あなたの燃える左手で の商品レビュー
誤診で切る必要もないのに左手を切られ、そこに白人の手を移植された日本人アサト。 初めはあまり意味が分からず、医療的な興味で移植後の経過を読んでいた。 でもウクライナ人の奥さんがクリミア半島から脱出する電車の中で「カワイソウナ、テ。イミモナクキラレテ。カワイソウナ、ウデ。イミモナク...
誤診で切る必要もないのに左手を切られ、そこに白人の手を移植された日本人アサト。 初めはあまり意味が分からず、医療的な興味で移植後の経過を読んでいた。 でもウクライナ人の奥さんがクリミア半島から脱出する電車の中で「カワイソウナ、テ。イミモナクキラレテ。カワイソウナ、ウデ。イミモナクノコサレテ。フタツハ、ツナガッテイタモノナノニ。」と日本語でつぶやいた時、そうか、左手はクリミア半島の象徴なのかと気がついた。 では移植された左手はロシアで、手と腕の繋ぎ目は国境? 幻肢痛や拒絶反応など移植に関わる様々なことが、ウクライナとロシア、ハンガリーとの関係を表しているようだった。 世界情勢に疎いこともあって、少し難しかった。
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わからない。 何故これを読みたいリストに入れていたのか。 冒頭からショッキングな自爆、移植、国境。 完全な異世界だったらもっと入り込めたかも。
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「移植」という行為に抵抗を感じてしまうのは、日本人ならではなのでしょうか? 臓器提供意思表示カードには、すべての臓器に◯をつけていますが、提供する側はもう生きていないので、あまり深く考えることはありませんでした。でも、移植される側は、その後も生きていかなければなりません(いゃ、生きるために移植するんですもん、当然です)。内臓なら目には見えませんが、目に見えて常に意識させられる部位の移植は、肉体的だけでなく精神的にも感覚的にも受け入れるのに相当な負荷を乗り越える必要があるのでしょう。とても想像が追いつきませんでした。 国境の争いや人種間の摩擦を、移植になぞらえて描いていくこの物語は、時に吐き気を催すほどでしたが、心の奥深い場所に刺さりました。加えて身体、特に左手にもこれまで感じたことのないザワザワした感覚が残りました。身の回りに様々な国にルーツを持つ人が増え、常識や価値観の違いを意識させられることが増えてきた昨今、痛みを伴っても折り合わなければならないことを覚悟せよと迫られていることを分からせてくれました。
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表題からは想像できない他人の手を移植する物語で、東部ヨーロッパの複雑な背景もあり、奇妙な読後感を得た.アサトは左腕に浮腫ができ、悪性と診断され切断を余儀なくされた.その後、白人の手を移植することになり物語が急展開する.ドイツ語、ハンガリー語、ウクライナ語、ロシア語が飛び交う場面を...
表題からは想像できない他人の手を移植する物語で、東部ヨーロッパの複雑な背景もあり、奇妙な読後感を得た.アサトは左腕に浮腫ができ、悪性と診断され切断を余儀なくされた.その後、白人の手を移植することになり物語が急展開する.ドイツ語、ハンガリー語、ウクライナ語、ロシア語が飛び交う場面を想定した話があり、多くの人が交錯するので、前後関係を確認するため、何度も戻りながら読んだ.ハンナとのやりとり、移植医のゾルタンとの会話、手術後に現れる夢の数々、幻肢痛への対処、同僚との会話などなど、ばらばらに出現する事項が何故か一点に収束する感じを得たのは不思議だった.ただ、ウクライナのクリミヤ半島のドライブは、複雑な物語の中で唯一の息抜きのような感じがした.
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戦争、国境、人種の違いを移植という形で対比して描いたのは、医師ならではの目線だと思う。 ある日移植した他人の手に、自分の血が流れて、だんだんと同化していく。境界線が、吻合部があいまいになっていく。 ヨーロッパの動脈であるドナウ川は何ヶ国も通過し、ハンガリーからウクライナへ。周りと...
戦争、国境、人種の違いを移植という形で対比して描いたのは、医師ならではの目線だと思う。 ある日移植した他人の手に、自分の血が流れて、だんだんと同化していく。境界線が、吻合部があいまいになっていく。 ヨーロッパの動脈であるドナウ川は何ヶ国も通過し、ハンガリーからウクライナへ。周りと同化することが自然なことなのか、違ったままで生き続けるのか。はるか昔から川は巡るけれども、今日も戦争は終わらない。
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現実の日々のなかの、正しさを強いられ続ける世相。感情を抑えつけ、なだめすかして、間違いのないように制御するために思考し続けることを強いられるような毎日の繰り返しに、本能的な嫌悪感が加速していくわたし個人の心象風景と、主人公アサトの身体反応、健常と障害、国家と国境など、異質や隔絶、...
現実の日々のなかの、正しさを強いられ続ける世相。感情を抑えつけ、なだめすかして、間違いのないように制御するために思考し続けることを強いられるような毎日の繰り返しに、本能的な嫌悪感が加速していくわたし個人の心象風景と、主人公アサトの身体反応、健常と障害、国家と国境など、異質や隔絶、分断のその先の景色と、シンクロするような人ごとで済まされない物語を見せてもらった。
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ハンガリー在住の日本人の内視鏡技師の、 失ってしまった左手。 そして新たに、移植された他人の左手。 ウクライナ、ロシア、ハンガリー、ドイツ、 ポーランド、そして島国の日本。 移植の前後の肉体感覚と、昨今の国際情勢、 特にクリミア併合以降のウクライナ情勢が重なる。 読みごたえあ...
ハンガリー在住の日本人の内視鏡技師の、 失ってしまった左手。 そして新たに、移植された他人の左手。 ウクライナ、ロシア、ハンガリー、ドイツ、 ポーランド、そして島国の日本。 移植の前後の肉体感覚と、昨今の国際情勢、 特にクリミア併合以降のウクライナ情勢が重なる。 読みごたえありました。
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他人の体と繋がることはどういうことなんだ? 本文にも出てくる、"他人を意のままに動かすことができるのか?"答えはNo。 私が司令塔であり、命令を下す側であり、手を従わせなければならない。 "自分の体"とは、他人を受け入れるということは、自我や受容について、少し医療の倫理的な視点もあって自分と他人の「境界線」についてめちゃくちゃ考えさせられた。 でもまさか、境界線に対して、国境の話が入ってくるとは思いませんでした。国と国の境目の話が出てくるのがとんでもなく説得力がでて、後半泣きながら必死に読んだ。
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朝比奈秋『あなたの燃える左手で』読了。 移植で得た左手と共に生きる青年が、その手の出自や国境をめぐってせめぎあう。 移植と国境という、一見異なる主題が見事に呼応し、身体の内側と国家の外側をめぐる問いへと連なる。境界線とは何か、その線は誰がどこに引くのか、読後も思考が燃え続ける。
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あなたの燃える左手で 2025.08.10 怒りを恥じること、他人を想って涙を流すこと、それが弱さでなくて美徳とされるあの列島、そして、そこに住む平和で呑気でシャイで、親切にされると恥ずかしそうに礼義正しくお辞儀をする人たち。 この文章によって日本人の在り方を客観視できて、な...
あなたの燃える左手で 2025.08.10 怒りを恥じること、他人を想って涙を流すこと、それが弱さでなくて美徳とされるあの列島、そして、そこに住む平和で呑気でシャイで、親切にされると恥ずかしそうに礼義正しくお辞儀をする人たち。 この文章によって日本人の在り方を客観視できて、なるほどなと感じた。どこか愛おしいと感じてしまった。このような日本人であり続けたいと思うのは愛国心の表れなのだろうか。 島国である日本とヨーロッパ大陸のちがいを手の拒絶反応で表しているのが印象的。読みながら自分の神経も痛むような感覚を得た。移植をテーマとして国際関係に繋げるのは新鮮だった。 私もアルバイトをしていて外国人観光客の態度や食べ方、マナーについて体の内なるところから、どこか違和感や隔たりを感じることがある。日本にいて、殻にこもっていては気付けないことだと思う。このような違いを乗り越えていかなければ本当の国際協力は難しいのだなと実感させられる。
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