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夜の道標 の商品レビュー

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151件のお客様レビュー

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    38

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2023/06/29

塾の経営者が殺害されて2年がたつ 捜査線上にあがった元教え子の彼は、事件発生からパタリと消えた……… どこに?を考えているうちに、時が経ち、誰しもが忘れてしまう。そんな存在でしかない。 彼を匿う女、窓際の刑事、ネグレクト少年 それぞれの事情が絡み合う、決して解きほぐすことはで...

塾の経営者が殺害されて2年がたつ 捜査線上にあがった元教え子の彼は、事件発生からパタリと消えた……… どこに?を考えているうちに、時が経ち、誰しもが忘れてしまう。そんな存在でしかない。 彼を匿う女、窓際の刑事、ネグレクト少年 それぞれの事情が絡み合う、決して解きほぐすことはできない明日に何を求めるのか!?

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2023/06/29

親が子どものためを思っての行為であったとしても、本来は非人道的な行為。やり直しのきかないこと。それが奥に潜んでいる物語。 親が子どもを使って楽に稼ごうとするような、判断しやすい愚かさが、まず目の前に差し出される。誰が、どの方向から見たって、愚かで悪どいもの。 次に、その人のためと...

親が子どものためを思っての行為であったとしても、本来は非人道的な行為。やり直しのきかないこと。それが奥に潜んでいる物語。 親が子どもを使って楽に稼ごうとするような、判断しやすい愚かさが、まず目の前に差し出される。誰が、どの方向から見たって、愚かで悪どいもの。 次に、その人のためと言いつつ、自分の寂しさを埋めるための愚かな行為が見えてくる。愚かでかなしい。 そして明るみになるのは、愚かだったと切り捨てにはできない、けれど何故と問わずにはいられない、取り返しのつかない過ち。 それを身に受けた阿久津の心象は全く分からないから、読み手は思いを巡らせる。阿久津は何を思い、どう感じたのか。殺人へ至る経緯はどうだったのか。答えはないから、本を閉じても物語が終わらない。 せめて波留と桜介が、この物語の後でも友だちでいられますようにと願う。

Posted byブクログ

2023/06/28

作者はアイデアや謎解き重視で人物造形や心理描写は希薄な印象があったが本作ではミステリーでありつつも人物の感情を深く描く骨太の作品だった。最後のシーンは胸に迫るものがあった。日本推理作家協会賞受賞も納得の力作。

Posted byブクログ

2023/06/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

先週末のサイン会でサインして頂いた本を読んだ。 旧優生保護法という深刻な社会問題をこんな手の込んだミステリに仕上げるとは。さすがは芦沢央先生。日本推理作家協会賞受賞も当然である。素晴らしい。 毒親による虐待に苦しむ少年の物語と,2年前に起きた未解決の殺人事件の犯人の秘められた物語。全く独立していると思われた2つの物語が,やがて不思議な形で交わっていく。面白かった。

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2023/06/25

優生保護法 内容もさることながら、改めて字を見ると、よくこんなネーミングの法律を作れたなと現代では信じられない恐ろしい名前の法律。 人権を無視したこの法律の重さ、日本の政治家の責任の重大さ、改めて考えさせられた本でした。 辛く息が詰まる内容の中、波留の同級生の桜介の親友を思う真っ...

優生保護法 内容もさることながら、改めて字を見ると、よくこんなネーミングの法律を作れたなと現代では信じられない恐ろしい名前の法律。 人権を無視したこの法律の重さ、日本の政治家の責任の重大さ、改めて考えさせられた本でした。 辛く息が詰まる内容の中、波留の同級生の桜介の親友を思う真っ直ぐな気持ちが清々しく清らかで眩しかった。

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2023/12/03

登場人物がそれぞれ主人公になりストーリーが続いて、どこで繋がるんだろうとわくわくした。 「いろんなものをみて、しまっておけよ」 辛い思いをした阿久津の言葉は胸に染みた。 子供は無力だ。 経験も知恵も立場も未熟な子供は、大人の道標が不可欠。 誰かを助けたくても、子供の力ではどう...

登場人物がそれぞれ主人公になりストーリーが続いて、どこで繋がるんだろうとわくわくした。 「いろんなものをみて、しまっておけよ」 辛い思いをした阿久津の言葉は胸に染みた。 子供は無力だ。 経験も知恵も立場も未熟な子供は、大人の道標が不可欠。 誰かを助けたくても、子供の力ではどうしていいかわからない。 同時期にテレビドラマで 「ケーキの切れない非行少年たち」を視て、 阿久津と重なって見えた。 旧優生保護法のことも、改めて考えた。

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2023/06/20

如何にこれまで大多数である「普通の人」にのみ都合の良い社会が創り出されてきたかが浮き彫りにされる物語。 多様性という言葉が叫ばれるようになった昨今、けれど振り返れば思いがけず近い場所で無かったことにされてきた少数派の主張や悲しみがそこかしこに散らばっている。 私達はいつでも判断を...

如何にこれまで大多数である「普通の人」にのみ都合の良い社会が創り出されてきたかが浮き彫りにされる物語。 多様性という言葉が叫ばれるようになった昨今、けれど振り返れば思いがけず近い場所で無かったことにされてきた少数派の主張や悲しみがそこかしこに散らばっている。 私達はいつでも判断を誤り続ける。 今それが最善であると考えられていることが本当はどうなのかは分からない。 人の為に起こす行動はいつだって慎重過ぎるほど慎重でなければならないと胸に刻んだ。 登場人物たちが抱える苦悩はバラバラな方を向いているのにそのどれもが切実で胸を締め付けられた。

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2023/06/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

皆から慕われていた塾の経営者が殺される。 その直前、塾の前に立つ元教え子が重要参考人として挙がるが、その後2年行方が掴めない。 いい加減に捜査規模も縮小されるが、出世から弾かれたような刑事2人は、諦めない。 場面はガラリと変わり、バスケをする小学6年生の仲の良い二人が登場する。そのうちの一人は転校生で、元有名バスケプレイヤーの父親と二人暮らし。父の血を受け継いでか、彼のバスケのセンスは抜群だ。 しかし試合が近づくなか、彼は道路を渡ろうとした時に、友人に声をかけられたタイミングで交通事故にあう。 友人は失意に陥る。 いや、実はこれは父が生活費を作るため息子に当たり屋をさせていたものだった。 何の関連性も無いような二つの場面が、交互に変わりながら時間を刻む。 かなり後半で明らかになるのが、旧優生保護法に絡む犯罪であることだ。 1996年と言う、実に近年まで法律が有効であって、2019年に、救済制度が制定されたのは記憶に新しい。 知的障がいを持つ犯人だったが、あまり重度では無さそうだ。ある程度のサポートが必要だが、自分で考えることが出来、行動も出来る。彼は子供好きで、結婚もするが、子どもが出来ないことが原因で離婚。人生が坂を転げるようになる。そんな中、母親から聞いたことに、塾の先生が関係していることを知る。 当たり屋の少年は、偶然にも匿われている犯人と接触することになり事態は思わぬ方向に展開する。 生活苦の家庭のこと、実際に近年まで存続していた旧優生保護法により多くの人が断種処置されていたこと、恐らく犯人を通して写し出した、知的障がいを持った人も普通に優しい心を持っていること。考えさせられるテーマ性のある小説だと感じた。

Posted byブクログ

2023/06/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

みんながちょっとずつ悲しい。お母さんの気持もわかる。「そうなったら」怖いって思ってしまうのもわかる。でも、欲しくはない、欲しかったんだ、で一気に泣いてしまった。「道標」だって思っていたんだよね。そう思うとほんとにつらい。桜介のまっすぐさが眩しくて痛い。今まで読んだ芦沢作品の中では一番好きかも。

Posted byブクログ

2023/05/27

ミステリかと思って読んでいたがそういうわけでもなかった。 (ジャンルはミステリなのか・・・?) 登場人物がどう繋がるのかと思っていたが、そうきたか~という感じで良かった。 終始緊張感が途切れずしんどい。

Posted byブクログ