本を守ろうとする猫の話 の商品レビュー
名作が手軽に読めるとうたうあらすじ集や、ファッション感覚な読書観に対する、作者なりのアンチテーゼが散りばめられていて、ともすれば、自分も楽な入門書やあらすじ的なものに逃げがちであることに思いが至ります。 たくさん本を読みたい、難解な一冊をじっくりと読みたい、お気に入りの本を何度...
名作が手軽に読めるとうたうあらすじ集や、ファッション感覚な読書観に対する、作者なりのアンチテーゼが散りばめられていて、ともすれば、自分も楽な入門書やあらすじ的なものに逃げがちであることに思いが至ります。 たくさん本を読みたい、難解な一冊をじっくりと読みたい、お気に入りの本を何度も読み込んでみたい…本に対しては様々な思いがあります。 ただ、自分の姿勢を振り返ると、最近は本との向き合い方が雑になっていたなぁと感じてしまいます。 もともとは本の力を信じていたはず。でも、つらつとした思いはいつの間にか激しい時流に流されていました。 自分は本とどのように向き合っていきたいのか。 本書はそれを思い出させてくれました。 「大切にされた本には心が宿り、そして心を持った本は、その持ち主に危機が訪れたとき必ず駆けつけて力になる」 自分の人生にも、そんな本と巡り会えると良いなと思います。
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『始まりの木』を読んで、個人的に注目度が増した小説家、夏川草介さん。 そんな彼の著作で、「本を守る」とタイトルがついてるからには、読まずにはいられないでしょう
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軽く読めるかなと可愛らしい表紙をみて購入に至ったが、胸に刺さる言葉が沢山散りばめられた本だった。 主人公林太郎は、幼少期に両親が離婚。それから古書店を営む祖父と2人暮らしをしていたが、突然祖父が亡くなり面識のない叔母に引き取られることになる。 引っ越しまで時間がないなかで、大...
軽く読めるかなと可愛らしい表紙をみて購入に至ったが、胸に刺さる言葉が沢山散りばめられた本だった。 主人公林太郎は、幼少期に両親が離婚。それから古書店を営む祖父と2人暮らしをしていたが、突然祖父が亡くなり面識のない叔母に引き取られることになる。 引っ越しまで時間がないなかで、大好きな書店の整理をしていた所に話が出来るトラネコが現れ「本を守るために力を借りたい」と助けを求められる。 否応なしにトラネコと共に不思議な迷宮に入り込み、歪んだ考えを持つ強敵と対峙する。 解決していく毎に「本」の有り様が変化する。 本は「自分以外の人の心を知る事が出来る」と言う理屈じゃない何かを知り得ることのできるものであり、「人を思う心を教えてくれる力」が本には宿っており、良いことも悪いことも教えてくれる。 物語の端々に1節だけ出てくる著名な本は、読んでいなくても何となく納得が出来き、また「読んでみたいかも」と思わせられた。 世界で翻訳されているとの事だが、どんな言葉に翻訳されても「言葉の力」は読み手の心情?身上?により変化するのも面白い。
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夏目草介氏の医療系以外なものを読んでみようと思い、読み始めました。 ファンタジーな小説で、心が穏やかになりました。
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本とは人生の教科書だなと思える作品でした。 読みながら、ハッとさせられる言葉が多々あり、本への向き合い方や生き方に指針を示してくれているようでした。 難しいと思う事は新しい知識、経験を得るチャンスと捉える。特に印象に残っている言葉でした。
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高校生の林太郎は、古書店を営む祖父とふたり暮らし。 その祖父が亡くなり、店を閉めることになる。 そこへ一匹の猫が現れ、「猫か」とつぶやく林太郎に、 「猫で悪いか」と答えるのである。 ある意味、ファンタジーだ。 だが、本をめぐるこの物語は、仲間と冒険を共にする 冒険ものでも...
高校生の林太郎は、古書店を営む祖父とふたり暮らし。 その祖父が亡くなり、店を閉めることになる。 そこへ一匹の猫が現れ、「猫か」とつぶやく林太郎に、 「猫で悪いか」と答えるのである。 ある意味、ファンタジーだ。 だが、本をめぐるこの物語は、仲間と冒険を共にする 冒険ものでもあり、哲学でもあり…。 トラネコに依頼され、林太郎は「本を救う」という ミッションに挑む。 人との関わり方が下手で、今や、不登校の引きこもり。 だが、本に関する知識は優れている。 そんな林太郎を引っ張り出そうと、店に通う委員長の 沙夜。 彼女も、トラネコの姿が見え、話ができるのだった。 ただただ、出版され、廃棄される本。儲けるだけに 作られる本。 本とは、何のために世に存在するのか。どんな役割が あるのか。 いや、本は、ただ、そこに、あるだけだと…。
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猫の恩返しのような世界観で、寂しい夜にはページをめくれのような、「読書」に対する価値観や自分の考え方を見直すきっかけになるような本で、哲学的な言葉があったりとても良かった。神様のカルテを書かれた方だと知って、そっちも読みたくなった〜! 作品の中に現れる、いわゆるボス?的な人たち...
猫の恩返しのような世界観で、寂しい夜にはページをめくれのような、「読書」に対する価値観や自分の考え方を見直すきっかけになるような本で、哲学的な言葉があったりとても良かった。神様のカルテを書かれた方だと知って、そっちも読みたくなった〜! 作品の中に現れる、いわゆるボス?的な人たちはやってること自体は異様だけど、行動の裏側には現代社会の本に対する行動が現れていて何とも言えない気持ちになった。 --- 1冊の本を十回読む者より、十冊の本を読む者の方が敬意を集める世の中だ。社会で大切なことは、たくさんの本を読んだという事実だ。読んだという事実が人々を魅了し惹きつけるのではないか。違うかね? --- 読みたくて読む、読むことで色んな考えや想いを知る、そして実際に行動する。読書を自分の飾りにしたくない。 もちろん娯楽としての読書もいいけど、そうじゃない根本的に大事にしたい想いを、忘れずにいたいな〜と思えた本でした。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
序章 事の始まり 7 第一章 第一の迷宮「閉じ込める者」20 第二章 第二の迷宮「切りきざむ者」73 第三章 第三の迷宮「売りさばく者」129 第四章 最後の迷宮 189 終章 事の終わり 257 解説にかえてー猫が教えてくれたことー271 大学1年生の本紹介で、読んで紹介した本。 明後日のビブリオバトルの本に使おうと、大学4年生の今、再読したが、改めて読むと当時と全然印象が異なって見える。 こんなにも細かく複雑で、緻密な情景描写や物語の構造だったのだと、当時は気がつけなかったことに、何となくアンテナが引っかかった。いい引っ掛かりだと感じる。 自分は、何のために本を読んでいるだろうか。 ステータスのために読んでいる節が大きいと、自意識では思う部分がある。誰かと一緒にいる時とか、人目がある時に、見栄で本を読んでいる構えを取っているかもしれないと、常々思う。賢く見られたい、よく見られたいという、浅ましいプライドの現れな感じがちょっとして、その度に若干自己嫌悪する。だから、家ではあまり本を読まない、YouTubeばっかり見ている。 そんな自分が、この本を読んで心動かされる部分はもしかしたら、一般の読者に比べると、拾い上げられてる部分が少ないのかもしれないが、それでも、自分の人知を超えてくる程度には、読み応えがあって夢中になるほど面白い物語だった。 ^人を思う心^を物語を通して思い出すことが出来るという主張は、とても理想的で美しく魅せられるが、本心的にはやはり、どうなのだろうと懐疑的になってしまう。フィクションはあくまでフィクションで、「小説を読む意味がわからない」と口にする人も、何の不思議もなく普通にいる。確かに、そうだと思う部分はある。小説を読んで知識として実生活に役立つことはほとんどないし、その面では学術本を読むのが良い気がする。雑誌や漫画みたいな華やかさも無いし、受験勉強に役立つ参考書でも無い。でも、「本には力がある」のである。物語は、私たちのそばにいて、決して私たちを1人にせず、自分が窮地に追い込まれた時、本当に救いを求めるような時に、トラネコの姿をして現れてくれる。それが、小説なのかな、と、少し感じた。凄くネタバレが入った気がしないでもないが、ここいらで終わっておく。
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なかなか感想に困る本である。なんとなく謎が始まり想いが発露して事が解決している。何なのだろう。解説にちょっと共感しつつも、でも荒んだ人ばかりではないと私は信じたい。
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本が好きだからこそ余計に刺さった1冊です。本の読み方や本の在り方についてすごく色々なことを学ぶことができたと思う。本の力は「人を思う心」という言葉にすごく感銘を受けました。本の読み方に正解はないけれど本を心から楽しむ気持ちは誰も忘れてはいけないと私は思いました。
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