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青瓜不動 の商品レビュー

4.3

117件のお客様レビュー

  1. 5つ

    43

  2. 4つ

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2023/12/13

前作の後、長く待ち焦がれていました。やっと読めました。時代物なのに、やはり面白い。この後をまた待ちます。

Posted byブクログ

2023/12/13

本当に恐ろしいのは、理屈のないものの怖さ、理不尽、因果応報の律が通用しないものの怖さだとしみじみ思う。 Eテレをみていて「同じ形態でヒットするものには必ず共通点がある」という言葉を聞いた。大好きなホラー番組「世にも奇妙な物語」と「三島屋百物語」の共通点を探してみた 。それは、構成...

本当に恐ろしいのは、理屈のないものの怖さ、理不尽、因果応報の律が通用しないものの怖さだとしみじみ思う。 Eテレをみていて「同じ形態でヒットするものには必ず共通点がある」という言葉を聞いた。大好きなホラー番組「世にも奇妙な物語」と「三島屋百物語」の共通点を探してみた 。それは、構成にあると思った。 4編程度、納得できる「解」が感じられる作が2編。 1編は理不尽に襲い来る恐怖に追い詰められるもの。 1編は人情に震わされるもの。 「だんだん人形」で襲い来る恐怖は、当事者にとっては理不尽この上ない。他所からみれば理屈はつく、しかし、どうしても理不尽な話である。こんなに怖い話はない。それでも、どんなに恐ろしくても、それが蟷螂之斧と言われようと、抗う人の情が沁みるものだ。 三島屋の物語で、特に最近は理不尽な恐怖には「水」が付きまとっているような感想を持ったのだが、外れているだろうか。 理不尽な恐怖からの脱出と救いのために水が障壁となり隘路を進む話が印象に残るように続いているように感じる。この隘路を産道の比喩と読むのは、ステロタイプの発想に過ぎるだろうか。 針雨の里では、火によって失われていくものよりも、水によって消えていくものの姿が印象深い。その最期の姿が私の目の前に浮かんで消えなかった。聞き終えた富次郎の涙が愛おしい。 終末の富次郎の心の声が、座る姿がどんな怪異をも乗り越える生命力に満ちているように思えてならない。 富次郎の成長物語。 そして、小梅の成長物語。 ますます次作が楽しみだ。

Posted byブクログ

2023/12/11

決して後味が悪いわけではないんだけど、ものすごく切なくなる話ばかり…宮部みゆき、本当ストーリーテラーだしうまいなぁ…そして泣かせるなぁ…。

Posted byブクログ

2023/12/09

■青瓜不動…おちか出産、富次郎かげで頑張った ■だんだん人形…だんだん=元気な、威勢のいい。戦い終って一礼して去って行った ■自在の筆…富次郎、絵師への憧れをやめる ■針雨の里…富次郎、やはり絵を描きたくなる

Posted byブクログ

2023/12/05

とうとう、おちかがおっかさんに。聞き手を受け継いだ富次郎は、相変らず聞き手としての悩みは尽きない。 「語って語り捨て、聞いて聞捨て」の「三島屋変調百物語」シリーズも、 はや、九作目。 新刊を手に入れたのだからと、一作目から読み返してみた。 読み応えは十分で、八冊をあっという...

とうとう、おちかがおっかさんに。聞き手を受け継いだ富次郎は、相変らず聞き手としての悩みは尽きない。 「語って語り捨て、聞いて聞捨て」の「三島屋変調百物語」シリーズも、 はや、九作目。 新刊を手に入れたのだからと、一作目から読み返してみた。 読み応えは十分で、八冊をあっという間に、というか、 切り目なく、一挙に読んでしまった。 おちかのためにと、伊兵衛が始めた百物語だが、 時を経て、おちかが嫁に行き、聞き手が、三島屋に戻ってきた 富次郎に受け継がれ、そして、おしまがおちかのもとに行き、 長男の伊一郎が三島屋に戻り、おちかに赤子が生まれる…。 「サザエさん」のように、いつまでも変わらないまま、 楽しめる物語もいいが、こうして、主人公や周囲の人々の 生活が変わり、少しずつ、変化を遂げていく、 そんな描き方も、百物語の裏に、もう一つの物語が流れ、 幾重にも楽しめる。 でも、おちかが聞き手を務めていたころの、 おちか、おしま、お勝、三人の女たちの心のやり取りが懐かしい。 それに、富次郎のキャラが、今一つ軽っぽく、 おちかの頃の、心に染み入るような余韻が味わえない。 繰り返し、「おちかのようにはなれない」と落ち込み、 「もうちょっと、しゃんとせい」と活を入れたくなる。 富次郎がメインになってから、 おちか側の物語が、見事なくらい描かれず、 それも少々、不満といえば不満。 だって、本当にあっけなく、嫁にいっちゃったし。 話の主軸は百物語だから、余計なことなのかもしれないが。 三島屋の中で、三人プラス小梅の生活も見てみたいが、 それはそれで、悲しいことの上に成り立ちそうで、 望んではいけないことなのだろう。 そんな中で、怪異や不可思議が語られる百物語は変わらない。 ただ、今作の一編だけは、「黒白の間」で語られるものではなく、 骨董屋の中で聞くものが混じり、異色と言えば異色。 ま、これまでにもなかったことではないが。 さて、おちか側の話もそうだが、あの世とこの世を行き来する商人や、 伊一郎の心模様、富次郎のこれからなどなど、 気にかかるあれこれが多く、こちらも、じっくり腰を落ち着けて、 このシリーズと付き合っていこう。

Posted byブクログ

2023/11/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「青瓜不動」富次郎の、行然坊へのヤキモチのような感情が可愛らしい。 お金が流れる豊かな江戸と田舎では女性の置かれる状況はここまで違うのかと感じた。 また、「男性&姑世代の女性」と「嫁・娘世代」で、おばへの評価が違うのも興味深い。 大百足に追われながらうりぼうを刈り込む富次郎。おちかのお産のために、まさかそこまで汗をかかなくてもいいじゃないかと思ったけれど、お産は大変なものだから、兄さん(従兄弟)がそんなふうに共に苦労してくれるのも悪い気はしないかも? 何にしたって、母も元気で子どもが元気に生まれてくることは本当にありがたくって、物語でさえも涙が出る。 富次郎がすっぱり絵を諦めようと思ったのに、「自在の筆」が恐ろしく思えるのも共感できるし、「針雨の里」はグッとくる。少しずつ成長していく姿も興味深い。 同じ江戸で妖のストーリー・しゃばけの「安心して読める物語」と比べると、三島屋変調百物語は怖くて重くて手に汗握る展開。 ただし、基本は1話完結だし、聞き捨てなので、怖さを引きずることはないので安心。次巻も楽しみ。

Posted byブクログ

2023/11/15

シリーズ9作目。 相変わらずテンポもよく、文体も読み進めやすく、話も面白いので続きが読みたくてついつい読んでします。今回は怪奇色は少し弱め。 早く次作が読みたい。

Posted byブクログ

2023/11/10

面白かった。三島屋9作目。 表題の青瓜不動が、やはり一番印象に残った。 女性の守護神青瓜の顔を持つ不動明王、 バトルゴーレムだんだん人形、 欲を喰らう魔物、自在の筆、 紙人形の里 ホラー度は低いし、その物語の意味するところを変に解釈を加えるわけでなく(加えないわけでもなく)、読み...

面白かった。三島屋9作目。 表題の青瓜不動が、やはり一番印象に残った。 女性の守護神青瓜の顔を持つ不動明王、 バトルゴーレムだんだん人形、 欲を喰らう魔物、自在の筆、 紙人形の里 ホラー度は低いし、その物語の意味するところを変に解釈を加えるわけでなく(加えないわけでもなく)、読み手にぶんなげるところの塩梅がとてもええさじ加減。さすが宮部語り。 おちか、無事女児出産 富次郎の絵描きへの執着 田楽と芋菓子が食べたくなる。 最近の個人的ブームの百珍レシピもでてきて嬉しかった。

Posted byブクログ

2023/11/09

三島屋百物語シリーズの第九弾。長兄伊一郎さんが帰ってきたり、おちかさんがついに出産されたりだんだんいろいろ変っていきますねえ。語り手である富次郎さんにもちょっとずつ変化が。。。どうなっていくのか今後も楽しみです。 今回は・・・ちょっと暗めというかハードな話でしたね。時々ある「ハ...

三島屋百物語シリーズの第九弾。長兄伊一郎さんが帰ってきたり、おちかさんがついに出産されたりだんだんいろいろ変っていきますねえ。語り手である富次郎さんにもちょっとずつ変化が。。。どうなっていくのか今後も楽しみです。 今回は・・・ちょっと暗めというかハードな話でしたね。時々ある「ハートフル」な感じのお話はお休み。若干・・というか、特に二話目は結構な陰鬱なお話。作中でも語られてましたが、悪人が成敗されてすっきり、とはいかないものですかねえ。 まあ三島屋まわりはわりと順風満帆なのが救いでしょうか。一時の凪ではないといいんですが。ホントに。

Posted byブクログ

2023/11/05

シリーズ9作目。 今回はどのお話も心が締め付けられるような悲しさと温かみが入り混じっていた感じがした。 これもこのシリーズ独特の味わい。 富次郎の辛さもわかるような気がする。でも、最後に兆しも見えた。 おちかも母になった嬉しさも込み上げてきた。

Posted byブクログ