夜の道標 の商品レビュー
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重く、人権というものを考えさせられる作品。イヤミスなのかイヤミスじゃないのか。でもイヤミスかな。 親に当たり屋をさせられている小学生。 その友達。 殺人犯を匿う女。 殺人犯を追う不当に窓際に追いやられた刑事。 4人の主観で話が進み、点と点が段々と線になる。 この物語の主人公は殺人犯の阿久津なのだろうけど、阿久津目線の話が無く、殺人の動機を探るミステリーが様々な思惑を呼び、読み手の想像を掻き立てて面白さに拍車がかかっている。 旧優生保護法という人権侵害がテーマで非常に考えさせられた。 終盤のパーフェクトワールド感は既視感有り。 心が成長途中の波留や桜介の心理描写が切なくも、唯一の希望も見える。
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個人経営の塾にて、経営者の戸川勝弘が殺害されてから2年…被疑者である阿久津弦の行方はつかめず捜査も縮小されたが、刑事の平良正太郎は継続して捜査にあたっていた…。付近の小学生橋本波留は、父親から執拗な虐待を受けており常に空腹状態…友達である仲村桜介は心配していた…。また、その近くで...
個人経営の塾にて、経営者の戸川勝弘が殺害されてから2年…被疑者である阿久津弦の行方はつかめず捜査も縮小されたが、刑事の平良正太郎は継続して捜査にあたっていた…。付近の小学生橋本波留は、父親から執拗な虐待を受けており常に空腹状態…友達である仲村桜介は心配していた…。また、その近くでパートタイマーとして働く長尾豊子は阿久津弦と事件直後に再会、阿久津弦を匿う生活を送っていた…。 すごい、すごい深いなぁ…と溜息をつきたくなる作品でした。阿久津弦が生を受けてから現在までの人生は、ただただ自分の気持ちに正直に素直に生きてきた結果なんじゃないかと漠然と感じました。殺人を犯しながらも2年も逃亡している…それだけみればどうしようもないけれど、その時々で彼を必要としていた人がいたってこと、彼のひたすら無垢な心に救いを求めたていたんじゃないかな…そう思いました。小学生の橋本波留くんの心の傷は深いけれど、どんなときも彼を心配してくれた仲村桜介くんがきっと力になってくれるはず、友達って本当にいいですよね!
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登場人物がどう絡み合い、収束していくのか、と考えながら読み進みました。 皆の心情や葛藤、抱えてるものの重さを思うとしんどくなります。 優生保護法の話とか、私が詳しく実情を知らないこともあったので、知り、考えさせられました。
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後半にだんだん話が組み合わさって行くにつれ 読むペースが上がっていきました 悲しい話ですが、最後希望があったのが よかったと個人的に 思いました
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読書備忘録732号。 ★★★★☆。 作品紹介の内容。 「1996年、横浜市内で塾の経営者が殺害された。早々に被害者の元教え子が被疑者として捜査線上に浮かぶが、事件発生から2年経った今も、被疑者の足取りはつかめていない。殺人犯を匿う女、窓際に追いやられながら捜査を続ける刑事、そし...
読書備忘録732号。 ★★★★☆。 作品紹介の内容。 「1996年、横浜市内で塾の経営者が殺害された。早々に被害者の元教え子が被疑者として捜査線上に浮かぶが、事件発生から2年経った今も、被疑者の足取りはつかめていない。殺人犯を匿う女、窓際に追いやられながら捜査を続ける刑事、そして、父親から虐待を受け、半地下で暮らす殺人犯から小さな窓越しに食糧をもらって生き延びる少年。それぞれに守りたいものが絡み合い、事態は思いもよらぬ展開を見せていく――。」慟哭の長篇ミステリー。 最終ページで胸が詰まりました。 正直、物語の根幹を成す社会背景に絡む動機が形を成して来るまで、どこに行くんだろうか・・・、という感じでした。ただ、そこからは一気に引き込まれて。 前半から中後半までの我慢が最後の☆評価になってしまったかと。偉そうに。笑 物語は、登場人物の視点を変えながらパーツが組み合わさって行くという構成。 仲村桜介、小学6年生。 バスケクラブチームに所属し、チームメイトの天才小学生、橋本波留がいれば全国も夢ではないと、2人でワンonワンの練習に励む。 練習を終え、それぞれ帰宅の途に。波留に言い忘れたことを伝えるために、波留を追う。波留を呼び止め、波留は振り返り、そして車に轢かれた。骨折。全国の夢が断たれた・・・。 長尾豊子。総菜屋のパートで生計を立てる。 バツイチ。漫然と生きているだけ。離婚はしたけど、心のどこかに拠り所を求めている自分。そして、総菜の売れ残りを大量に持ち帰る。家に匿っている男がいる・・・。 平良正太郎。政治家の甥が捕まった事件で忖度しなかったことで、窓際に。 そして、2年前に起きた塾講師戸川勝弘殺害事件の有力容疑者阿久津弦を追っている。殺人事件の当日、防犯カメラの映像は阿久津が警察署に向かっていることを映していた。しかし、あるところで方向転換しそこから消えた。それ以降阿久津は社会から完全に消えた・・・。どこかに隠れているか、死んでいるのか? 橋本波留。小学6年生。 バスケの実業団選手だった父の影響でバスケが上手い。しかし両親が離婚。父はおかしくなった。お金が無い。そんな時、波留は高齢女性の運転する車に轢かれて怪我をした。女性は波留の将来を潰してしまったと、100万円をお詫び金として渡す。これに味をしめた父は波留に当たり屋をやれと言い続けていた。 バスケの大きな大会の前に当たり示談金をせしめ転校する。新しい土地で再び同じことを繰り返す・・・。 桜介は、波留が惹かれたのは自分が声を掛けたからだと思っているが違う。惹かれる予定だったのだ・・・。 2年前の事件の日、自首しようとしていた阿久津を強引に自分の家に匿った豊子。生きる拠り所を得るために。元夫に否定された自分を取り戻すために。 示談金をせしめると消える父。飢える波留。庭先に置かれていた猫用の総菜を食べようと忍び込んだ家で阿久津と対面する。自分の置かれた境遇を話し、阿久津が、“わかった、俺がその境遇から連れ出してやる”と言ってくれた。 波留から、自分は父親に当たり屋をやらされていると聞かされて悩む桜介。6年生の一大イベントの日光への林間学校にも波留行けないと言う。先生にも言えない。どうしたら良いのか。そんな時、波留が他人の家に忍び込み男と話し込んでいる場に出くわす。あの男は確か殺人事件の容疑者? 正太郎の地道な聞き込みは、阿久津の母親に。当時からなにかを隠している母親。それを引き出せない。それが阿久津の動機に結び付くなにかだと信じて。 そして微かな違和感、当時の記録から、とある推論にたどり着く。 旧優生保護法。母親は自分の責任を間違いなくわかっていたのだ。ただ、それを誰もがやっている!国がやれと言ったんじゃないか!と自分を誤魔化し。 あまりに悲しすぎる。 物語は阿久津が波留を車で連れ出し、ある場所に向かう。そして一気にクライマックスに。 阿久津にとって戸川は道標だった。 そして阿久津は波留の道標になった。 その道標の先には、人生一度しかない普通の少年の姿が。涙
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好きな本だった! 面白かった! シングルファーザーの父親から虐待を受けている小学生の波瑠。 波瑠の友達で、波瑠を何とかして救いたいと悩む桜介。 自宅の半地下で 殺人を犯した中学の同級生・阿久津を匿う豊子。 上司に逆らい窓際へと追いやられた刑事の平良。 4人の視点が交互に描かれ話...
好きな本だった! 面白かった! シングルファーザーの父親から虐待を受けている小学生の波瑠。 波瑠の友達で、波瑠を何とかして救いたいと悩む桜介。 自宅の半地下で 殺人を犯した中学の同級生・阿久津を匿う豊子。 上司に逆らい窓際へと追いやられた刑事の平良。 4人の視点が交互に描かれ話は進んでいく。 2年前におきた殺人事件は、犯人の行方が掴めず未解決となっている。 被害者の戸川は、知的・情緒に障害を持つ子ども、不登校の子どもなどを受け入れる個別指導塾を開塾していた。 加害者は、戸川の元生徒の阿久津という男。 「人格者」という証言ばかりの戸川が殺された理由は何なのか。 阿久津はなぜ 卒業から18年たってから戸川に会いに行ったのかが 全く見えてこない。 また、波瑠の虐待と 阿久津の事件、なんの接点も持たない話がどこで繋がるのか。気になって気になって! 終盤で、波瑠と阿久津が出会ってからは、2人の辿り着くラストが気になって気になって! ラストのシーンが「あの映画に似てる」と思って、そこからは「最悪の結末だけにはならないで欲しい」と祈りながらページを捲っていた。 なぜ 物語の時代が現代ではないのが、ずっと謎だったけれど、すべてが明らかになった時に、そうか!と。芦沢さんの書きたかったことはこれだったのねと。 読了後は、阿久津と関わった人たちが 失ったもの、また得たものは何だったのか、そして 4人のこれからの人生をずっと考えてしまった。
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テーマは重く考えさせられる作品ではあったけれど、詰め込みすぎた感が否めなく、すべての登場人物の気持ちや人生が宙ぶらりんのまま終わってしまい、しっくりこなかった。それこそが道標を失ったものたちの行く末なのかもしれないけれど。
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最後まで読み終えて、夜道を自転車で前を走り、道を曲がるときは腕で示す先生の白い服が印象的だった。先生についていけば安心だと思っている阿久津くんの思いに切なくなった。
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面白かった。久しぶりに一気に読んだ。登場人物の背景や思考や必要最低限で、社会問題とミステリとのバランスがよかった。すごく歯切れがよい。ストーリーに違和感もないし、最後のまとめ方もうまいなあ。変に思想が入らないので、また読みたいというより人に勧めたくなる作品。
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犯人の動機は何だったのか、ずっと疑問に思い、終盤にそうだったのかと。つらいなあ。つらすぎる。激しく心が動かされた小説だった。
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