黄色い家 の商品レビュー
読み終わってどんより曇ったものがずっとわだかまっている。小説の上ではなく、難しい環境に生まれそこから逃れられない人生って実際にあるだろう。そんな世界から抜け出せない時、暮らしていくということがどんな事なんでしょう。この小説に出てくる花、黄美子さんに明るい未来はあるのでしょうか
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前半は惰性で何となく読み進めて、 後半からは一気に読めました 何だろう、黄美子さんみたいな、こういう人いるんだろうなと思います 出てくる登場人物は、みんなどこか足りてない それは環境だったり、生まれだったり、判断能力だったり、運だったり、そしてそれがみんなお金がない事に繋がっ...
前半は惰性で何となく読み進めて、 後半からは一気に読めました 何だろう、黄美子さんみたいな、こういう人いるんだろうなと思います 出てくる登場人物は、みんなどこか足りてない それは環境だったり、生まれだったり、判断能力だったり、運だったり、そしてそれがみんなお金がない事に繋がっている お金があれば解決することは多いと思うけど、お金があっても埋められないものは多いですよね 当たり前ですが、まともじゃない生活をしていたら、まともじゃない生き方しかできない典型的な例 でも、確かに花のように流れてしまったら、こんな結果になってしまってもしょうがないのかなとも感じます 何もかも足りている人生を送れる人ばかりではないとは思いますが、今の自分の持っているものを大事にしていきたいなと思いました
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人は生まれる場所や親は選べない。 生まれた環境、周りの環境、そういったものがさまざまに影響されながらも世の中で言われる普通に生きるということが今の時代こんなにも難しいのかと思わされた。 主人公の花は優しくて勉強熱心で、向上心もある普通の女の子であったにも関わらずただみんなで楽しく生きるということだけを目標にしていただけなのに闇の仕事に手を染める結果になってしまった。 自分はたまたまこっち側の人間になれただけだったのかもしれない。 主人公の花の細かい感情描写がとても丁寧で分かりやすいかつすごく胸に訴えかけられた。 フレーズ集 みんなどうやって生きているんだろう。 道ですれ違う人、喫茶店で新聞を読んでる人、居酒 屋で酒を飲んだり、ラーメンを食べたり、仲間でどこかに出かけて思い出をつくったり、どこかから来てどこかへ行く人たち、普通に笑ったり怒ったり泣いたりしている、つまり今日を生きて明日もそのつづきを生きることのできる人たちは、どうやって生活しているのだろう。そういう人たちがまともな仕事についてまともな金を稼いでいることは知っている。でもわたしがわからなかったのは、その人たちがいったいどうやって、そのまともな世界でまともに生きていく資格のようなものを手にいれたのかということだった。どうやってそっちの世界の人間になれたのかということだった。わたしは誰かに教えてほしかった。 自分の頭と体を使って稼いだやつらは、ちゃんと金に執着があるからね。貧乏人とおなじょうに、金についてちゃんと考えたことのある人間だよ。でも、家の金、親の金、先祖代々のでかい金に守られてるようなやつ、そいつらがその金をもってることには、なんの理由もない。そいつらの努力なんかいっさいない。あんたはガキの頃から金に苦労したんでしょ?あんたが貧乏だったこと、あんたに金がなかったことに、なにか理由がある?理由があったか?」わたしはなんと答えていいのかわからず、黙りこんだ。 「ないよ。あんたが生まれつき貧乏だってことに理由なんか。それとおなじ。ある種の金持ちが金持ちなのは、最初からそうだったからだよ。それで、こういう鈍い金持ちは、自分らが鈍い金持ちでいられるための、自分らに都合のいい仕組みをつくりあげて、そのなかでぬくぬくやりつづけるの。親の代から、ばばあやじじいの時代から、自分らがぜったいに損しないように、脅かされることがないように、涼しい顔して甘い汁を吸いつづけることのできる、自分らのためだけの頑丈な仕組みをつくりあげて、それをせっせと強くしてんの。あんた、金持ちが金をもってることと、自分のあいだには、なんにも関係がないと思ってるでしょ」ヴィヴさんはわたしの目を見た。「でもね、金の量は決まってるんだよ。金持ちのところに金があるから、あんたのとこに金がこない。ぜったいにこない。すごくシンプルな話なんだよ。金持ちが死んだあともずっと金持ちのままで、貧乏人が死んだあともずっと貧乏人のままなのは、金持ちがそれを望んでるからだよ。金をもってるやつが、金をもってるやつのためにルールを作って、貧乏人はそのルールのなかでどんどん搾りとられていく。そして薄になったやつは、滓になるだけの理由があったんだと思いこませる。まるで滞にも落にならないですむチャンスがあったみたいなことを平気で言う。 ふざけんじゃねえよ、おまえらが搾りとってるから滓になって滓のままなんだろが。 わたしはあいまいな声を出した。 「金は権力で、貧乏は暴力だよ」ヴィヴさんは言った。 「貧乏人は最初からぼこぼこに殴られてるから、殴られるってことがどういうことかわからない。 たこ殴りにされて、されつづけて、頭も体もばかになってる。それがあたりまえのまま育つ。だからいろんなことがわからない。でもわからなくても腹は減るでしょ。腹が減ったら食い物がいる。食い物を手に入れるには金がいる。金を手に入れるにはどうしたらいい?働けばいい? どこで?どんなふうに?」ヴィヴさんは前歯を見せて笑った。 「それは、あいつらのためのルールだよ。わたしはそんなルールは知らない。
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刷り込みと餌付けと初恋っていう話。 配られたカードで勝負するしかない。 吉川黄美子とヴィヴィアンが良いキャラだった。 p. 305 「でも、おまえの人生どうなんだって訊かれたら、なんて答えられるんだろうって」 「人生って?」 「いや、だから、間違ってないかもしんないけど、でも、おまえの人生どうなんだっていう」 「それは」黄美子さんがわたしの顔を見て言った。「誰に訊かれるの?」
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物語の前半は、主人公の花の境遇が辛すぎて、報われなさすぎて、読んでてすごく苦しかったが、最後は報われるだろうと感じさせるため、どんどん読み進めることができた。しかしながら、後半になるにつれ、花がお金のために狂い出していくため、よりいっそう読んでて辛かった。読み終えるのにそこそこ時...
物語の前半は、主人公の花の境遇が辛すぎて、報われなさすぎて、読んでてすごく苦しかったが、最後は報われるだろうと感じさせるため、どんどん読み進めることができた。しかしながら、後半になるにつれ、花がお金のために狂い出していくため、よりいっそう読んでて辛かった。読み終えるのにそこそこ時間がかかった気がする。 作中では「黄色」を中心とした色彩表現が多々出てくるが、この表現が花の心情をすごく表していて、そこはとても読みやすかった。 ただ、結局、黄美子さんはいい人なのか、悪い人なのか、、、わからなかった。
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黄美子の人物像が自分の中でなかなか定まらず、読み進めるのに苦労した。 花にとって唯一の頼れる大人だったはずなのに、黄美子って何かちょっと変なのかもと感じる場面が多く出てきて、私も花と同じように戸惑った。軽い知的障害があるのかな、と映水が「あの感じ」と話す場面でようやく理解した。 ...
黄美子の人物像が自分の中でなかなか定まらず、読み進めるのに苦労した。 花にとって唯一の頼れる大人だったはずなのに、黄美子って何かちょっと変なのかもと感じる場面が多く出てきて、私も花と同じように戸惑った。軽い知的障害があるのかな、と映水が「あの感じ」と話す場面でようやく理解した。 カードの出し子からどんどん役割がエスカレートしていく様子はとてもリアルで、こんな風にやむに止まれぬ状況で犯罪に手を染めていく子って本当にいるだろうなと思った。 それにしても花の境遇がひどい。次から次へと不幸が降りかかる。この分厚い本のほとんどは読むとつらい気持ちになる。読み終えるのにすごく時間がかかり、どっと疲れてしまった。
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分厚い本だったのに、夢中になって読み、あっという間に読了。 余韻がすごい。同じ著者の「夏物語」は、私の考え方を少なからずとも変えたくらい、影響力のあった本だけど、こちらもやっぱり私にはずーんと響く。 初めは黄美子さんに助けられていた花が、どんどん逆の立場になり、黄美子さんを助けないと、守らないと、という心情に変わっていく流れの書き方が素晴らしかった。 「普通」の親の元で育って、お金に困らずに教育を受けることができた人は、たまたま「そっち側の」人間になれただけ。じゃあ、「そっち側」に生まれられなく、貧困やネグレクトを経験した子供は、どうしたらいいの?在日韓国人として生まれ、差別や貧困を経験した子供はどうしたらいいの?その子供は何も悪くない。そして、貧困やネグレクトとは無縁で、そう言う意味では「普通」に育ってきた私が、偉いわけでも何でもない。たまたま「こっち側」にいるだけ。花がそんなことを回想するところで、私は自分の小ささに胸が締め付けられた。私のどこかにあった、水商売や犯罪に手を染めるような若者たちを見下ろす姿勢。たまたま「こっち側」にいる私が何を偉そうに言える?
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読み終えて言葉にすることが難しいと思うほどの 圧倒的なスピード感と 熱量を感じる作品でした まだ私の心の中に ズ…ンと余韻が残っています お金によって 何を得て何を失うのか… お金があれば 心の余裕は生まれるけど お金がない恐怖や孤独を知っているからこそ 花ちゃんが少...
読み終えて言葉にすることが難しいと思うほどの 圧倒的なスピード感と 熱量を感じる作品でした まだ私の心の中に ズ…ンと余韻が残っています お金によって 何を得て何を失うのか… お金があれば 心の余裕は生まれるけど お金がない恐怖や孤独を知っているからこそ 花ちゃんが少しずつ お金に翻弄されて 自分やみんなのために頑張らないと…と 次第に追いつめられていく 生き方に苦しくなりました 金 金 金 金 金 金… 花ちゃんの健気な生き方に 涙が出ました みんなの幸せの象徴だった黄色いが 次第に悲しみや苦しみの色に変化していきました… でも花ちゃんは一生懸命だったんだよね… 善悪の判断も 愛し愛され方も 誰からも教えてもらうわけじゃなく… 自分やみんなの明日のために そしてみんなから愛されたいという想いから 犯罪に手を染めて お金を稼ぐことにがむしゃらだったんだよね… そんな花ちゃんのラストには 救われるような光が感じられて さらに泣けました 深く考えさせられる読書ができて 出会えて良かったと心から思う作品でした!!
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他人事、別世界のことと思っていた様々な事件や犯罪の数々の土壌には差別や貧困が深く関わっていることを再認識した。恵まれない家庭環境やネグレクトの中で懸命に生きて自分を保とうとする主人公は、まだ若く社会知識も無い余り、簡単に悪の道へ引き込まれていく。そこには本人の意思があるようで無い...
他人事、別世界のことと思っていた様々な事件や犯罪の数々の土壌には差別や貧困が深く関わっていることを再認識した。恵まれない家庭環境やネグレクトの中で懸命に生きて自分を保とうとする主人公は、まだ若く社会知識も無い余り、簡単に悪の道へ引き込まれていく。そこには本人の意思があるようで無い。真面目に一生懸命に考えて進めば進むほど罪悪感は消えていく。今まで優しい言葉や温かい眼差しを受けたことが無いので甘い言葉にいとも容易く信じて心許してしまう。 日本の少子化を憂う前に、家庭における養育に目を向けて、児童保護を徹底的にサポートしないと未来は無い。両親以外でも他の信頼できる大人から子どもが全身で愛されていることを感じればきっと未来に繋がるはずだと本書は教えてくれているように思った。
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うむ、なんかものすごい熱量を感じるのだが、ちょっと世界が遠すぎて、お話し的にどうなのかがイマイチわからない。
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