あなたの燃える左手で の商品レビュー
受け入れがたい喪失、受け入れがたい存在。それと自分が地続きであること。それに人は向き合えるのか。耐えられるのか。特に地続きの国境を持たない私たちは。そんなことがテーマなのかなと思うが、何せ読みにくい。主人公の妄想が混ざるので致し方ない部分はあるが、せめて単なる場面描写や時系列だけ...
受け入れがたい喪失、受け入れがたい存在。それと自分が地続きであること。それに人は向き合えるのか。耐えられるのか。特に地続きの国境を持たない私たちは。そんなことがテーマなのかなと思うが、何せ読みにくい。主人公の妄想が混ざるので致し方ない部分はあるが、せめて単なる場面描写や時系列だけでもすんなり入ってくる書き方をしてほしい。
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※ 誤診で手を失い、その後、移植によって 手を得る主人公の深い深い内省が続く物語。 移植によって体内で起こる反応と戦争という 名の国同士の奪い合いを喩えにして、 比較しているのは奇妙に感じられたけれど、 その癖妙にピッタリしているのが不思議だった。 何かを失うことや何かを受け...
※ 誤診で手を失い、その後、移植によって 手を得る主人公の深い深い内省が続く物語。 移植によって体内で起こる反応と戦争という 名の国同士の奪い合いを喩えにして、 比較しているのは奇妙に感じられたけれど、 その癖妙にピッタリしているのが不思議だった。 何かを失うことや何かを受け入れることを とても大きな規模で捉えて描かれていて、 難解で斬新な感じでした。 終始、息苦しさと胸苦しさで胸が重くなりました。
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こんな小説は初めて読んだ。 誤診で切断された左手。つなぎ合わされた白人の手が、自分を侵食していく。自分の体はそれを受け入れ、また拒否する。 移植の話だったのに、それはいつしか文化や民族の受容の変容とは何かという話へと移っていく。 舞台はハンガリー。執刀医はハンガリアンのナショナリ...
こんな小説は初めて読んだ。 誤診で切断された左手。つなぎ合わされた白人の手が、自分を侵食していく。自分の体はそれを受け入れ、また拒否する。 移植の話だったのに、それはいつしか文化や民族の受容の変容とは何かという話へと移っていく。 舞台はハンガリー。執刀医はハンガリアンのナショナリストのゾルタン医師。ゾルタンには日本人であるアサトが左手を受容できないのは、ヤワな島国独特のものに映る。 「宗教でも、文字でもなんでも受け入れるのが島国文化、などとほざいてはいても、陸続きの国境を持たない彼らにとって、他国の宗教や文化を受け入れることと、他国を受け入れることは常に別個なのだ。移民も頑なに受け入れていないところをみると、日本というのは実のところ、どの国より何も受け入れてこなかった国なのかもしれない。」 「大陸よりもはるかに矮小で、しかし、島国というには長大な、日本列島。小さな領土のふりをして、西ヨーロッパのほとんどの国よりも大きく人口も多い。ぼんやりとした領海に囲まれて国境を知らず、似た者だけで排他的に暮らしながらも、自分たちは心優しい人種と思い込んでいる無知で幼稚な国民…。」 しかしそのようにアサトを断罪するゾルタンもまた、偏狭なナショナリストなのだった。 アサトの手の受容への変化がゾルタンをも変えていく。 文化も歴史も習慣も民族も違う手を繋ぎ合わすという医師ならではの驚くべきモチーフで、分断された世界を表現する著者の発想と、完成度の高さに感嘆。 この人の他の著作も読みたいと思った。この人すごい。 この本も、賛否あるみたいだったが、豊崎由美のオススメだったので読んでみたが、やはり、豊崎の読書眼は流石。
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久しぶりに読後引きずる本だー。 重く、考えさせられる、内容だった。 「手の移植」と聞いて、ただ手術的なコトしかとらえていなかったけど、自我であったり、国民性(島国とかの)であったり、支配したりされたり、その辺の綴りが興味深かった。 ハンガリー、ウクライナ、ドイツ、ロシア、今起こっ...
久しぶりに読後引きずる本だー。 重く、考えさせられる、内容だった。 「手の移植」と聞いて、ただ手術的なコトしかとらえていなかったけど、自我であったり、国民性(島国とかの)であったり、支配したりされたり、その辺の綴りが興味深かった。 ハンガリー、ウクライナ、ドイツ、ロシア、今起こっているコトなのも、リアルな感じ。 読み初めはちょっと苦戦したけど、読むにつれ色々考えながらずっしり読めた。 最後の章がよかったー。
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自分の体の一部の喪失と ウクライナ、クリミア、ロシア周辺で起こっていること どこまでがほんとでどこまでが幻想なのか読んでて混沌として不思議な世界に迷い込んだ感じだった。 島国と大陸の国民性の違い、そういう見方したことなかったので新鮮。 異国の友人がいればそういう会話をする機会...
自分の体の一部の喪失と ウクライナ、クリミア、ロシア周辺で起こっていること どこまでがほんとでどこまでが幻想なのか読んでて混沌として不思議な世界に迷い込んだ感じだった。 島国と大陸の国民性の違い、そういう見方したことなかったので新鮮。 異国の友人がいればそういう会話をする機会があるのかなとか…妄想してる。
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大陸ヨーロッパと島国日本の風土が造る人間の性質の違いについての記述が興味深い。 ウクライナ紛争も絡んでいて、全体的に重く暗い空気に、読んでいる間中囚われる。が、おもしろく、やめられない。 私自身、後遺症で右腕に麻痺が残ったこともあり、身体の苦痛の表現に共感できる。 最後がよくわか...
大陸ヨーロッパと島国日本の風土が造る人間の性質の違いについての記述が興味深い。 ウクライナ紛争も絡んでいて、全体的に重く暗い空気に、読んでいる間中囚われる。が、おもしろく、やめられない。 私自身、後遺症で右腕に麻痺が残ったこともあり、身体の苦痛の表現に共感できる。 最後がよくわからなかった。本当は、私が今、理解していることはカケラで、もっともっと深い意味が表現されている、と思う。もう一度読み直してみたい。
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[こんな人におすすめ] *調べ物が好きな人、社会派小説が好きな人 この本を読んでいると多くのことが知りたくなります。日本、海外、歴史、医療、そして人間のことを知りたくてたまらなくなり、スマホで検索したり図書館で専門書を借りたくなります。社会派小説や新聞を読むことが好きな人でも新...
[こんな人におすすめ] *調べ物が好きな人、社会派小説が好きな人 この本を読んでいると多くのことが知りたくなります。日本、海外、歴史、医療、そして人間のことを知りたくてたまらなくなり、スマホで検索したり図書館で専門書を借りたくなります。社会派小説や新聞を読むことが好きな人でも新しく得られることはあるはずです。現在の国際情勢にも関連する話なので、興味のある人はできるだけ早い時期に読むことをお勧めします。 [こんな人は次の機会に] *現実逃避したい人 日々の生活に疲れ、読書中に現実のことを考えたくない時にこの本を読むとしんどくなるので気をつけてください。
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現役医師が書いているので、情景が細か過ぎる程細かい ハンガリーに住んでいて、ウクライナ(クリミア半島)出身の妻がいる日本人男性が主役 現代のある日、医師の誤診で主人公の左手が切断される 看護師の妻がウクライナ東部での戦闘に巻き込まれ、亡くなる 主人公にポーランド人の左手が...
現役医師が書いているので、情景が細か過ぎる程細かい ハンガリーに住んでいて、ウクライナ(クリミア半島)出身の妻がいる日本人男性が主役 現代のある日、医師の誤診で主人公の左手が切断される 看護師の妻がウクライナ東部での戦闘に巻き込まれ、亡くなる 主人公にポーランド人の左手が移植され、その左手の意思があり、馴染めない 担当医のドイツ人医師のドクトル視点が時々、混ざる すごく面白くはないのだけれど、最後まで読ませる
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国境、民族、言語、歴史的背景、争う事なく穏やかに過ごせる世界でありたい。おもわず自分の左手手首を握りしめてしまいました。
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移植された他人の手と自分の手の境界が国境のよう。クリミアの問題、ロシアとウクライナの闘い、地続きのヨーロッパ諸国と島国である日本に生まれたことによる意識の違いなど。少し難しかったけどウクライナとロシアの問題が身に迫って感じられた。 『植物少女』と同じ作者だと読み終わってから気がつ...
移植された他人の手と自分の手の境界が国境のよう。クリミアの問題、ロシアとウクライナの闘い、地続きのヨーロッパ諸国と島国である日本に生まれたことによる意識の違いなど。少し難しかったけどウクライナとロシアの問題が身に迫って感じられた。 『植物少女』と同じ作者だと読み終わってから気がつき驚いた。かなり雰囲気が異なるけど医療に関する記述の確かさは医師ならでは。
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