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青瓜不動 の商品レビュー

4.2

113件のお客様レビュー

  1. 5つ

    40

  2. 4つ

    53

  3. 3つ

    11

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2023/09/18

三島屋シリーズは毎回心待ちにしている。どの話をとっても哀しくて残酷で温かい。 読後いつもしみじみと感じ入っている。 でも今回は少しだけ引っ掛かったことがある。最後の第四話の終わり方である。この語り手は最後まで語れていないんじゃないか? 語り手が全て語り終わる前に富次郎の感情...

三島屋シリーズは毎回心待ちにしている。どの話をとっても哀しくて残酷で温かい。 読後いつもしみじみと感じ入っている。 でも今回は少しだけ引っ掛かったことがある。最後の第四話の終わり方である。この語り手は最後まで語れていないんじゃないか? 語り手が全て語り終わる前に富次郎の感情が溢れ出てしまったから…。 第三話の話は絵を描くことに並々ならぬ思いをもっている富次郎には確かにキツイ話だったと思う。 でもね語り手の話を聞き手の感情で遮ってはいけないんじゃないの?なんて灯庵さんのように意地の悪いことを思ってしまった私でした。 次回富次郎がなにをどう決断するのか百物語と共に楽しみにしている。

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2023/09/16

普段ほとんど時代小説は読まないのだけれど、三島屋の百物語のシリーズだけは、新作が出るたびに貸してくれる人がいて、これまでのものも読んでいる。 表題作は駆け込み寺を立ち上げる話でもあり、時代小説かどうかは、本当はあまり関係のないことなのかもしれないとも思う。 富三郎が語り手になって...

普段ほとんど時代小説は読まないのだけれど、三島屋の百物語のシリーズだけは、新作が出るたびに貸してくれる人がいて、これまでのものも読んでいる。 表題作は駆け込み寺を立ち上げる話でもあり、時代小説かどうかは、本当はあまり関係のないことなのかもしれないとも思う。 富三郎が語り手になってから、物語の空気が変わった。今作では富三郎は大きく成長する。そして彼は、きっと絵を書くことを捨てられない。

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2023/09/16

三島屋シリーズの魅力は語り手の物語自体の面白さに加え、富次郎・おちかをはじめとする主要な登場人物の成長がきちんと描かれている点にある。 表題作の「青瓜不動」はこの2点が見事に融合しており、悲しみを通奏低音としながらも、後味の良い爽やかな読後感を与えてくれた。 他の作品もレベルが高...

三島屋シリーズの魅力は語り手の物語自体の面白さに加え、富次郎・おちかをはじめとする主要な登場人物の成長がきちんと描かれている点にある。 表題作の「青瓜不動」はこの2点が見事に融合しており、悲しみを通奏低音としながらも、後味の良い爽やかな読後感を与えてくれた。 他の作品もレベルが高く、単行本を買った価値は十二分にあった。

Posted byブクログ

2023/09/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

【収録作品】第一話 青瓜不動/第二話 だんだん人形/第三話 自在の筆/第四話 針雨の里 第一話 おちかの出産を見守る面々。 第二話 圧政に虐げられる人々。理不尽この上ない。 第三話 人の執念に付けいる怪異。 第四話 捨て子が連れて行かれた里。

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2023/09/10

シリーズ第9作。三島屋変調百物語の続編で毎回楽しく読んでいる。そろそろ富次郎にもいい人が出来ればいいなと思う。

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2023/09/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

三島屋百物語の八巻。 小旦那の富次郎、今回は頑張りました。 雪の中を店先で人台(モデル)を務めたり、 おちかのおめでたを聞きつけて、 お越しいただいた「青瓜不動」のお勤めをなんとか果たし、 絵師になるというふわふわとして自分の夢を諦めることと闘い、 今回は小旦那の存在感が大きかった。 とはいえ、 行き場を失くした女たちが寄り添う庵のお話、 味噌づくりの村が新しい代官に潰されたお話、 富次郎を悩ませる筆のお話、 子供を引き取る山奥の村のお話、 と物語の方も素晴らしかった。 相変わらず、ところどころで刺さるところも。 富次郎が田楽づくしをひょいひょいと何度も買いに行って、 店の皆を楽しませるのも良かったし、 なによりおちかが無事女の子を産んだのが良かった。 最後、人ではないが「命」をもっていたものたちが、 幸せだった瞬間を描きたいと富次郎が泣き崩れていたが、 絵心が無いどころかマイナスの自分でさえも、 同じ気持ちだった。

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2023/09/07

うわー、この余韻を残して終わるのか〜〜!!! 宮部さんの書く物語は、いつも思わぬ形で心を抉ってくるんだよな…。 人でも、紙でも、共に暮らしていた者を失えば等しく悲しいわけで、いわゆる泣ける話は嫌いな私だけど、泣いちゃった話は心に刻まれちゃったりするのよねぇ…。

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2023/09/04

あちらの世界にぐいっと引き込まれるような感覚は少ないものの、全体的にしっとりした人情に溢れる物語が多かったように思う。 特に「針雨の里」は、読後何度も思い返してしまうほど、心に残った。

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2023/09/06

毎度毎度のことながら、宮部さんの、この力量たるやどうよ!? って思うくらい、力強く、そして泣ける。 いつも同じこと書いてしまうけど 「よくこんなお話を思いつくなぁ!」としみじみ思う。やっぱり凄い。 聞き手としては、おちかとはまた違う富次郎だけど…。いかにも次男坊らしくおっとりな、...

毎度毎度のことながら、宮部さんの、この力量たるやどうよ!? って思うくらい、力強く、そして泣ける。 いつも同じこと書いてしまうけど 「よくこんなお話を思いつくなぁ!」としみじみ思う。やっぱり凄い。 聞き手としては、おちかとはまた違う富次郎だけど…。いかにも次男坊らしくおっとりな、しかし優しく素直。子供みたいに拗ねたりするけれど、それもまた、なんというか、読み手からすると、ほっこりもする。私的には、今しばらくは(100話もあったらまた聞き手が変わるかも?)富次郎の成長物語の部分もあると思う。もちろん、おちかも、成長したんだものね。これはネタバレして良いと思うけど、珠のような可愛らしい赤子に恵まれます。 しかしながら…どんな世であれ、天災や事故、危険は伴うとは思うけれど、かの昔の時代の命の軽さには、ほんと辛いものがある。あるシーンでは、もう電車の中で思わず「うそ、そんな!」と声をあげそうになった。しかし、もしかしたら、現代だって、知らないところで似たようなことはあるのかもしれない。悲しいよなぁ。 私的には『だんだん人形』が一番読み応えあり、強く印象に残りました。いくつものシーンで涙が滲んだ。切ない。 そして、四話読み終えて思うのは…自然界で起こることって、人はとかく後から理由をつけるけど…やっぱり人智の及ばないところというか…うまく言えないけれど、この世の不思議、そして人の怖さも温かさも、たっぷりどっぷり感じられる作品なのでした。 印象に残ったところ少し。 ーーーーー 人の思いを雑に扱ってはいけない。 誰の心の内も、問うてみなければわからない。問うて返事をえたところで、全てがわかるわけでもない。いつもいつも問うていては、うるさくて暮らしていかれない。 少しでも思い出話の種になることを言っておかんと。 知ったかぶりは罪だが、その味は甘い。 死ぬのはちいとも怖くない。やっと勇さんに会える。あのとき何もできなかったことを詫びられる。 この世のどんなものよりも、尊いのは人の念だ。人が心に思うことだ。 ーーーーー 百話まで追い続けるぞお〜〜〜!

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2023/09/03

「青瓜不動」「だんだん人形」「自在の筆」「針雨の里」の四編収録。 どの話も読み応えあって面白かったです。 三話と四話は始めの2つに比べると話自体はおとなしめですが、富次郎のターニングポイントになりそうな大事な回ですね。 今のところ伊一郎は好きじゃないし、富次郎とお勝さんのコンビが...

「青瓜不動」「だんだん人形」「自在の筆」「針雨の里」の四編収録。 どの話も読み応えあって面白かったです。 三話と四話は始めの2つに比べると話自体はおとなしめですが、富次郎のターニングポイントになりそうな大事な回ですね。 今のところ伊一郎は好きじゃないし、富次郎とお勝さんのコンビが良いのでこの後変化があったら(変わっていくんでしょうけど)寂しいなあ。 そして今回とても辛かった「だんだん人形」 「青瓜不動」の頼もしいうりんぼ様、きゅうきゅう啼く可愛いうりんぼたちとの高低差が~(泣) 痛ましいシーンでは、勇さーん!おびんちゃん!みんなー!と心の中で叫んでました。飛び猿や一文も命かけて必死だったけど、生き残ったおびんちゃんも一番苦しかったように思います。 だからこそだんだん人形を作った(作れた)のでしょう。 だんだん様の活躍はこの話の中ではスカっとするものですが、勇さんを想っていたおびんちゃんの場面は泣けました。 勧善懲悪ではなくて、でも闇の中に光明を感じる三島屋シリーズ。 宮部さんの描写力には毎回引きこまれます。次回も楽しみです!

Posted byブクログ