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クララとお日さま の商品レビュー

4.3

90件のお客様レビュー

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    37

  2. 4つ

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2023/08/26

クララよりも、カズオイシグロのような文章を書く人工知能が現れる方が可能性が高いと思った。 クララは人工知能であるが、他の人工知能と違う性格を持たせていること、そして、それは狙って作れるものではないようなこと。そして、認識能力だけでなく、信仰能力を持ち合わせていて人間的であること...

クララよりも、カズオイシグロのような文章を書く人工知能が現れる方が可能性が高いと思った。 クララは人工知能であるが、他の人工知能と違う性格を持たせていること、そして、それは狙って作れるものではないようなこと。そして、認識能力だけでなく、信仰能力を持ち合わせていて人間的であること。しかし、自由意志を持たせているのは危険ではないか。倫理観は人工知能に取りつけてあったのか。 しかし、人工知能が一人称的に語るということは、すべて幻という可能性もある。やっぱり人工知能が小説家になったのだ。また一人称にすることで、人工知能が途中で破壊される危険性は少ないと感じさせられた。これは読み手には安心材料である。 病弱な女の子がいて、その子が死んでしまうかともさえ思わされた。それでも、クララはお日さまを信じ、女の子は助かる。これが主旨だろう。 人工知能は人間の代わりを果たせるか、それにかかっている。成長するか、セックスするか、死に至るか、それができなければ、廃棄されるだけだ。 大便、中国の国家主席という比喩はなかなか思いつかない。さすがカズオイシグロといったところか。 大便はいずれ出されるだろう人工知能のこと。中国の国家主席は大気汚染の元凶のこと。いずれも私の類推ではあるが。

Posted byブクログ

2023/08/20
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人工親友のクララの記憶を辿るように物語がスタートします。文章や風景の捉え方あらゆるところにクララらしい表現がされていて物語にのめり込んでしまいました。前半は会話の端々に疑問が生まれるますが、後半であらゆる疑問が回収され、最後はあたたかくもあり、寂しくもありました。ジョジーを助けるために必死になるクララはAIという枠を超えて、人間に近かったように思えます。太陽を信じる姿はどこか宗教的な信仰を思わせました。ジョジーとお別れしたあとのシーンで「幸せだった」と伝えるクララはやはりAIであることを感じさせるとともにそう思えることが幸せだとも気づかせてくれる描写でした。著者の別の作品も読んでみたいです。

Posted byブクログ

2023/08/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

人間とAI、人間と人間の格差やお互いの関係を隔てている壁や在り方について考えさせられる作品であり、これらは正しく現代社会に置き換えて考えることができる内容であった。むしろ科学技術が進歩し本作のような世の中に近づいて行くのではないかと思ってしまった。人間が文明を発展させ便利になる一方生まれる負の副産物と言った所でしょうか。これを読んだ後にの未来を想像すると少し恐ろしい。 もう一つのテーマとして人やAIの心についても印象的だった。クララの優れた観察力から生み出される再現性の高さから本物と瓜二つのジョジーを作ることはおそらく可能であったでしょう。ですが1番重要となってくる心の本質の部分が本人にあるのではなくその周りの人達の中にあるというのがとても心に刺さるところであった。確かに他界したおじいちゃんを100%再現したロボットが現れても生きていた頃と全く同じ気持ちにの持ちようにはならないでしょう。もちろんいなくなってしまったという記憶があるのも1つの原因だが人と人が関係を築き上げ愛し合う唯一無二のものであるのは互いに他者の心が自分の中に存在し合うことで初めて心が宿るという考え方は素敵であり心に響くものである。

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2023/08/14

3冊目のカズオ・イシグロ作品。 どの作品も文章がシンプルで読みやすいが、世界観が独特なため、最初は全体像をつかむために苦労する。 ただ、今回の作品は始まりからわかりやすくサクサク読むことができた。 今回はAIと共生している世界を描いている。 技術的な描写の難しさは一切なく、主人...

3冊目のカズオ・イシグロ作品。 どの作品も文章がシンプルで読みやすいが、世界観が独特なため、最初は全体像をつかむために苦労する。 ただ、今回の作品は始まりからわかりやすくサクサク読むことができた。 今回はAIと共生している世界を描いている。 技術的な描写の難しさは一切なく、主人公のAI目線で人間との生活を描いてある。 読みながらAIだとこの場面はこう読み取るのか、とついつい考えながら読んでしまう。 AIだからプログマムはあるにせよ、こんなに利他的な立場に立ち続けるのは、人間には無理だなって感じた。 主人公も純粋で献身的で、蔑ろにされてすごく切ないシーンもあるが、自己の満足が高い状態で終わってくれてよかった。 よくAIが人間を支配するみたいな映画などもあるが、今回のカズオイシグロの作品を読んで気持ちがわかった。 カズオイシグロの作品をもっともっと読んでみたいと思う、今日この頃です。

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2023/08/13

初めてカズオ·イシグロ作品です。 ノーベル文学賞を受賞して名前を知り、機会があれば作品を読んでみたいと思っていました。 可愛らしい作品名と可愛らしい装丁(単行本)に゙惹かれて読みたいと思っていました。文庫化されて「チャンス」と思い手に取りました。 しかし、翻訳本は少し読みづらかっ...

初めてカズオ·イシグロ作品です。 ノーベル文学賞を受賞して名前を知り、機会があれば作品を読んでみたいと思っていました。 可愛らしい作品名と可愛らしい装丁(単行本)に゙惹かれて読みたいと思っていました。文庫化されて「チャンス」と思い手に取りました。 しかし、翻訳本は少し読みづらかったです。だから、普段は日本の作家の作品ばかり読んでいて、無意識に外国文学を避けていたんだと解りました。 作品はAIロボット、クララの話。 クララはAF=人工親友として子どもの成長を手助けするロボット。 そして、ある日、ジョジーという少女の家庭に買い取られて一緒に暮らしていきます。 クララはジョジーのために色々と考えて頑張ります。 でも、何故、クララを選んだのか。とか、クララの引退のことになると、「所詮、物(ロボット)でしかないんだな」と感じられる場面があって、クララが不憫に゙思えました。 人間の都合の良いように作られたAIロボットで「もの」だから、いくら知性と感情があって素晴らしい働きをしてもそういう終わりの扱いになるのだろうと思うと、良い気持ちにはなれませんでした。

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2023/08/10

初めてカズオイシグロ著の作品を読みました。 別の本を買おうとしていたところ一度も興味を持ったことがないのにこちらにしようと目を引くものがありました。 本当に買ってよかったと思います。 とても読みやすく、AIを主題にしたテーマはやはり興味を惹かれます。 一から十までの説明はないもの...

初めてカズオイシグロ著の作品を読みました。 別の本を買おうとしていたところ一度も興味を持ったことがないのにこちらにしようと目を引くものがありました。 本当に買ってよかったと思います。 とても読みやすく、AIを主題にしたテーマはやはり興味を惹かれます。 一から十までの説明はないものの、少しずつ背景がわかってくるのも面白みがあります。 一つのことを信じてやまない姿は滑稽にも見えますが、感情移入せずにはいられません。 AIだから感情はないか、いやあるのか? そんな作品です。 100点の作品!とまでは言いませんが、この作品を通してカズオイシグロ作品をもっと体験したいと思わずにはいられませんでした。

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2023/08/03

英訳の文章としては今までにないくらい読みやすかった。 訳が良いのか文章がいいのか?どちらも良いのかわからないが、内容もAIが活躍する時代を映し出した内容で良かったと思う。

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2023/08/09
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何ていうか、横綱相撲すぎる小説でした…。 感想書こうにも、解説すら完璧のため、今更私ごときが何を?!という感じですが、 AIとの共生についての一つの形を、丁寧に、静かに紡いだ作品でした。 ただ解説でも触れられている通り、 倫理観や「心とは何か」という、それこそ人間が長年取り組みつつ先延ばしにしてきた命題に対して、 納得できる回答を導き出したのが、感情と学習の機能を持ったAIだった、という展開が何ともリアルだなと思いました。 人間がAIを恐れたり、感情を持ったとしても人工物であることに対して複雑な感情を抱く間に、彼らが先に人道的な課題への答えを見つけることも、この先ありそうだなと。 ■ また、イシグロ作品特有の、 にこやかな建前の会話中に現れる綻び、そこから覗く穏やかでない本音(押し込めた苛立ち、無意識の差別意識など)のスケッチが相変わらず巧みで、「交流会」の様子や「向上処置」絡みの会話には大変ザワザワしました。 (例えば著者の「夜想曲集」は、その人間描写のエグみを個人的に強く感じました) AIであるクララは、不安や疑問、不快感を感じることがあっても、意地悪な気持ちや嫉妬心=他者への敵意や過剰な自意識、は薄いんですよね(読み落としていたらすみません)。 不穏な展開であってもページをめくるのが嫌にならないのは、語り手のクララが、人間の純粋さや善意で成り立っている存在だから、というのも大きいと感じます。 逆に言えば、人が完全には克服できないそういった業(ごう)を取り除いた存在が、技術革新次第ではできてしまうのかも…という可能性を示された気もします。それが良い悪いはまた別として。 世間的にはヒューマニストとして浸透している手塚治虫の作品にも、時々、人間へのブラックでシニカルな視点が見られるように、 イシグロ氏も多分、常人以上に、人間に対してのやるせなさを感じてきたと思うんです。 ただ、現実を冷静に見つめながら、 「人間はそれだけじゃないはず」というのを、筆の力で証明する根気強さがあるからこそ、多くの読者の心を揺さぶるのだと思いました。 本作の「完成まで6年」という歳月は、 科学の発展の明暗にとことん向き合いながら、 批評的な目線を貫きつつも、陽だまりのような結末に辿り着くために必要だったんだなと思います。 ■ 映画化ってあったけど、私はワイティティ監督=マイティ・ソーのイメージ強いからどんな仕上がりになるのか楽しみ! あの吸血鬼映画を撮影した方がマーベル、アカデミー賞候補、ノーベル賞作家作品、SW…とすごい躍進ぷりだと思うけれど、どんなテーマでも陽気さやユーモアを排除しない作風が人気なんだろうか。

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2023/07/19

2021年春の作品、読みたいと思いつつぐずぐずしているうちにもう文庫になった(でも文庫本でも1500円! 30年前の単行本価格…)。

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2023/07/18

『日の名残り』、ノーベル文学賞受賞時にいつか読もうと思ったが、どうも実現しなさそう。ちょっと前の作品が文庫化、興味がある作家さんなので、まずは読んでみたい #クララとお日さま #カズオ・イシグロ 23/7/19出版 #読書好きな人と繋がりたい #読書 #本好き #読みたい本 ...

『日の名残り』、ノーベル文学賞受賞時にいつか読もうと思ったが、どうも実現しなさそう。ちょっと前の作品が文庫化、興味がある作家さんなので、まずは読んでみたい #クララとお日さま #カズオ・イシグロ 23/7/19出版 #読書好きな人と繋がりたい #読書 #本好き #読みたい本 https://amzn.to/3NX7kur

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