ぼくの死体をよろしくたのむ の商品レビュー
お薬みたいな一冊。 考えない、突き詰めない、人間の余白がふんだんにあって心が落ち着く。小説だけど、この一編ずつが本当に世界の一部でささやかに存在するお話であればいいな、と思ってずっと読んでいた。
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書けそうで書けない、謎の短編集。(誉めてる) タイトルに一目惚れして借りたけど、淡々と進む雰囲気がよい。こんなに有名なのに恥ずかしながら初めて読んだのだけど、私の好きな「女性らしい感性」を感じられたのでこれからもちょくちょく読むと思う。 短編はどれもファンタジーと現実のちょうど...
書けそうで書けない、謎の短編集。(誉めてる) タイトルに一目惚れして借りたけど、淡々と進む雰囲気がよい。こんなに有名なのに恥ずかしながら初めて読んだのだけど、私の好きな「女性らしい感性」を感じられたのでこれからもちょくちょく読むと思う。 短編はどれもファンタジーと現実のちょうど間をせめてくる設定で、たいてい変な人や変な自分が主人公。でもなんていうか、この社会にあまりない、お互いにありのままでいられる「理想のコミュニケーション」が描かれている気がする。今現実を生きている私にもこんなコミュニケーションあったらいいなというか、こんなことを望んでいたなという昔の経験や思いがひっかかってきて、何だか切ない気持ちになった。 表題作の「ぼくの死体をよろしく頼む」が何だかんだ印象深い。私が常々思っている「弱い人は強い」ということをいってくれた上に、「弱い人は他人に弱さを何とかしてもらおうとするけど、それは無理」というニュアンスのことを言ったのは驚いたけどそういうこともあるよなと思った。 私も良いラクダを得たい。
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気軽に読める短編集。 ジャンルは特に決まっていないようだが、どれもこれも後味が良い。 全体的にファンタジー要素が強い気もするが、読み終わった後の気持ちよさは何とも言えない良い気分だ。
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さらりと、 日常からあっちのどこかへ繋がっている世界は、 夢のようで、 リアルのようで、 すぐ隣にありそうで。 『廊下』を読んだら涙が出て、 なぜだか「ずるい」という感情が出た。 このような物語を紡ぐことができる作者の才能になのか、 このなかで語られる物語になのか、 主人公にな...
さらりと、 日常からあっちのどこかへ繋がっている世界は、 夢のようで、 リアルのようで、 すぐ隣にありそうで。 『廊下』を読んだら涙が出て、 なぜだか「ずるい」という感情が出た。 このような物語を紡ぐことができる作者の才能になのか、 このなかで語られる物語になのか、 主人公になのか、 そのすべてなのか。 哀しみと喪失と、 愛おしさがいつも同居している。
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川上弘美さんの小説は、私にとってどちらかというと詩のようだ。物語の中で時は瞬く間に経過し、次の行ではまたあっという間に10年、また10年と過ぎていたりする。登場人物はみんな不可思議や日々の小さなかなしみを当たり前にしなやかに受け止めているようで、そんな軽やかさを見習いたくなる。
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レイモンド・カーヴァー作品への言及が出てきた時点で狙いが見えてきた気がする。いつもの川上作品らしいすこし不思議な日常を通して人物達の「生態」を描きつつ、彼らの中の気付きや何か決定的な変化を書こうとしたのではないかと。この変化の部分がカーヴァー的であり、また気付きの部分は読んでいて...
レイモンド・カーヴァー作品への言及が出てきた時点で狙いが見えてきた気がする。いつもの川上作品らしいすこし不思議な日常を通して人物達の「生態」を描きつつ、彼らの中の気付きや何か決定的な変化を書こうとしたのではないかと。この変化の部分がカーヴァー的であり、また気付きの部分は読んでいてよしもとばななの『体は全部知っている』に似た感触があった。 ただ結末のまとめが粗雑に感じる作品が見受けられた。 設定が面白くて長編で読みたくなる作品多数。もっと浸っていたい
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日常と非日常のあわいの短編集。 なんともない日常に心細くなったり、このままで良いのだと肯定されたり。 しかし、この作者の登場人物は何故にこんなに魅力的なんだろう。 どこにでもいるようで、どこにもいない人物たちに思いを馳せつつ過ごす休日の夕方にうってつけの短編集。
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川上弘美の感性はとても好き。 とはいえ作家を追いかけているわけではなく、ふと思いついたときに紙で文庫を買う。 この本は、読んでいると、こころのざらざらが少し丸くなる。けれど少しそこにでこぼこは残って、すべすべにはならない。
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「大きな鳥にさらわれないよう」もそうだったが、今回も何やら思わせ振りなタイトルに惹かれた。 15頁前後の短いお話が18篇。全編に日常の中の非日常感とでも言うか何か不思議な感じが漂い、はかなさやさみしさを感じさせる話が多い。 買ってからこういう掌編集ってあまり得意でないことを思い...
「大きな鳥にさらわれないよう」もそうだったが、今回も何やら思わせ振りなタイトルに惹かれた。 15頁前後の短いお話が18篇。全編に日常の中の非日常感とでも言うか何か不思議な感じが漂い、はかなさやさみしさを感じさせる話が多い。 買ってからこういう掌編集ってあまり得意でないことを思い出し、だからでもないが、私にはふわふわしていて掴みどころがない話が多くあまり刺さる話がなかった。 しいて挙げると「いいラクダを得る」と「土曜日には映画を見に」あたり。図らずも設定に非日常感が薄かった話になった。
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どれも少し不思議なお話。 二百十日が一番好き。亡くなる前に、最後に会っておきたかったって来てくれたら、寂しいけど嬉しい。
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