのです。 宗教の教義を無理強いするとか、そのために財産(お布施?)をいっぱい取るとか、そういう話は一切ありません。むしろ、まったく別の意味合いで、〈ミライの学校〉の人達は『本気』なのです。(宗教の人も『本気』だもんね)本気で、「子どもの未来を考え、自立のために親と離れて集団生活をする」というもの。 いやいやいやいや、幼児期からそれはないでしょ!と私個人は、ありえない!と思って読んでました。 もちろん、子どもを育てることが出来ない親(経済面、精神面、虐待etc.)というのは現実にいるし、そのために、児童養護施設というものがあるわけですが、このお話では、親が自ら望んで〈ミライの学校〉に子どもを預けてしまうのです。なんで⁈っていう感じ。 辻村さんの子どもの気持ちの描写は丁寧で丁寧で…お話前半の、ミカの泉でのシーン(ネタバレできない)もうここだけで、涙が出そうだった。 子どもって(自分自身を振り返っても)すごく嫌だと思うことでも、そうしなきゃいけない、って思い込まされていると、その状況は悪くないんだ、と考えようとする。自己防衛なのかな?まあ、大人でもあるかもしれない。ああ~、なんだか辛い。大人の顔色ばかり窺わず、言いたいことは言える環境で、子どもには育って欲しい。 子どもの時に、自分が見ていたものを、大人になってそれを思い出しても、時間の流れの中で、自分の心の中で、様々な形で変換されていて、思い出と事実は、全く違うものになっているんだと、つくづく思いました。途中で、法子があることを言われ、気付くシーンでは、私自身も驚きました。 ノリコが法子となり、ミカが美夏となってゆく物語。全員が平等に幸せ、となるような単純なラストではなく、まだまだ人生は続いていくけれど…読後感はとても良く、いろいろ考えさせられました。読み応えありです!
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ゾクゾクするシーンがたくさん。 カルト宗教、とはいうけれど、こんな感じの団体たくさんありそうだし、全く関係のない話ではないなと思った。 掲げている教育の理想に共感することも多いし、子供を思うが故に送り込んでいる親たちがほとんどで、これがカルトなのか…と。まぁ水の高額転売とかがされるようになってきて、お金が絡んでくるあたりからがカルトなのかな?自分が子育てしたら、こういうのに、良かれと思って、子供を送り出してしまいそうで恐ろしい気持ちになった。確かに、農のある暮らし、とか、国際協力とか、いかんせんグレーなイベントや団体も多いですよね。「うさんくさい」と思える嗅覚が備わってしまったのも、理想を信じられなくなってしまったようで、なんだか切ないけど…。 真面目すぎる裕福な専業主婦がハマりやすい、とか、団体の中の人たちの世間からズレたピュアさとか、それから小学生の邪悪さとか、大人に期待される子供であろうとする立ち回りとか。分かりすぎて胸がきゅっとなるほどの解像度だった。
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素晴らしかった。文句なしの評価5です。 主人公の法子をはじめとする登場人物の心の機微が繊細に描かれていて、とても感情移入をして惹き込まれました。母と子の繋がりや別離の悲しみを描いたシーンなど、作中で何度も涙が出ました。 物語全体の構成も素晴らしく、続きはどうなるんだろうという一心でどんどん読み進めました。ラストも、納得のいく終わり方で本当に良かったです。 子がいる母親の立場で読むと、ことさらに感情移入してしまう気がします。読めて良かったです。作者の別作品も是非読んでみたい。
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辻村先生は子どもを誰一人として置いていかない。かつて子どもだった読者の私ですら救ってくれる。子どもの頃に感じていたことをすっかり描いてくれて、そしてぎゅっと抱きしめてくれる。そうだった、当時はそう感じていたとたまらなくなって、泣きそうになってしまった。 桜庭一樹先生の解説に、子...
辻村先生は子どもを誰一人として置いていかない。かつて子どもだった読者の私ですら救ってくれる。子どもの頃に感じていたことをすっかり描いてくれて、そしてぎゅっと抱きしめてくれる。そうだった、当時はそう感じていたとたまらなくなって、泣きそうになってしまった。 桜庭一樹先生の解説に、子どもに必要なのは〈愛〉と〈平等〉だというお話があった。 私は、子どもに必要なのは〈愛〉と〈尊重〉、そしてゆくゆくは〈平等〉なのだと思う。 〈愛〉がなければ心の栄養が不足し、寂しさと渇きを感じ続けると思う。〈尊重〉がなければ意欲の芽が出ず、自分も周りも蔑ろにしてしまうと思う。この二つは心の土台だろう。〈平等〉は、周りの存在があって初めて生まれるものだから、人間社会のルールとして心の土台の上に積み上げてあげるべきだと思う。 大人は、子どもが何を考えどう思うのかを側で見守り、耳を傾け、向き合っていく存在であってほしいと思う。子どもがいつか大人になった時のために。 でも大人も人だから、子どもと離れる時間もきっと必要になる。ただ子どもは、大人にそうして愛してもらった記憶をずっと抱きしめている。離れ離れにならないように、周りも見ていてほしい。
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カルト、子育て、色々な方面から描かれていて、読み応えがありました。個人的に暗めの話だったので、メンタルが弱ってる時は読めないなと思いました。ちょっとしんどくなります。
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子供達の教育、育て方、正解はないでしょうが、親や先生や保育士さんは、柔軟な思考が求められるのだ、と再認識させられました。 辻村さんは、心理描写が本当に巧みで淡々とした文章でありながらも、ひき込まれます。 二人の主人公は、ゼロハチゼロナナ、傲慢と善良等ありますが、今作は幼少時代...
子供達の教育、育て方、正解はないでしょうが、親や先生や保育士さんは、柔軟な思考が求められるのだ、と再認識させられました。 辻村さんは、心理描写が本当に巧みで淡々とした文章でありながらも、ひき込まれます。 二人の主人公は、ゼロハチゼロナナ、傲慢と善良等ありますが、今作は幼少時代の視点がある事で、過去と未来がテーマとなっており、面白かったです。
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『現実社会(問題?)を綺麗な文言で包んでいる感じ』 簡潔な単語で表すと〝宗教とそれら関わる人間模様〟のような感じかも 適切ではないかもしれないが 現代で話されているような宗教2世と表されるものにより焦点を当てているとも言えるのだろうか 言葉はやはり綺麗なので読みづらさはないが、 なんとなく読後しっくりきづらいような (心地の良いしっくりこないではない)
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