世界はなぜ地獄になるのか の商品レビュー
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世界はなぜ地獄になるのか ─ キャンセルカルチャーと「構造との付き合い方」をめぐる読書メモ この本を通して浮かび上がってきたのは、「悪」を設定して世界を単純化しようとする人間の認知の省エネ本能と、それがネット空間で野生化したときに社会全体を地獄化させるメカニズムだと感じた。小山田圭吾や会田誠、イェール大学のハロウィン騒動、ドッグパーク論文、woke文化やナイス・レイシズムといった具体例は、すべて「悪を確定し、文脈を捨て、二元論に還元する」という同じパターンをなぞっているように見える。 自分自身の経験と重ね合わせると、この本は単なる「現代社会批判」ではなく、「いま自分が立っている足場の説明書」に近い。エールのつもりでかけた言葉が「冒涜」と受け取られ、構造を変えようとした動きが「パワハラ」とラベリングされる。こちらの意図や文脈と、相手のソシオメーター不安とが食い違うところに、キャンセルまでいかないまでもミニ・キャンセル的な出来事が起きる。この本に出てくる登場人物たちと、自分の状況が妙に重なって見えた。 印象的だったのは、橘が「炎上する世界」を、進化心理学とステイタスゲームの観点から描き直している点だ。人はソシオメーターによって他者からの評価を常時モニタしており、拒絶や失墜への恐怖を抱える。その不安を和らげる一つの方法が、「他人を陥れて、自分が攻撃される位置から少しでも遠ざかること」だという説明は、自分が考えていた「恐れ起点のいじめメカニズム」ともぴたりと噛み合う。正義や社会正義を掲げた攻撃が、実はソシオメーターの自己防衛として機能しているという視点は、心地よいほど腹に落ちた。 マイクロアグレッションやインターセクショナリティといった概念が、なぜここまで強く支持されるのかも、この文脈で理解できる。有色人種やマイノリティの学生にとって、イェールのような大学は「外の世界よりは安全であってほしい場所」であり、そこすらも抽象的な自由の名のもとに放任されると感じたとき、「ここだけは守ってくれ」と強く主張したくなる。その背景には、「イェール以外には本当に守ってくれる場がほとんどない」という生きづらさがある。そう考えると、彼らの被害者意識は単なる甘えではなく、希少な安全基地への期待の大きさの裏返しと見える。 一方で、この本が描く地獄は、当事者にとってはかなり身近な話でもある。会社内での自分の立場、かつての査読経験、相手部署へのエールが「冒涜」と読まれるエピソードなど、自分がこの数年で味わってきたことの多くが、「構造を知らないまま、正しさだけで踏み込んだ結果」として読み替えられる。自分の言動の動機は「エントロピーに抗う」「構造をよくする」側にあるつもりでも、相手から見れば「批判」「攻撃」「上から目線」として処理される。その落差を、橘の枠組みはかなり冷徹に説明してくれる。 この本を読んだことで、一つ大きく変わったのは、「100点を取りに行くことをやめる」という決心に近い感覚だ。状況を変えたい、構造をよくしたいという欲求に突き動かされると、「すべての場で常に最適解を選び続けねばならない」というインナーペアレントが顔を出す。だが、そうやって全方位で本気を出すと、ソシオメーターと評判リスクの板挟みになり、燃え尽きるだけだということも、体感として分かってきた。今の「歴史的・構造的な背景がある問題としていったんラベリングし、自分は整理役・アイデア提供者に徹する」というやり方は、まさにこの本が示す“地獄を生き延びる”スタイルと重なっていると感じる。 もう一つ、この本と対話する中で強く浮かび上がってきたのが、「バンド」と「トライブ」の構想だ。人類学的なバンド/クラン/トライブの話や、橘川幸夫の「世界を変えるのはバンドだ」という感覚と、自分のバンド構想がリンクしてきた。すべての人がバンドに属し、その中で自己実現と他者貢献をする。そのバンドを束ねるトライブには、コーチングやファシリテーションを担う人を置く。全員がエグゼクティブ・コーチングを個別に受けられなくても、バンドとトライブを通じて“構造への気づき”が循環する社会。これは、この本が描く「炎上とキャンセルで地獄化した世界」とは真逆の設計思想として、かなりしっくりきている。 結局のところ、『世界はなぜ地獄になるのか』は、「世界がなぜこんなに面倒くさく、生きづらくなったのか」を他人事として眺める本ではなく、「今ここで自分がどんなゲームの盤上にいるのか」を理解するための地図だと感じた。そのうえで、「全部を救おうとしない」「C調で、でも世界は変えられるという楽観を手放さない」「バンドと小さな場に賭ける」という自分なりのスタンスを少しずつ言語化できたことが、この本を読んだ一番の収穫だと思う。
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橘玲さんの書籍はこの世界の攻略本なので、読んだことは秘密にしておきましょう。 攻略本を見ながらゲームをしたら簡単になってしまいます。
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はじめに、の中に、タイトルに対しての回答がざっと詰まっているので、ここを立ち読むだけでも意味があると思います。 私は正直ショックだったのですが、なるほどとも思い残念な納得感を感じました。 誰もがその所属するなににも縛られず「自分らしく」生きられる社会は素晴らしい、というのはその...
はじめに、の中に、タイトルに対しての回答がざっと詰まっているので、ここを立ち読むだけでも意味があると思います。 私は正直ショックだったのですが、なるほどとも思い残念な納得感を感じました。 誰もがその所属するなににも縛られず「自分らしく」生きられる社会は素晴らしい、というのはその通りなのだけれど、結局そのリベラル化が極まっていくことにより社会はどんどん複雑になり、私たちはの首がだんだんと締まっていくという現実。 ポピュリズム(右傾化)がリベラル化の行き着く先ということは、もうどっちに行っても最終的には地獄に着くってことなのかもしれないですね。悲しき人間社会。。 日本も近年は平和と自由を享受できるサービス期間だったのかな。
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なんとなん感じていることが言語化されて行く面白さ。人類が長きにわたって夢見た安定した平和で飽食の世界はユーディストピア。
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人間は自分の見たいものしか見ない。自分の正義と誰かの正義に優劣はつけられず共存する世の中、天国でもあり地獄でもあり、その中で生き抜く必要があるのか。
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SNSで無限に繰り広げられる醜い言い争いやネット上での炎上を1度でも見た事ある人にはぜひ読んで欲しい。 リベラル化の行き着く先、キャンセルカルチャーが勢力を広げる理由、差別、正義、過度な尊敬表現などを生物学的視点を交えて論理的に説明される。 世の中の動きを少し離れたところから...
SNSで無限に繰り広げられる醜い言い争いやネット上での炎上を1度でも見た事ある人にはぜひ読んで欲しい。 リベラル化の行き着く先、キャンセルカルチャーが勢力を広げる理由、差別、正義、過度な尊敬表現などを生物学的視点を交えて論理的に説明される。 世の中の動きを少し離れたところから見ることで自らの立ち回りや思想を確認し、上手く生きていくことが出来るかもしれない。
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リベラルとは、自分らしく生きたいという価値観。そのためには皆対等に同じ権利が保証されなければならない。リベラル化は、必然的に、格差拡大・社会の複雑化・孤独化・アイデンティティの衝突を招く。社会正義の運動は、キャンセルカルチャーに変貌しつつある。 リベラル化を論理的につきつめると...
リベラルとは、自分らしく生きたいという価値観。そのためには皆対等に同じ権利が保証されなければならない。リベラル化は、必然的に、格差拡大・社会の複雑化・孤独化・アイデンティティの衝突を招く。社会正義の運動は、キャンセルカルチャーに変貌しつつある。 リベラル化を論理的につきつめると導かれることに成程。日本はドメスティックがベースだから、更に大変なのか。
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読んでいてどんどん怖くなる本。 大義や正義を振り翳して、憎しみ合い攻撃しあう。 人は醜く愚か。 ボンヤリ感じていたことを言葉にしてくれてて、しっくり。 面倒で地獄のようなこの世界で、平穏に生きていきたい。。。
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リベラルから生まれた鬼っ子レフトが巻き起こすキャンセルカルチャーの実態がよく分かった。いつでも極端なことを主張するものは、自他共に苦しめ、地獄を作る。アメリカの大学がとんでもないことになっている現状に驚きつつ、日本でも学園闘争が叫ばれた時代に「極左暴力集団」と一括りにされた中に、...
リベラルから生まれた鬼っ子レフトが巻き起こすキャンセルカルチャーの実態がよく分かった。いつでも極端なことを主張するものは、自他共に苦しめ、地獄を作る。アメリカの大学がとんでもないことになっている現状に驚きつつ、日本でも学園闘争が叫ばれた時代に「極左暴力集団」と一括りにされた中に、似たようなことが起こっていたことを思い出す。筆者が言うように、キャンセルカルチャーの落とし穴を息を潜めて回避しながら、新しい時代の新しい解決策を待つしかないのだろうか。
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「リベラル=自由で生きやすい」って本当? むしろ逆じゃない?と感じる内容。 個人主義が進めば、格差は広がるし、主張のぶつかり合いも多くなる。 今は、人種や性別、平等や公平が複雑に絡み合って、ちょっとしたことで炎上する“キャンセルカルチャー”の時代。なんだか息苦しい…。 この本で...
「リベラル=自由で生きやすい」って本当? むしろ逆じゃない?と感じる内容。 個人主義が進めば、格差は広がるし、主張のぶつかり合いも多くなる。 今は、人種や性別、平等や公平が複雑に絡み合って、ちょっとしたことで炎上する“キャンセルカルチャー”の時代。なんだか息苦しい…。 この本では、そんな混沌とした社会の中でも、「どうすれば巻き込まれずに、自分らしく生きられるか?」を考えるヒントをくれる。 科学の進歩で、私たちはすでにかなり豊かになってるっていう事実に、もっと目を向けようよ、っていう視点が印象的だった。 ただ、正直なところ今回はちょっと刺さらなかった…。 橘さんの本は自分の人生観に影響を及ぼす作品が多いが、今回はテーマが広すぎて、読み終えてもどこかモヤっとしたまま。 考えさせられる一冊ではあったけど、心に残る一打は弱めだったかも。
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