ホテル・カイザリン の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
なんとなく後味の悪い余韻が残る話の多かった8編の短編集。 以前読んだことのある短編もあって懐かしかった。 中でも読んでいて心地よかった『金色の風』『迷宮の松露』が印象深い。 『金色の風』 「苦しさは、堪えるのではなく、ただ受け止めて、そういうものだと思う」 パリの街並みを観ながらのフルマラソン。マラソンを人生とシンクロさせて、苦しさを受け入れる余裕と自分のペースをコントロールできる冷静さを手に入れた彼女の強さに清々しい思いでいっぱいになった。 『迷宮の松露』 いくら全てを忘れるためとはいえ、帰国する予定を決めずに海外に滞在するのってすごい。しかも有名な観光地ではないなんて、私にはとても無理。 いつも完璧だった祖母に対する憧れと勝手な思い込み。日本では気付けなかった祖母の姿を冷静に振り返ることができて本当に良かった。和菓子の松露は私も初めて知った。
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終始漂う侘しさ、満たされなさが素敵な作品です。個人的に毒気やホラー要素は感じませんでした。そうなって然りだったのだとすとんと飲み込めるような。
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久々に近藤史恵さんの短編集を読んだ。 読みやすい文章で、一気に読了。 「金色の風」「未事故物件」が良かった。
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短編集で読みやすかった。 ミステリーの短編かと思ったが、中には違う話も入っていて、普段読まないような話もあり、面白かった。 少し前向きになれるお話「金色の風」「迷宮の松露」は気に入りました笑
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「カイザリン」という響きがなんだか魅惑的。 オランダ語で「女帝」って意味なんですね。 小さい頃、花びらを取りながら「すき、きらい、すき」ってやったみたいに、「こわい、ステキ、こわい」と感じさせる短編集でした。 『タルトタタンの夢』『わたしの本の空白は』など近藤史恵さんの作品は何冊...
「カイザリン」という響きがなんだか魅惑的。 オランダ語で「女帝」って意味なんですね。 小さい頃、花びらを取りながら「すき、きらい、すき」ってやったみたいに、「こわい、ステキ、こわい」と感じさせる短編集でした。 『タルトタタンの夢』『わたしの本の空白は』など近藤史恵さんの作品は何冊か読んでいますが、なんだか新鮮な印象でした。 8編全てよかったですが、特に『甘い生活』がぞぞぞわっとしました。 子どもの頃から他人のものばかり欲しくなり、巧妙に奪うことに快感をおぼえる主人公。 小学校の時の思い出、奪ったことすらも忘れていたけど… ラストがぞわっとして怖かったです。 近藤史恵さんの美しいことばにも魅了される1冊です。
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今まで読んできて近藤さんらしくない作品がちらほら 最初に見た作品なんか、胸糞が酷くてこれはひどい!これはひどい!と憤慨してました が、その次の話で全てを許し、これが近藤さんだと思えました 他の話も不穏だったり、モヤっとしたり しかし、最初の話ほど胸糞悪いものはありません……… ...
今まで読んできて近藤さんらしくない作品がちらほら 最初に見た作品なんか、胸糞が酷くてこれはひどい!これはひどい!と憤慨してました が、その次の話で全てを許し、これが近藤さんだと思えました 他の話も不穏だったり、モヤっとしたり しかし、最初の話ほど胸糞悪いものはありません……… そして、2番目の話が一番良かった 薄暗くなりたい時に読むのがおすすめ
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いくつかのお話があり、私は人の物が欲しい人の話が1番面白かったです。どういう気持ちでそんな事をするのか?と思っていましたが、納得できました。
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ミステリーかな?と思ったけど、それだけではなかった。 一話一話味付けの違うお料理のようでとても楽しめました。 この著者の本の中でこの本が今一番好きかも。
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うっすら怖い話の中で「金色の風」だけは爽やかだった。パリオリンピックのマラソンをイメージしながら読めたのがよかった。人の物を羨んで欲しそうにする人や人のことをやっかむ人っているけど、「甘い生活」を読んだら心を入れ替えるのではないか。いや、「老いた犬」のように情けなく吠えてみるか...
うっすら怖い話の中で「金色の風」だけは爽やかだった。パリオリンピックのマラソンをイメージしながら読めたのがよかった。人の物を羨んで欲しそうにする人や人のことをやっかむ人っているけど、「甘い生活」を読んだら心を入れ替えるのではないか。いや、「老いた犬」のように情けなく吠えてみるか鼻を鳴らして泣くだけか。
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なんとなくゾワッと居心地の悪い短編集だった 表題作のホテル・カイザリンは秘密を わかちあう二人の女性の話。 静寂と孤独を心ゆくまで味わえる場所。 何とゴージャスな。 こんなホテルで家事やら仕事やらから 解放されて自分だけの時間を過ごせたら 贅沢なことなんだろう、と羨ましげに ...
なんとなくゾワッと居心地の悪い短編集だった 表題作のホテル・カイザリンは秘密を わかちあう二人の女性の話。 静寂と孤独を心ゆくまで味わえる場所。 何とゴージャスな。 こんなホテルで家事やら仕事やらから 解放されて自分だけの時間を過ごせたら 贅沢なことなんだろう、と羨ましげに 読んだけれどストーリーは嫌ミス的な展開 後味悪ーー 他人の物ばかりを欲しがる女の子の末路や 学園祭での降霊会、幼馴染に追及される僕 えっ、そういうこと・・・これも後味悪いー 朝方になると洗濯機の音がうるさい上の部屋 これはホラーなの? とおもいきや、なるほど 確かに事故物件より怖い未事故物件 妻と離婚した小説家の話、モラハラ夫って 自覚ないものなんでしょうかね。 バレエをあきらめた女性がパリで再起する話 これは、走り出したくなるような幸福感で 終わってよかった。 一番心に残ったのは宿命的な死に蝕まれた村の お話「孤独の谷」 これだけで1本、長編が書けそうなぐらい ミステリーとホラーが合わさって 続きが気になって引き込まれた。 こちらもダークな結末 それぞれ印象的な話ではあったけど ううーーん、近藤史恵さんの作品の中では 私的には今一つだったかなぁ・・・ ちょっとなんか陰湿って感じの話は苦手なのだ。
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