嫌いなら呼ぶなよ の商品レビュー

綿矢りさ(著者)

2025/03/07

綿矢りさ先生2冊目！

・『眼帯のミニーマウス』
『オーラの発表会』の登場人物が出てきてびっくり。
過激すぎるルッキズムは全然共感できないが、
自分はコロナ禍を生きた若者に分類されるので
なんか懐かしい気持ちで読みました。

・『神田夕』
神田ユウ…？って思いましたが違います。（笑）
YouTuberと粘着ファン（アンチ）の話。
アンチってこういう思考なのかな？と腑に落ちました。
最後は「あーあ」と共感性羞恥で
読んでいられなくなるほどでした。
そこまで他人に執念深くなれるにはある意味羨ましい。
認知してほしい！こっちを見て！なんて感情、もう沸かないなぁ。

・『嫌いなら呼ぶなよ』
一番共感できない主人公（笑）
不倫する側の思考をここまで表現できる綿矢先生すごすぎます。
楓さんコイツから離れて～。

・『老は害で若も輩』
最後にスカッとしました！

2025/02/26

見えない恐怖に怯えながら生活していたコロナ襲来の頃の異常な世界観がビシビシ伝わってきます4つの短編ですが、そんな考え方もあるのかって異次元からの刺客のようです。
『オーラの発表会』の海松子（みるこ）の話題も出てきて、教員研修頑張ってるとか知れてよかったです。
プチ整形にハマってしまったニナリッチ、職場でお姉様方にいじられても正論で返さずウケ狙いで場を盛り上げる方向でかわすとか、タオルを投げ入れたく思いましたがクロスカウンター狙いの負けん気の強さに凄みがありました。パンチが効いてて腫れ上がって顔認証もできない位なんですがカワイイが勝ち誇って鼻息荒げてました。
コロナ時はみんなマスクしてて鼻から下見えないからマスク美人増えちゃって整形必要なくみえてたですけど。
ユーチューバの粘着質なファンって恐怖を感じる位に自分勝手で怖かった。発信者との距離感ゼロで闇堕ちしていく過程に鳥肌たちました。
コロナ蔓延期の自粛警察の同調圧力は集団による個人攻撃で、あの正義感は不安や恐怖からくる社会心理でしたが同様に、ナルシスト不倫男の肩待つわけではないけれど夫婦間の問題を晒して公開処刑するのもなんか違ってるように思いますね。
最後には作者もまさかの降臨で、ベテランライターのインタビュー記事勝手に全取っ替えとかの傍若無人ぶり。綿矢さんってこんな性格なんだろうかってちょっと退いた。仲裁に入る若手編集者に矛先むいてメールのやり取りが凄いことになってゆく。これもコロナの閉塞感が生み出したネット社会の弊害なんでしょうね。

2025/02/08

たっぷりの毒がむしろ快楽ですらある。
涙を誘うような湿り気は一切なく、からっとした悪がちょうどいい面白さとなって表れており、一気に読んだ。

2025/02/02

ズバズバと切れまくってる文章に爽快さすら感じる。
こういう人っているよねって思いながらも突き抜けてて良い。

2025/01/28

Audibleにて。
『蹴りたい背中』は当時読んだけど内容は全く覚えてないので、ほぼ初めましての感じ。

ファンの方はごめんなさい。
私には合わなかった。

4つの物語のどの登場人物にもあまりリアル感が持てず、例えの表現もピンとこなくて自分には刺さらなかった。

最後の『老は害でも若も輩』は、ストレスをぶつけられてるみたいな高圧的な表現に感じて頭が痛くなってしまった。
レビューを見ると、「爆笑した」という方が多い。私も爆笑したかったけど相性が合わず残念。

2025/01/18

コロナ渦、アンチ、ルッキズムなど現代的なテーマの中で心の闇を描き、毒気を含んだ短編たち__
一見暗そうな内容だし、誰にも感情移入できなかったけど、読み終えた後のすっきり感が最高！綿矢節全開で面白かった。

最後の話は実話じゃないですよね？笑

2025/01/06

何だか毒々しい一冊。物語がどう転ぶのか、誰に感情移入して読んだらいいかわからなくてハラハラ感がある。鋭くて面白かったー！
ネットにアンチコメント書く人ってどんな人なんだろうと思ってたけど、神田タのぽやんちゃん、ほんとこういう人いそう！！表題作嫌いなら呼ぶなよのハムハムもいそうだし絶妙に嫌いな人のリアリティすごい。
最後の作品の作家が綿矢なの面白い。

2024/12/31

やっぱり綿矢さん、尖ってるなと思った。短編が4つだけど、どれも興味深い。キャラがすごいけど、人間って結局人間関係だからその苦悩やぶっちゃけ感が出ていて笑えた。
濃いキャラだから、短編がちょうどいいと思う。
コロナ禍のことが出ていて、もはやなつかしく感じた。
最後のやつは、その後が吉と出たか凶と出たか、知りたくなった。やってみたいけど、うまくいく気がしない。

2024/12/28

•本心と言動の齟齬。最後の短編以外、主人公は整形や可愛い洋服を着たいのに我慢し周りのからかいにも悪態一つ言わなかったり、反応して欲しさにコメント欄に批判コメントを載せたり、不倫を責めてくる嫁の友人に心の中だけで悪態をついたり、思っていることとやっていることの一貫性がなくなっている。この評価経済の重圧がコロナの影響で顕著になったように感じる。

•我々は本音と建前の建前に比重が置きすぎていると感じた。

眼帯のミニーマウス
•山崎は小さい頃から可愛い洋服が好きだった。だけど類似した友人も20歳を境に辞めていった。大人になってからも整形したことを周りにからかわれる。しかし怒りを決して外には出さない。

・大規模整形したふりをして包帯を顔中に巻き付ける。からかっていた職場の人は多少なりとも自分を責める。その後も目立っているのに顔が隠れて誰か判別されない顔面に包帯を巻きつけていた状態が心地よくなる。捻れたコミュニケーションが捻れた言動を生む。

神田夕
•谷口は神田に注目されたい欲求でSNSにねちっこいコメントを書いていたと思う。だから居酒屋に来店した神田がSNSを見ていないことが判明し、怒りを湧いて軽いボヤ騒ぎを起こした。谷口は欲望を自己完結できない。

嫌いなら呼ぶなよ
•霜月は不倫したことを反省する必要がないと思っている。家に歓迎ムードで招待してその後不倫を責め立てる楓の友人を心の中で悪態をついている。が言動には一切出さない。平然と話し合いに応じている。周りの人間もねちっこく責めるだけ。上部だけの繕うだけのコミュニケーションが横行する。

•霜月の妻は霜月の反省の言葉でまた上部だけの結婚生活を維持するだろう。

老は害で若も輩
•この短編集の中でこの作品だけが本心と言動が一致した登場人物が出てくる。小説家の綿谷に内田は最後、酔った勢いで本音をぶちまける。通常では立場的に社会的にできない本音を。最後のメールは本心と建前の建前に比重を置きすぎている鬱憤の爆発に見えた。

2024/12/27

毒々しくもポップなカバーデザインにふさわしい「明るい闇」がテーマの短編が4つ。
最後の書き下ろしが笑えました。