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世界はなぜ地獄になるのか の商品レビュー

3.7

60件のお客様レビュー

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2024/02/27

橘玲さんの本は、以前にも斜め読み的に読んだことがありましたが、この本、ふと手にして、小山田圭吾炎上事件に関する詳細を読んで、その後は、止まらなくなって読みました。取り上げられているテーマは、キャンセルカルチャー、ポリティカルコレクトネス、表現の自由への萎縮的効果、評判格差社会、リ...

橘玲さんの本は、以前にも斜め読み的に読んだことがありましたが、この本、ふと手にして、小山田圭吾炎上事件に関する詳細を読んで、その後は、止まらなくなって読みました。取り上げられているテーマは、キャンセルカルチャー、ポリティカルコレクトネス、表現の自由への萎縮的効果、評判格差社会、リベラルの終焉というか、リベラル化のもたらしたもの、リベラリズムとリバタリアン、コミュニタリアン、エガリタリアンなど、優れて現代的なもので、その議論は、極めて素面の、真摯なものです。 リベラリズム(自分らしく生きるという価値観)が格差拡大、メリトクラシー、社会の複雑化と個々人の孤立、自分らしさに関する価値観の相違による衝突とその過激化をもたらす。。。ポピュリズムがリベラル化の必然的帰結でその一部であるとする著者の基本的な考えには異論もあると思います。 しかし、この数年でサンデル教授の近時のご論考を読んで、その帰結がコミュニタリアンに分類されながらも、保守派の議論にすごく近いんじゃないかという疑念を抱いていた私としては、なるほど、その視点かとヒントを得た次第です。

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2024/02/13

昨今のキャンセルカルチャー、世界の分断、炎上の問題など、最新の研究を紹介しながらよく整理されている。その結果、「地獄」になっていくが、現代の私たちはテクノロジーを手にして幸福な生活も送っている二面性。地獄に向かう世の中に対する著者なりの処方箋も。 いっぽう、最近の著者の作品は、さ...

昨今のキャンセルカルチャー、世界の分断、炎上の問題など、最新の研究を紹介しながらよく整理されている。その結果、「地獄」になっていくが、現代の私たちはテクノロジーを手にして幸福な生活も送っている二面性。地獄に向かう世の中に対する著者なりの処方箋も。 いっぽう、最近の著者の作品は、さまざまな研究の紹介が多く、少しわかりづらいと感じることもあり。それだけ世の中が複雑化しているということかもしれない。引用されている原本にあたり、再び氏の著作に戻ることで、よりすっきりするのかもしれない。急がば回れか。

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2024/02/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

リベラルがリベラルであるが故に他の主張と対立してリベラルでなくなってしまう この本を読んで気付いたのは、情報が溢れかえる世の中ではタイパを重視せざるを得なくなり当事者置いてけぼりでキャンセル活動が行われるということ 私自身研究分野にフェミニズムが含まれ、ネットでの主義主張で引っかかる言動が多々ありモヤモヤしていたがこの本でその原因がよくわかった。 研究を進める際は、この本を参考にして論じたいと思った

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2024/02/02

この作者が沢山出していた近年の著書と一味違って、他で書いた短文の繋ぎ合わせではなく、かなりオリジナルの原稿でできているので、既視感の少ない、お得な一冊です。ダイヤモンド社との契約が切れて、短文発表の場が減ったことの影響かもしれない。 著者の思考の切れ味は、鈍ってない。現代の世界で...

この作者が沢山出していた近年の著書と一味違って、他で書いた短文の繋ぎ合わせではなく、かなりオリジナルの原稿でできているので、既視感の少ない、お得な一冊です。ダイヤモンド社との契約が切れて、短文発表の場が減ったことの影響かもしれない。 著者の思考の切れ味は、鈍ってない。現代の世界で標準化されているリベラル思想の生み出している問題がよくわかる。(それでも、保守思想は、問題解決にならないので、リベラルの中で問題に付き合っていくしか無い)

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2024/01/14

ジェンダー問題、ポリコレ、表現の自由、いじめ問題、評判格差社会のステータスゲーム、キャンセルカルチャー、リベラリズムにかんしてとても理解が深まった 橘玲さんの本ははずれがない 本書の中の一節↓ 正義に関する特定のテーマに精通している者(一般に「活動家(アクティビスト)」と呼ばれる...

ジェンダー問題、ポリコレ、表現の自由、いじめ問題、評判格差社会のステータスゲーム、キャンセルカルチャー、リベラリズムにかんしてとても理解が深まった 橘玲さんの本ははずれがない 本書の中の一節↓ 正義に関する特定のテーマに精通している者(一般に「活動家(アクティビスト)」と呼ばれる)は、その問題にほとんどの時間資源を投入している。そうした活動家が、時間 資源のきびしい制約に直面しているひとたちに対して「正しい知識をもて」というのは、 「自分たちが真理を独占しているのだから、なにも知らない奴は黙っていろ」というマウ ンティングを婉曲に言い換えただけだ。 は、自戒する点があったので、それを気をつけながら過ごしたい。 また、まとめると、 ユートピアとディストピアが一体となったユーディストピアで私達ができることは、この世界の仕組みを正しく理解し、うまく適用し、地雷を踏まないこと。 テクノロジーで急速に人類史的には豊かになったこの世界では、平穏な人生を歩むことはこのことさえ、気をつけていれば楽しく暮らせるだろう。この言葉に少しばかりの希望を見いだした

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2024/01/08

問題が細分化、複雑化しているので、専門用語やカタカナ語が飛び交い、かなりややこしかった。 細かいところまでは理解していないかも知れないが、「誰もが自分らしく生きられる社会」から生まれた闇の部分に焦点を当て、最終的には現状が100点でなくても、そこで満足しようというメッセージだとい...

問題が細分化、複雑化しているので、専門用語やカタカナ語が飛び交い、かなりややこしかった。 細かいところまでは理解していないかも知れないが、「誰もが自分らしく生きられる社会」から生まれた闇の部分に焦点を当て、最終的には現状が100点でなくても、そこで満足しようというメッセージだということは十分伝わった。 過剰なポリコレなどに嫌気がさしている人は多いと思うが、マイノリティたち、程度の差こそあれ抑圧されている人たちを囲うあまりに、マジョリティが窮屈な思いをしている現状をロジカルに語ってくれるので、すっとする人もいるのでは? すっとしても本書にあるとおり、解決策がないのが辛いところだが…。 今の世の中、正直言って「そんなことで?」と思うことでも問題になる。 全てを平らに、誰の不満もなく過ごす社会を作るのは無理があるのではないか。 私自身はジェンダー論に興味があり、男とか女とかで不利になる社会のあり方が新しい方向に向かうのは歓迎したいところだった。 でも、なんだかやりすぎだよ!という違和感も拭いきれない。 そんな違和感の正体がこの本で言語化された感覚だった。 一方で、少数派の人たちが不満を言えば、それは大問題となって対策をしなくてはならない…というのはとても息苦しいなとも思っていた。 相手が間違っていれば鬼の首をとったように大勢で叩き潰す、それをキャンセルカルチャーというらしいが、全てのことが正しい方向にいかなくては気が済まないというのはちょっと異常だと思う。 「自分らしく」という言葉もなんだか窮屈だと思う。 言われたことを何も考えずにこなすのが好きな人もいるわけで。 多様性とか、自由とか、平等とか、大切な言葉だけどそう言ったことを求められることに疲れていたのかも…というのを本書を読んで感じた。

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2023/12/11

キャンセルカルチャー、LGBTQ、BLM、リベラル、保守、行き過ぎたポリコレについてガンガン斬ってくれている本!私も個人的に疑問に思っていた「多様性」を語るリベラルっぽいコメンテーターの「非多様性」な意見を一切認めようとしない矛盾・・・当著の終盤に書かれている「右か左かにかかわら...

キャンセルカルチャー、LGBTQ、BLM、リベラル、保守、行き過ぎたポリコレについてガンガン斬ってくれている本!私も個人的に疑問に思っていた「多様性」を語るリベラルっぽいコメンテーターの「非多様性」な意見を一切認めようとしない矛盾・・・当著の終盤に書かれている「右か左かにかかわらず、あるテーマに特化した知識をもつ少数の者が特権的な立場を占め、それ以外の多数派を排除する構図」という橘玲さんの意見に大いに賛同します。気になる方は是非、手に取ってみてください。

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2023/12/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

今世界で起きていることの解像度が少し上がったのでよかった しかし結局、トランス、フェミニスト、表現の自由、すべて答えのない問題なんですね あと何十年か互いの価値観を武器に殴り合えば、前例が集まってなんとなくの基準が確立するかも?それを願うばかり 社会正義にのめり込むのも怖いね

Posted byブクログ

2023/11/30

生き辛い世の中になるメカニズムがソースを交えて紹介されていて納得感がある。ただ、地獄とはいっても何の自由もなく過ごしていた昔の庶民と比べるとマシなのか、そうでもないのかは気になるところ。なお、比較はできない。

Posted byブクログ

2023/11/24

「させていただく」使役の助動詞の「させる」と授受動詞の「いただく」を連結の「て」でつなげたもの。 代替させる事を自身に都合よく(無許可)交換させる効果を狙う。これは当然、ハラスメントを含むことにもなる。 昨今のジャニーズや宝塚の会見風の自社広報はこれだな。 組織文化(情報体...

「させていただく」使役の助動詞の「させる」と授受動詞の「いただく」を連結の「て」でつなげたもの。 代替させる事を自身に都合よく(無許可)交換させる効果を狙う。これは当然、ハラスメントを含むことにもなる。 昨今のジャニーズや宝塚の会見風の自社広報はこれだな。 組織文化(情報体系)が違う外部との接続の齟齬が、露骨になっている状態。さらに、この露骨になりうる状態が、より広範で上位の操作の拡大へ向かう。業界での支配力の差を使い、使役(強制)へと相手を操作する実演となっいる。つまり忖度を促してきた事の証左。 そしてやはり資本という数量化を前提に駆動する仕組みとも、相性がいい。権力の大小が、明確で絶対的な状態を無自覚に作り出し相手に強制することが容易となる。 「敬意逓減の法則」ね、面白い。 同じ基準で測れないものを測ろうとして無理をすると地獄が現出する。 これに対処するには、礼なり、敬意なりを見直すことから始めるしかないのか。 これには、距離感を上手く測る事。実の距離ではなく、あくまでも距離感が重要になる。そしてこの距離感ではあるが、逆ベクトル的な絶対値もありかな。 そんでもって、これがキャンセルカルチャー化へ進むのか? ポストモダンて、測れないものを呪わずにどう扱うかを模索しようかの試行を秘めているものだっただろう。リベラル的な社会正義の実現に向かう必要があるのか。 結果的にそうなるのなら、いいというだけではないか。 地獄ということからなら、人類には未だ測りきれない世界と、そしてヒトの社会が、そこにあり、これをどうするか。AIの進化は、これの一つの解答で言語活動の限界と不完全さを人類に教えている。ただ便利なツールには違いないだけ。 言語も生命にとっては、絶対ではない、と。つまりは生命は生命で、それが単純なる意味。物差しには使えるが、生命を測るには使えない。そして地獄も測れない。

Posted byブクログ