青瓜不動 の商品レビュー
三島屋変調百物語 第九弾。 私の“抱えている”数あるシリーズ物の中でも、とりわけ個人的にお気に入りの当シリーズ。 今回は四話構成(+序)となっております。 “変わり百物語”の二代目聞き手である、富次郎の兄・伊一郎が三島屋に戻り、早速商いの手腕を発揮して頼もしさを見せています。...
三島屋変調百物語 第九弾。 私の“抱えている”数あるシリーズ物の中でも、とりわけ個人的にお気に入りの当シリーズ。 今回は四話構成(+序)となっております。 “変わり百物語”の二代目聞き手である、富次郎の兄・伊一郎が三島屋に戻り、早速商いの手腕を発揮して頼もしさを見せています。 富次郎も店先でファッションショーのモデル(人台)をやらされるなど、伊一郎のお手伝いをしつつ、自身の今後の身の振り方を考えてしまう・・そんな悩める“小旦那”のもとにやってくる“語り手”達の物語とは・・。 安定のクオリティで、今回も不思議な物語の世界に浸らせて頂きました。 表題作の第一話「青瓜不動」では、行く当てのない女たちの駆け込み寺のような場所となった洞泉庵と彼女達を守護する不動明王“うりんぼ様”のお話で、富次郎も物語とリンクした夢の中で、畑の大量の“うりんぼ”達を大百足から助けることによって、おちかの安産祈願に繋がる展開となっております。 その甲斐あってか、おちかも無事に“小梅”(某一発屋芸人にあらずw)という可愛い女の赤ちゃんを出産して、いやぁよかったですね。おめでとうございます! 第二話「だんだん人形」は鬼畜のような悪代官によって悲惨な目にあった少女・おびんの作った土人形の不思議な物語でこちらも読み応えがありました。 この話の語り手・文三郎は富次郎と馬が合うようで、この後も富次郎の友人として再登場してほしいですね。 第三話「自在の筆」は話としては短いですが、内容が凄惨なので、こちらもインパクトありました。 これによって富次郎が絵師を断念するという決断をし、そんな心情で第四話「針雨の里」に進む流れです。 個人的にはこの「針雨の里」が物語として好みでした。孤児を引き取って貴重な鳥の羽毛と卵で生計を立てる、村全体が家族のような狭間村に引き取られた少年の成長と、その平和な暮らしが突如終わりを迎え、村人の正体が判明した時に、何とも言えない切なさと温かさが胸にみちてくる感じがしました。 ただ、この物語を聞いていた富次郎に“ある思い”がこみあげてきたところで、第四話自体が終わってしまうのが何だか唐突な印象を受けてしまいました。 あれからナナシ達がどうなったのか・・・語られていた“物語”が途中で終わった感があるのがちょっと残念でしたが、それだけ話にのめり込んでいたということですね。 次の巻では富次郎も決意も新たに、聞き手を務めることができそうですかね・・小梅ちゃんの成長と共に続きを楽しみにしております~。
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三島屋変調百物語の九之続 味のある四話。 出産間近のおちかのために奮闘する一話。 とても切なくて泣ける二話。 富次郎の生き方を揺るがす三話。 温かい気持ちが残る四話。 どれもてとも良かった。 そして富次郎の今後の成長を応援したくなる様な読後感。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
三島屋変調百物語第9弾。「青瓜不動」他所の父娘のありようみて自分の父の心をおもんぱかることができるようになったお奈津。黙って譲り合い、思いやり合いながら生きていくしかない。駆け込み寺だ。大百足は出産の難儀さでしょうか。おちかが無事出産できてよかった。「だんだん人形」復讐を守りにかえて人形にこめる。この世のどんなものよりも尊いのは人の念だ。けっして、勇気を失うな。「自在の筆」富次郎が描けなくなるくらい呪わしい。「針雨の里」風舞の化身が子を守っていたんだ。富次郎が筆を折らずに描きたい気持ちが出てきてよかった。
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ひとまずおちかちゃんよかった、おめでとう。 富次郎も長兄が戻ってきたりでいろいろ揺らぎつつもひとまずは心の澱が少しは晴れたようでよかった。 自在の筆はなかなかに業の深い恐ろしい代物だけど、そのほかはどれも守り神のような話でよかったな。
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帯の「これが最後だ、もう二度と描かない」の一言から、ライフワークだと作者が語っていた本作品も9巻目という中途半端な巻数で終わりなのかと勝手に思い込み読み進めたが、そうではないらしい...。ホっっ。 「青瓜不動」に含まれる作品には、読み終わってもやもや感が残るものはなく、悲しい結末...
帯の「これが最後だ、もう二度と描かない」の一言から、ライフワークだと作者が語っていた本作品も9巻目という中途半端な巻数で終わりなのかと勝手に思い込み読み進めたが、そうではないらしい...。ホっっ。 「青瓜不動」に含まれる作品には、読み終わってもやもや感が残るものはなく、悲しい結末であっても受け入れられ、どの作品も優しい空気のまま読み終わることができた。 1)青瓜不動 黒白の間に客人を招き入れるものの、「不思議な話」「オカルト」というよりは、昔話という感じ。男女不平等な扱いに憤りを感じた女の子が一生懸命がんばる話?!心の中にしこりが残るとすれば、後に庵主さんとなる女の子の家族。お父さんの真意は?弟・妹は、大人になっても気持ちが変わらなかったのか。 2)だんだん人形 「青瓜不動」に含まれる4作品の中で、一番読むのが辛く・やるせない話。誰も傷みを受けずに済みましたというハッピーエンドにはならない。江戸時代のルールに乗っ取った、今では理不尽としかいいようのない扱い。だんだん人形の働きよりも、だんだん人形ができるまでの物語が長く、辛すぎる話。 3)自在の筆 超短編。しかし、読むのに時間はかかった。自在の筆の持ち主が、最終的に自在の筆の魔力に負けたのではなく、打ち勝ったと捉えられることがせめてもの救い。 4)針雨の里 話の冒頭部分で「忌ま忌ましい人でなしの国だと蔑まれるかもしれません」と語り手が言うが、結末まで読んでもそうは思えなかったのは、風習を理解しきれていないからだろうか。タイトルの意味も全く予測がつかず、最後の見方を変えた種明かしがされて「なるほど」と思ったあたり、やはりミステリーなんだろう。
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おちかが聞き手じゃなくなって、おちかファンとしてはちょっと寂しかったけど、それでも変わらず楽しく読んだ。二話目が一番のめり込んだけど、一番心が動いたのは四話目。富次郎の心が動いちゃったから、それに引っ張られた感も無くはない。帯のせいで勝手にこれで終わりかと思ったけど、また続きそう...
おちかが聞き手じゃなくなって、おちかファンとしてはちょっと寂しかったけど、それでも変わらず楽しく読んだ。二話目が一番のめり込んだけど、一番心が動いたのは四話目。富次郎の心が動いちゃったから、それに引っ張られた感も無くはない。帯のせいで勝手にこれで終わりかと思ったけど、また続きそうなので良かった。
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シリーズものだが、これが初読み。 昔の話といえ、最初の2作、なんとも理不尽で読むのが少々辛い。 挫折しそうになったが、3作目が短めで少し立ち直り・・・ 4作目の針雨の里、最後に悲しい結末だけれど、救いがあって読後感は良かった。 こんな妖であれば、現代にこそどこかにいて欲しい。
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はあー…変わらずに好き。今回も胸が悪くなるようなお話と泣きたいようなお話が目白押し。富さんが絵を描きたいと泣いて終わったのは印象的。描けよ!いいよ!何も諦めんな!
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待望の三島屋変調百物語シリーズの最新作を読了しました! 本作は短編4編でしたが、タイトルになっている青瓜不動を始め、どの作品も秀逸な内容で、どうしたらこういう作品のアイデアが生まれるのか?と思うほど、宮部みゆきの発想力に感服しました!次回作も楽しみに待ちたいと思います!
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ずっしりと厚い、三島屋変調百物語九之続。 青瓜不動…理不尽な境遇の女の人達の拠り所。どこかでずっと、今この時にも存在して欲しい。私もお参りしたいです。六助さんいい人でした。こういう人の存在に救われます。 だんだん人形…おびんちゃん(泣)人形かっこいいです。回数限定なのか。 自在の...
ずっしりと厚い、三島屋変調百物語九之続。 青瓜不動…理不尽な境遇の女の人達の拠り所。どこかでずっと、今この時にも存在して欲しい。私もお参りしたいです。六助さんいい人でした。こういう人の存在に救われます。 だんだん人形…おびんちゃん(泣)人形かっこいいです。回数限定なのか。 自在の筆…周りの人達の死に様が恐ろしすぎた。 針雨の里…雨が針って訳では無かったのですね。人ならぬ者たちの人への優しさ。最後泣いてしまった。 富次郎もこれからどうするのか…
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