秋雨物語 の商品レビュー
人知の及ばぬ得体の知れない怖さ。 餓鬼の田:生地獄と人間の業 フーグ:解離性遁走 白鳥の歌:白鳥は死直前美しく鳴く コックリさん
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4話の暗黒奇譚集。 静かに始まる…それがゆるやかに加速しだして結末はこちら側に委ねられる、とそんな妙な気持ちになる話である。 まさに帯にあったように生きながら、地獄に落ちるということなんだろうか。 震えてしまうような恐怖はなくとも経験したくはないと思える怖さはある。 それは、不...
4話の暗黒奇譚集。 静かに始まる…それがゆるやかに加速しだして結末はこちら側に委ねられる、とそんな妙な気持ちになる話である。 まさに帯にあったように生きながら、地獄に落ちるということなんだろうか。 震えてしまうような恐怖はなくとも経験したくはないと思える怖さはある。 それは、不可解だと思ってしまう出来事だからかもしれない。 「餓鬼の田」〜奇妙な宿命を背負った男が語る、おぞましくも悲しい因果の物語。 前世の記憶に絡めとられてもはや現実の自分をまともに見ることができないとは…。 「フーグ」〜作家が体験した超常現象の記録。たどり着いた戦慄の真相とは。 夢の中の出来事だと思うには不可解すぎて、瞬間移動現象を起こしている身体をどうにもできない、恐怖に向かって引き寄せられしまう最期。 「白鳥の歌」〜無名歌手が残した空極の絶唱には恐るべき秘密があった。 あまりにも魅了される美声に込められたのは壮絶な思いからだけではないだろう。 「こっくりさん」〜追い詰められた人々が挑む禁忌の儀式。命懸けのゲームの結末は。 小学生の頃、友人たちとこっくりさんをしたことがあったのを思い出した。 命懸けではなかったが…。
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どの話も面白かったけど、怖い感じはせずちょっと予想と違ったかなぁ。 フーグが今時ウォーターベッドと思ったけど、オチでなるほどと。 これは、ウォーターベットじゃなければできないオチだな。
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今後の展開がおもしろくなるのかもしれませんが、二つ目のお話を読んでる途中で脱落してしまいました。 私には合わなかったのかな(^_^;)
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4つの短編集。 ・餓鬼の田 20ページ程しかないほんとに短い話なのに、前世の話をまるで自分にあったことのように話す場面で一気に引き込まれた。 不可思議な減少に対する解明は何もなかったが、さっきまであった恋心が一瞬で消えるなんて… ・フーグ この話が一番好きだった。 フーグとは解離性遁走の別名だが、聞き慣れないタイトルにすることで不気味さが増している。 夢の中の出来事が読み手の目の前で起こっているようなリアルさがあって入り込めた。 また、睡眠という逃れられない時間を毎日毎日恐れながら生きるどうしようもなさ、運命への抗えなさの苦しみも伝わってくる。 最後のテレポートによる死に方もグロくてよかった。 ・白鳥の歌 他に誰でもできないんじゃないかという歌声を持った無名の歌手の秘密を知りたかった老人。 どんな特別で過酷な練習をしたのか、または才能があったのかと期待したのに、致死率100%の病気の副作用だった。 そんなことだったのかと体調が悪くなるほど落胆した老人だが、個人的にはその歌手の声の由来が何であろうと聞き続ければいいのにと思い、余り入り込めなかった。 ・こっくりさん 普通のこっくりさんとは違うという特別なこっくりさん。 その真実を知っているのは余命半年の遼人だけだった。 4人みんなで仲間だと思ったのに、他の3人は利用されただけ。 まだまだ純粋なお年頃の小学生が時を超えて大人になった拓人に残酷な真実を伝えた場面はその落差にゾッとした。
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ホラー系短編集 個人的にはどの作品もどこか消化不良感が残ったのはそれすらも作者の意図したものなのだろうか
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2023.05.13 約2ヶ月近くかかって、ようやく4編読み終えられた。 一番マシだったのは「白鳥の歌」。この中で唯一グイグイ読まされた。けど、引っ張るだけ引っ張ってオチが弱い…途中まですごく面白かったんだけど… 「フーグ」は延々と作家のテレポーテーションの対策がダラダラと綴ら...
2023.05.13 約2ヶ月近くかかって、ようやく4編読み終えられた。 一番マシだったのは「白鳥の歌」。この中で唯一グイグイ読まされた。けど、引っ張るだけ引っ張ってオチが弱い…途中まですごく面白かったんだけど… 「フーグ」は延々と作家のテレポーテーションの対策がダラダラと綴られているだけで、オチもよくわからず。 「こっくりさん」「餓鬼の谷」もなんか物足りず… 前回、「我々は皆孤独である」でやたらスピリチュアル的な前世だののワードが出てきてて、今回もそれを引きずっている感じ。 「我々は皆〜」よりは良かったけど、過去の素晴らしいホラーミステリを知っているだけに、最近の作品がガクンとレベルが落ちているように感じて、20年来のファンとして悲しいです…。
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不気味なホラー短編集4編。 ・餓鬼の田 自分は餓鬼で、この人生で愛されることはないと、その男は言った。 前世での行いのせいで餓鬼道をゆくことになってしまったと。 ・フーグ 作家は謎の自伝風小説を残して姿を消した。 そこに書かれていたことは、自分の意図せず突然、どこか...
不気味なホラー短編集4編。 ・餓鬼の田 自分は餓鬼で、この人生で愛されることはないと、その男は言った。 前世での行いのせいで餓鬼道をゆくことになってしまったと。 ・フーグ 作家は謎の自伝風小説を残して姿を消した。 そこに書かれていたことは、自分の意図せず突然、どこか遠くへ転移してしまうことだった。 対策に部屋を鉄板で囲ったのだが、失踪した作家の行方は。 ・スワン・ソング あるオーディオマニアから、世間には知られていない歌手の自伝を書いてほしいと、売れない小説家に依頼が来る。 その歌手の調査に当たった探偵は浮かない顔で、この調査を耳にしないほうがよいと忠告した。 探偵が語る、その歌手の歌唱力の真相は。 ・こっくりさん 現状からの脱却の引き換えに、参加者の少なくとも一人が死ぬ、ロシアンルーレットのこっくりさん。 小学生のころ、四人でやった数日後に、一人が死んだ。 時を経て再び、その時のメンバーが集まりこっくりさんを再現する。
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久々に貴志祐介さんのホラー小説を読んだ。 怖いけどドキドキしながら読み進めてしまうストーリーと文章が、自分の思う貴志祐介さんの魅力の一つだが、今回の作品もそれが十分に出ていた。 どの話も短編小説の1話とは思えないくらいの満足度だった。
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貴志祐介さんのホラー長編はけっこうエゲツないので、それを期待して読むと物足りなさを感じる方もいると思いますが、とっても上質なホラー短編集でした。 前世の呪い(餓鬼の田) テレポーテーション(フーグ) 悪魔に取り憑かれた声(白鳥の歌) 都市伝説(こっくりさん) こう見ると、どのテー...
貴志祐介さんのホラー長編はけっこうエゲツないので、それを期待して読むと物足りなさを感じる方もいると思いますが、とっても上質なホラー短編集でした。 前世の呪い(餓鬼の田) テレポーテーション(フーグ) 悪魔に取り憑かれた声(白鳥の歌) 都市伝説(こっくりさん) こう見ると、どのテーマも取り立てて目新しいものではないですが、それぞれに考察に優れ、怖さだけではなく、各分野の知識としても大変興味深く読めました!(特に白鳥の歌!) 個人的には巻頭を飾る「餓鬼の田」が20ページ程度の掌編でありながら、起伏が見事でオチも含め大好きでした❤ また、秋の季節に読んでみたいと思います!
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