クララとお日さま の商品レビュー
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クララの運命は悲しい気がするけれど、本人は悲しみを感じていない。 人間ではないから。ロボットとして自分の役割を果たせたことに満足している。ただそれだけ。 それとも、関わった人々の心の中に生き続けると知ったからでしょうか。そして再会を期待している。 これしかないんだと思えるラストでした。 店長さんは、もしや向上処置を受けた?老化(かなりの時間の経過)かとも思われるけど、それなら違う表現ができるはずなので謎。 ジョジーの継続を望む母親の心情はわかる気もするけれど、どれだけ正しく継続されたとしても理想と違うかぎり疑念と後悔が生じるのが人間だと思う。 この世界では知性はいじっても情緒には手を加えていない。 そこが人間とロボットとの線引きだと思われているのかも。 家事や接客などの労働もまだ人間が担っているが、失業者が多く人々は脅威を感じている。 メラニアさん好きだったんだけどな。 ロボット以下の扱いに嫌気が差して自分から辞めたのかもしれない。新しい家政婦さんは名前すら呼ばれないけれど人間なのかしら? 父親は科学者と技術者の違いを強調している。 クララと心を通わせたリックの将来に希望を持ちたい。 救済は条件付きなのか。
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重いような背筋が寒くなるような内容なのに、哀しくて温かい独特の文体。 「ボックス」とか、詳しい説明のない表現もあるけどSFだからいいのかな? 向上処置…。でもありそうよねえこの先…。
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ロボットクララと病弱ジョジーの友情?物語 近い未来、子供の成長のためペットではなくロボットが購入される このロボット、クララ目線で書かれている 人間に当てはまるような観察力の優れたクララ クララの真っ直ぐな愛情はとても健気だ それに対して人間の自分勝手さ 最後は切なくなる 静かに...
ロボットクララと病弱ジョジーの友情?物語 近い未来、子供の成長のためペットではなくロボットが購入される このロボット、クララ目線で書かれている 人間に当てはまるような観察力の優れたクララ クララの真っ直ぐな愛情はとても健気だ それに対して人間の自分勝手さ 最後は切なくなる 静かに涙がでる
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高い人工知能を持つAFクララと病弱少女ジョジー。2人の友情だけにとどまらず、母親、父親、ボーイフレンド、ボーイフレンドの母、ボーイフレンドの母の…と、周りの様々な人間関係や出来事がクララ目線で描かれる。そして物語は思わぬ方向に…。 クララが異常なほどまでにも重要視するおひさま。...
高い人工知能を持つAFクララと病弱少女ジョジー。2人の友情だけにとどまらず、母親、父親、ボーイフレンド、ボーイフレンドの母、ボーイフレンドの母の…と、周りの様々な人間関係や出来事がクララ目線で描かれる。そして物語は思わぬ方向に…。 クララが異常なほどまでにも重要視するおひさま。陽の当たる場所で読むといっそう面白く感じると思います。でも、最後があまりにも切なすぎる。普通だったら「あんなに尽くしたのに、役に立ったのに…」と怒りの感情を持ってもおかしくないのに、役割を果たしたことに心から満足するクララ。ここが人間にはない素晴らしいところであり、人工知能が人間に追いつけないところでもあるのかな、と感じた。
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人工知能搭載のロボット「クララ」の目線で描かれる、ある家族と、その周囲の人たちの物語。 人間の心。知性。命。 決して侵してはいけない領域に人類はこれから足を踏み入れようとしているのかもしれない。 クララが健気にもジョジーの側に付き添い、祈る姿はロボットの域を越えているようにも思った。 廃品置き場に置かれていても、淡々と過ごしているクララを思うと、なんだか切ない…。
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AFロボット少女クララからの視点での世界の見方や解釈が表現されている クララから見える情景描写はとても精緻で全てを美しくし良い解釈へと変換させるものだった この物語の細部は読者への解釈に委ねられるところがあったように思える 例えばこの世界において人間はエリートしか生きる道がないと...
AFロボット少女クララからの視点での世界の見方や解釈が表現されている クララから見える情景描写はとても精緻で全てを美しくし良い解釈へと変換させるものだった この物語の細部は読者への解釈に委ねられるところがあったように思える 例えばこの世界において人間はエリートしか生きる道がないとかロボットは何の為に存在しているか いずれ人間とロボットが共存する日が来ると思うがこんな世界にはなってほしくない
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心が痛く苦しくなった。 感情があるというのは厄介なのかもしれない。 クララが本気で守ろうとした、守ったジョジーや母親にとって、クララとはどのような存在なのだろうか。 無償の愛ほど怖いものはないなと感じた。 店長さんに再会できてよかった。クララは決して不幸じゃない。 AFと人間の間にある溝や裕福な人とそうではない人との溝はあって当然のもののようにさえ感じさせられる。 映画化はしないでほしいというのが本音。
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AIが主人公という本作、壮大なSFかと思いきや、心に迫り来るストーリー。 死とは、生とは、人をその人として形作っているものはなんなのか、感情なのか情報なのか、心とはどこにあるのか?考えさせられました。
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クララは人工知能を搭載したロボットで、AF(人口親友)という用途を持っている。 学習機能があり、周囲の様子からいろいろなことを学んでいく。 お店に置かれていた時も、窓の外を見て、人間について観察し、行動から気持ちを推察する。 子どもが知識を吸収するように。 そして、ジョジーと出会う。 その頃AFはB3型が新製品として売り出されていて、クララはB2型だったのだが、ジョジーとクララは互いに惹かれ合い、母親を説得してクララはジョジーの家に買われていった。 ジョジーは病弱で、頻繁に体調を崩す。 母親はクララの記憶力のよさと、再現性の高さを気に入ったように思われる。 が、ジョジーと母親との関係は、どことなく危ういものを感じさせる。 子どもたちはAFを持ち、オブロン端末を使って勉強をし、友だちとの交流会でコミュニケーション能力を培う。 子どもたちの多くは「向上処置」を受けているが、ジョジーの親友リックは「向上処置」をしていない。 そこには大きな格差があり、処置を受けていない子どもの未来は大きく制限されている。 しかし、処置を受けた子どもにもリスクはある。 ジョジーの姉はそれにより亡くなり、今はジョジーの健康も損なわれている。 最初から、ジョジーの命は長くないように感じられる。 しかし、クララは全力でジョジーを守ろうとする。 クララが思う全知全能の神は、お日さまだ。 クララが太陽電池で動くということもあり、太陽からの光がジョジーに特別の力を与えると信じている。 それはもう、宗教のように。 カズオ・イシグロの話は切なくて苦い。 今作もそうだった。 でも、それは想像していた切なさ、苦さではなかった。 与えるだけの愛。 見返りを求めない愛。 そして成長した子どもは、それを忘れて前へ進んでいくものなのだ。
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纏わりつく孤独。 この方の作品わ読むと、いつもそういう感情を覚える。 でも、メッセージは強烈だ。 誰も誰かの代わりなんてできないし、人はみんなそれくらい大切な存在だし、それ故にみんな孤独だ。 いつか使用期限が切れる道具なら、なおさらだろう。 そんな「道具」を主人公にして、語り部に...
纏わりつく孤独。 この方の作品わ読むと、いつもそういう感情を覚える。 でも、メッセージは強烈だ。 誰も誰かの代わりなんてできないし、人はみんなそれくらい大切な存在だし、それ故にみんな孤独だ。 いつか使用期限が切れる道具なら、なおさらだろう。 そんな「道具」を主人公にして、語り部にして、物語は進んでいくが、常に孤独が纏わりつく。 それでも、読後にある種の心地よさを感じられるのは、やっぱり素晴らしい作品だからだろうと思う。 良い小説です。
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