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あなたの燃える左手で の商品レビュー

3.5

63件のお客様レビュー

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2023/10/16

2回読んで やっと 読んだ気になった。国境や民族とか文化の考え方、わかっているようで わかっていないんだなぁと認識した。この小説が全ての答えを示しているとは思わないけど、世界は広くて深いんだなぁと思った。ページをめくる手はかろうじて自分の手で安心した。

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2023/10/05

島国である日本と、繋がっている大陸の国々では国境の捉え方は確かに違うのだろうと思う。 移植された左手の繋ぎ目がまさに国境のように描かれていて、そこに日本人としてのアイデンティティが感じられた。 臓器移植でも拒絶反応はあるけど、「左手」という自分で見える部分の移植は、精神的な拒絶反...

島国である日本と、繋がっている大陸の国々では国境の捉え方は確かに違うのだろうと思う。 移植された左手の繋ぎ目がまさに国境のように描かれていて、そこに日本人としてのアイデンティティが感じられた。 臓器移植でも拒絶反応はあるけど、「左手」という自分で見える部分の移植は、精神的な拒絶反応も出てしまうと思う。 ハンガリー、ウクライナ、ロシア…との政治的な問題も絡んで、なかなか重たいテーマ。 難しかった。

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2023/10/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

国境や領土問題をドナーとレシピエントの臓器に例えたのが秀逸 ハンガリー人医師の日本人観には妙に納得させられた 日本人が色んな文化を受け入れられるのは侵略される心配がなかったことの裏返しでもある、と。

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2023/09/05

左手を医療過誤で失い、他人の手を移植した男・アサト。自分の腕と移植された他人の手との境目を国境に喩え、腕と手の攻防を国境をめぐる国と国との紛争になぞらえて描かれる作品。 国土に国境を持たない日本で生まれたアサトと、国土の一部を奪われ、常に国境を意識せざるを得ないハンガリー人の医...

左手を医療過誤で失い、他人の手を移植した男・アサト。自分の腕と移植された他人の手との境目を国境に喩え、腕と手の攻防を国境をめぐる国と国との紛争になぞらえて描かれる作品。 国土に国境を持たない日本で生まれたアサトと、国土の一部を奪われ、常に国境を意識せざるを得ないハンガリー人の医師の思考の違いが面白い。 「陸つづきの国境を持たない彼らにとって、他国の宗教や文化を受け入れることと、他国を受け入れることは常に別個なのだ。 日本というのは実のところ、どの国よりも何も受け入れてこなかった国なのかもしれない」 このくだりには納得。 あまりにも文学的すぎてウクライナ周辺で起きている悲惨な現状にもあまり目がいかず、深く心を動かされることもなかったのが残念。

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2023/09/02

左手を誤診で切断、他人の手を移植だなんて考えられない。最初の切断の時点で衝撃が大き過ぎるのだが。 切断が決まったときの周りの反応があまりにもあっさりとしていて驚いた。所詮、他人のことだからなのか。 国の侵攻と人の手を移植すること。少しだけ似ている。 主人公の左手のドナーがまだ生...

左手を誤診で切断、他人の手を移植だなんて考えられない。最初の切断の時点で衝撃が大き過ぎるのだが。 切断が決まったときの周りの反応があまりにもあっさりとしていて驚いた。所詮、他人のことだからなのか。 国の侵攻と人の手を移植すること。少しだけ似ている。 主人公の左手のドナーがまだ生きていることが、侵攻されて相手国に従属する形になっても、国民は生きていくのだと叫ばれているような気持ちになった。

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2023/08/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ハンガリーの病院で手の移植を受けた日本人のおはなし 奥様はウクライナ人 舞台はまさしく今現在で、ウクライナの状況ヨーロッパの状況が一個人の身体と重ねて論じられている 一度切り落とされた手はもう戻らない 移植され繋がれる手は、同じ手であっても元の手とは別の誰かの者 それを、どう受け止めるかということを問われている話なのかなと 思ったけれどどうなんだろう。主人公の悩みや困惑が夢現のようで少し複雑な印象。 土地を奪い奪われの陸続きの大陸のひとと島国日本の人間には考え方や受け止め方に違いがある、というのはわからなくもないと読みながら思ってしまったけれど、それでも失っている島はいくつかあるのだよな。そこに痛みがない訳はないし、でも我が事と捉えられているかといえば微妙なところで、勉強して知らなければなぁと、作品とは直接関係のないところかもしれないれどそう思った。

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2023/07/19

誤診により切断された左手。そして移植され見た目は左手も回復したように見える。自分の左腕と、他人の掌、指。その境界と国の境界の話へと広がっていく構成が自然で上手い。確かに繋がった手に振り回されるような、感情が追いつかない日々と、ロシアとウクライナの問題がリンクしていくように語られる...

誤診により切断された左手。そして移植され見た目は左手も回復したように見える。自分の左腕と、他人の掌、指。その境界と国の境界の話へと広がっていく構成が自然で上手い。確かに繋がった手に振り回されるような、感情が追いつかない日々と、ロシアとウクライナの問題がリンクしていくように語られる。そこを隔てているものは何か。国や国境とはなにかまで問いかけてくる。前作の『植物少女』同様に今作もすごい。

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2023/07/17

ラジオ「高橋源一郎の飛ぶ教室」で出演されていて、プロフィールや小説を書くきっかけ、スタイルに興味を持って。 本の帯にある3人の識者によるコメントがしっくりくるのだろうが、なかなかに難しい本であった。 遡って、著者作品を染み始めよう。 読み解くことで、少しずつもやもやしている部...

ラジオ「高橋源一郎の飛ぶ教室」で出演されていて、プロフィールや小説を書くきっかけ、スタイルに興味を持って。 本の帯にある3人の識者によるコメントがしっくりくるのだろうが、なかなかに難しい本であった。 遡って、著者作品を染み始めよう。 読み解くことで、少しずつもやもやしている部分が理解できるかもしれない。

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2023/07/14

久々の休みの日に読みたかったものから選んだ本です。 今読むべきではではないと、読み始めに感じた 読後、痛み、苦しさ、衝撃ばかりで後悔しました。 多少時系列に救われたかな、 つらい現実を乗り越えなきゃいけない事が起こるのが怖い。重い休日でした。

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2023/07/11

植物少女がとても良かったので、朝比奈さんのこの本も読んでみたかった。 他人の手を移植することは、どんな感じなのか? とてもよく書いてあって怖いくらいだった。 日本では手の移植が行われたことはない。 幻肢痛に立ち向かう様子が細かくて、痛みが伝わってくるようだった。 左手でトンカチを...

植物少女がとても良かったので、朝比奈さんのこの本も読んでみたかった。 他人の手を移植することは、どんな感じなのか? とてもよく書いてあって怖いくらいだった。 日本では手の移植が行われたことはない。 幻肢痛に立ち向かう様子が細かくて、痛みが伝わってくるようだった。 左手でトンカチを持って釘を打つリハビリは、 利き手ではないし、普通の人でもやりにくいと思う。 むすんでひらいて 日本の手遊び。これもリハビリ。 激しい拒絶反応で真っ赤に腫れる左手。 この本は、初めから最後まで、なんというか左手がじんじんする感じがすごい。 現役医師だからこそ知り得る情報があちこちにあり、描写が生々しい。 すごかった。

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