みんなが手話で話した島 の商品レビュー
音が聴こえる人も、自然と手話を習得して、聴こえない人を区別する事なく社会に受け入れていたという、そんな素敵な社会が、かつて存在していたという話。障害とは一体なんだろうか?意思の疎通さえできれば障害とはみなされない社会。むしろ現在、同じ日本語を使っていると思っている人でも、意思の疎...
音が聴こえる人も、自然と手話を習得して、聴こえない人を区別する事なく社会に受け入れていたという、そんな素敵な社会が、かつて存在していたという話。障害とは一体なんだろうか?意思の疎通さえできれば障害とはみなされない社会。むしろ現在、同じ日本語を使っていると思っている人でも、意思の疎通ができなければそれは障害なのではなかろうか。
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小規模(島)で外との交流が比較的少ない時期において、家族や親戚の中に必ず聾者がいる。また、時代的にも島民みんなが働かなければ生きていけない、そんな環境では障害のない側が障害のある人を受け入れ、工夫し、変化せざるを得ない。そうした営みが当たり前に行われていた…ということを、角度を変...
小規模(島)で外との交流が比較的少ない時期において、家族や親戚の中に必ず聾者がいる。また、時代的にも島民みんなが働かなければ生きていけない、そんな環境では障害のない側が障害のある人を受け入れ、工夫し、変化せざるを得ない。そうした営みが当たり前に行われていた…ということを、角度を変えながら調査結果を示し、説明している本。 丁寧だが、少し冗長に感じる部分もあった。 自身の生活での関わりを考えてみると…心身にゆとりが必要だな…と思う
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その島では、聞こえる聞こえないにかかわりなく、誰もがごく普通に手話を使って話していた。 ノンフィクションというのが驚き。手話は、耳の聞こえない人とのためのものだと思っていた。 でも読んでるいると手話は状況によってはとても便利な「言語」だとも思った。 どういうときに、私たちは人...
その島では、聞こえる聞こえないにかかわりなく、誰もがごく普通に手話を使って話していた。 ノンフィクションというのが驚き。手話は、耳の聞こえない人とのためのものだと思っていた。 でも読んでるいると手話は状況によってはとても便利な「言語」だとも思った。 どういうときに、私たちは人の特徴を障害とみなすんだろう。そんなことを考えたり。
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「障害」とは何か? 身体の欠如ではなく、社会の想像力の欠如である。 マーサズ・ヴィンヤード島では、聾者も健聴者も関係なく、誰もが手話で話していた。 そこでは聾者は「特別」ではなく、ただの「島民」であり「人間」だった。 壁も区別も存在せず、手話が自然に日常に溶け込んでいたその社会...
「障害」とは何か? 身体の欠如ではなく、社会の想像力の欠如である。 マーサズ・ヴィンヤード島では、聾者も健聴者も関係なく、誰もが手話で話していた。 そこでは聾者は「特別」ではなく、ただの「島民」であり「人間」だった。 壁も区別も存在せず、手話が自然に日常に溶け込んでいたその社会が、たまらなく美しく感じた。 聾者の自分にとって、その暮らしは少し羨ましくもあった。 現実では、今もなお一部の人々が障害者を「半人前」とみなし、マイノリティにだけ努力を求める。 その根底には、古代から続く偏見──“欠陥としての障害”──という思想がある。 時代が進んでも、無知による差別の構造はなかなか消えない。 「障害」とは結局、身体の問題ではなく、社会の無知と偏見がつくり出した概念なのだと思う。 共生とは、「歩み寄りましょう」と言葉だけで片づけることではなく、 「知ったつもり」にならず、互いを理解しようとする努力の積み重ねなのだ。 ノーラ先生の徹底したフィールドワークは、私たちに“平等の原点”を思い出させてくれた。 この本は、社会が本当の意味で共生へ向かうための確かな一歩を示している。
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障害は作られている。 本書を読んで改めて感じたことだ。 「かわいそう」がどれだけ無知な言葉なのか、わたしはいつも考えている。 本書では、聴覚障害があっても島の社会に溶け込み、健聴者との区別なく営まれてきた島の歴史が書かれている。 差別がないということは、誰もそのことに頓着し...
障害は作られている。 本書を読んで改めて感じたことだ。 「かわいそう」がどれだけ無知な言葉なのか、わたしはいつも考えている。 本書では、聴覚障害があっても島の社会に溶け込み、健聴者との区別なく営まれてきた島の歴史が書かれている。 差別がないということは、誰もそのことに頓着しないということだ。 その人を思い出すとき、その人が持っているアイデンティティの中に、障害を含めないことだ。 いま、時代はゆるやかに変化し、社会のしくみが障害を生み出している、という考え方にシフトしつつある。 しかし、解説で書かれているように、聞こえる側が手話をきちんと理解しないあまり、聞こえない側の理解に頼ろうとする課題がある。 聞こえない側の社会に溶け込もうとする努力に甘えてしまっている。 これは、やっぱり「かわいそう」からくる健聴者の慢心にも原因があるのではないか、と考えてしまう。 英語圏の人と打ち解けたいと思ったら、英語を学ぶのは当たり前のことだ。 それが手話となると、なぜそうならないのか。 かくいうわたしも、手話について全くの無知で、テレビ放送などでどういった対策がされているかもわからない。 これから手話を習おうとも考えていないけれど、こういった事実がある、ということを知れてよかった。
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原題は“Everyone Here Spoke Sign Language”。著者のノーラ・グロースは医療人類学者、現在はロンドン大学(UCL)教授。刊行は1985年。31歳の時に書いた博士論文がもと。グロース自身も、まさかこの本がろう文化や医療人類学のロングセラーになるとは思っ...
原題は“Everyone Here Spoke Sign Language”。著者のノーラ・グロースは医療人類学者、現在はロンドン大学(UCL)教授。刊行は1985年。31歳の時に書いた博士論文がもと。グロース自身も、まさかこの本がろう文化や医療人類学のロングセラーになるとは思ってもいなかったに違いない。 調査研究のプロとして、腰が据わっているというべきか。ルポライターやノンフィクション作家だとこうはいかない。300年近くにわたってマーサズ・ヴィンヤード島で続いたろうの文化、それを文献や文書にあたり、聴き取りをして明らかにし、さらには聴覚障害が遺伝したという点についてもデータにもとづいて明確にしている。 書名にあるようにEveryoneの動詞はSpokeと過去形。1920年代、島のほかから避暑客が入り込むようになって、旧来のろう文化は消滅してしまった。マーサズ・ヴィンヤード島といえば、現在はアメリカ東海岸きっての有名な避暑地だ。 過去にさかのぼるという点で歴史人類学、ろうの文化という点で文化人類学、遺伝という点で自然人類学、そうした多角的な視点でろうの文化を描き出した名品。
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この島では、耳が聞こえる人たちも普通に手話ができたと言う。 聾唖者と健聴者が集まって手話で雑談したりすることは当たり前だったようだ。「聾唖者」と特に意識することもなかったらしい。改めて質問されると、「ああ、そう言えば」という感じ。 「カースト」という本に、黒人の人が、アフリカに...
この島では、耳が聞こえる人たちも普通に手話ができたと言う。 聾唖者と健聴者が集まって手話で雑談したりすることは当たり前だったようだ。「聾唖者」と特に意識することもなかったらしい。改めて質問されると、「ああ、そう言えば」という感じ。 「カースト」という本に、黒人の人が、アフリカに住んでるときには「黒人」ではなかったのに、アメリカに来たら「黒人」になったと書かれていた。 差別も障害者も社会が作るんだな。
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ⅡからⅣ章では人々が島に移り住んでくる以前から、数百年分に渡る家系の調査から、どのように「みんなが手話で話す島」が生まれ維持されてきたのかに迫ります。 Ⅴ章からは島の聾者と健聴者の暮らしについて。島の内外での(対比的な)聾者や手話に対する社会の見方にも触れられます。 障害とは...
ⅡからⅣ章では人々が島に移り住んでくる以前から、数百年分に渡る家系の調査から、どのように「みんなが手話で話す島」が生まれ維持されてきたのかに迫ります。 Ⅴ章からは島の聾者と健聴者の暮らしについて。島の内外での(対比的な)聾者や手話に対する社会の見方にも触れられます。 障害とは何かが出来ない事、それにより能力が劣っている事と捉えられてしまう場合もあるようですが、それは社会の側がそう定義し、そう扱ってきたからであり、「健常者」が作った社会が「障害者」にとっての障害になっていただけではないか、と考えました。
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ゆる言語学ラジオさんのYouTubeを観て買いました。帯の「あの人たちにハンディキャップなんてなかったですよ。ただ聾というだけでした」から島の人たちの考えが伝わってきます。素晴らしい島の話を読んでから現代について考えると、少数派にばかり努力を強いる様子はなんだかそれこそ半人前で知...
ゆる言語学ラジオさんのYouTubeを観て買いました。帯の「あの人たちにハンディキャップなんてなかったですよ。ただ聾というだけでした」から島の人たちの考えが伝わってきます。素晴らしい島の話を読んでから現代について考えると、少数派にばかり努力を強いる様子はなんだかそれこそ半人前で知性のない生き物のようで悲しいし恥ずかしい。 この本は確かに復刊されるべきだっただろうなと思います。読めてよかった。声をあげてくれた方に感謝します。
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20250824047 マーザズ・ヴィンヤード島は遺伝性の聴覚障害が多く見られた。そこでは聞こえる人も聞こえない人も、誰もが普通に手話(地域共有手話)を使い話し、生活をしていた。「あの人たちにハンディキャップはなかった」という島民の言葉に多様性のなかの共生とはどういうことかを考...
20250824047 マーザズ・ヴィンヤード島は遺伝性の聴覚障害が多く見られた。そこでは聞こえる人も聞こえない人も、誰もが普通に手話(地域共有手話)を使い話し、生活をしていた。「あの人たちにハンディキャップはなかった」という島民の言葉に多様性のなかの共生とはどういうことかを考えさせられた。
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