52ヘルツのクジラたち の商品レビュー

町田そのこ(著者)

2023/07/03

身近な人からの愛情に飢え、しかしまた身近な人に満たされる、人間らしいといえばそう思えるストーリー。人間は感情の動物だからこそ、山あり谷ありなのだと改めて実感する読書体験でした。登場人物のほぼ全員が「愛」に何かしらの事情を抱えており、だからこそ感じるコミュニケーションの温かさがあった。
ただひとつ、このストーリーが現実で普遍化しないで欲しいと願うばかり。キナコのように過去を乗り越えられる人はそう多くないと思うから。

2023/07/13

キナコの大人になっても消えない母と義父からの虐待の傷跡、元彼からの暴力や軟禁。元カレとアンさんを壊してしまった自責の念。ひとりになるために田舎に住み始めたのに監視のような周りの目。
不幸、苦しい、そんな簡単な言葉で表せられないような壮絶な人生を送ってきたキナコが56と出会い2人の幸せを掴みに行く物語。

普通のクジラだと思っていたアンさんが52ヘルツのクジラだった時の衝撃。私の周りにも普通に見えて今にも壊れてしまいそうな52ヘルツのクジラがいるんではないかと怖くなった。私は誰かの52ヘルツの声を聞けているのかな。せめて大切に想う身近な人の声だけでも耳を澄ませて聞けていたらいいな。

いまこのとき、世界中にいる52ヘルツのクジラたちに向かって。どうか、その声が誰かに届きますように。
2023.07.02〜07.03

2023/07/03

クジラの栞が挟まってた。
素敵。
私はいつも無意識に登場人物をある程度イメージしてるんだなと今回改めて気付いた。
アンさんをうまくイメージできなかったから。
あれ？
大事な人なのに…なんだかもどかしい。
希望のあるストーリーだった。

2023/07/02

読み進めるのも嫌になるほど悲しく辛い話もありますが、それ以上の優しさに包まれる言葉も多いお話でした。

どんなに声を届けても同じ境遇を経験していないと、その人に声は届かない。人の声とクジラの声をリンクさせてる。

目の前にある幸せ悲しみの先にも、新しい出会い人生があると教えてくれる小説です。
小説に出てくる『 魂の番』は自分にとって誰なのだろう、と考え直すキッカケをくれた作品でした。

2023/07/02

装幀のデザインがかわいらしく
気になった為、手にとって読んでみたが
中身は色々とハードで深く入り込んでいくストーリーだった。

田舎特有の監視社会・ネグレクト・毒親介護・トランスジェンダー・親権・妾の子・第1の人生・第2の人生・第3の人生

主人公のリアルで壮絶な境遇。
声無き声を出すこと、届かないと思ってしまうことでも手を差し伸べてくれる相手がいること。
反対に相手が発する声無き声に気づくことが出来るのか、そこから何かできるのか。
『魂の番(つがい)』と『52ヘルツ』というワードが奇麗に当てはまる
テーマがセンシティブなものが多いが結末が前向きな終わり方で読了感が救われた。

2023/07/02

キナコや52のような壮絶な経験はしてないけど、諦めてるけど愛されたくて、やっぱり人はどこまでも愛を求めるだなぁ。

2023/09/22

虐待描写がかなり胸糞で苦しかった反面、助けてくれた友達や周りの人の温かさにとても感動した。自分もこのような人間になりたいと思った。

2023/07/02

読み進める度に明らかになるキナコの過去が、苦しくて心が苦しくなった。
美晴がキナコの辛さを半分ちょうだいって言ったところで無償の愛を与えてくれる友人がいて本当に良かったと思った。
随分と辛くて苦しい人生だったけど、これからは上手くいくといいな。

2023/07/01

人気の作品。
期待して裏切られるからあんまり期待せず読んだ。

重いテーマだなぁと思う。
作品としては読みやすいし早い人で2、3時間で読めてしまうんじゃないかな？

テーマがテーマだけに、少し考えてしまった。
児童虐待とかね…
私は根本的な解決を。という考えなので
「うーん…。」とどうなんだろな…と
色々考えた。
正解は分からないけど、こうやって考えるキッカケになるからいい作品だと思う。

2023/07/01

読んでいる最中、心が苦しくなった。
この世の中で、虐待に苦しむ子供や大人になってもなお苦しめられている方が多くいると思う。
私の身近にはいないと思っているだけで、52ヘルツのクジラのように、声が届かないが叫んでいる子どもや大人がいるのだと改めて感じた。

愛情を求めていたキナコが愛情を注ぐ側になることで生きていく力を得ることができたこと、愛(いとし)を救うことができたこと、2人が想い合い生きていこうと決めたことなど、本当に良かったと安堵した。

私は教師になる。キナコの最初の担任のようになってはいけない。あらゆる可能性を踏まえ丁寧に救う方法を考えていかなくてはならない。

この小説に出会えて本当に良かった。