夜に星を放つ の商品レビュー
短編で読みやすい 強く生きようと勇気をもらえる 星がテーマでお話しへの組み込みかたが綺麗 物語の主人公たちのその後の人生も考えさせられる
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星をテーマにした短編5作。 特にコロナ禍を題材にした2作を読みながら、小説家の手では、コロナはこのように描かれるのか…と感心した。 人間誰もがそれぞれの出会いがあり、別れがあり、喜びがあり、悲しみがある。その中で、痛みを感じるのは自分だけではないと、切ないながらも背中を押された感...
星をテーマにした短編5作。 特にコロナ禍を題材にした2作を読みながら、小説家の手では、コロナはこのように描かれるのか…と感心した。 人間誰もがそれぞれの出会いがあり、別れがあり、喜びがあり、悲しみがある。その中で、痛みを感じるのは自分だけではないと、切ないながらも背中を押された感じがした。
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この本を読んだ人は登場人物たちとともに、様々な喪失感を味わうことになるだろう。 それが5編もあるから、また違う切なさを味わうことになるのか、、、という覚悟と それに反してなぜかページを捲る手がとまらないという矛盾に向き合うことになる。 失った人が、かけがえのない人であればあるほ...
この本を読んだ人は登場人物たちとともに、様々な喪失感を味わうことになるだろう。 それが5編もあるから、また違う切なさを味わうことになるのか、、、という覚悟と それに反してなぜかページを捲る手がとまらないという矛盾に向き合うことになる。 失った人が、かけがえのない人であればあるほど喪失感は深く、その傷が癒えないうちにまた違う人を失い、更に傷を負うこともある。 人生とはそんなことを繰り返していくのだろうか。うんざりするけど、「人の痛みがわかる人間」とは、こんな積み重ねによって段々と出来上がっていくのかもしれない。 傷つくことでやさしさを得て少しずつ強くなる。 心の筋トレをやりきったような読後感だった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
『夜に星を放つ』 窪美澄 帯に「心の揺らぎが輝きを放つ傑作」とあったが、その通りで心の揺らぎが慎重に書かれていた。五編からなる短編小説集で、一編あたり大体40ページほどの本当に短いものだったが、心境について細かく書かれていた。読書メーターに後ろ三つの短編が好き、と言う感想が多く寄せられており、私もそれに同意する。 自分だけが見える死んだ母親の幽霊と暮らす女子高生話、不倫して出ていった妻と連れられていった娘の残像から逃げられず前に進めない男の話、両親の離婚によって新しい継母と話すことになった小学生の話。 それぞれが、何か心の穴を持ちながら生きていく話であった。 この三つの中でも特に、幽霊と暮らす女子高生の話が1番すきである。死んだ妻が大好きで気持ちの揺るがない父親と、思春期特有の少しの嫌悪感のようなものを抱きながらも、前に進んでいく話。物語としてはもちろん完結しているが、派手な終わりが待っているわけではない。しかし、心の揺らぎが丁寧に書かれていて、生きていくとは当人にとっては大きな問題が出てくることが少なからずあって、その問題の解決の糸口は派手ではなく日常の中に転がっている。地味だけれども、人が前に進んでいく心を細かく書かれていて、直木賞に選ばれるのも納得であった。直木賞に選ばれるのはエンターテイメント性がある小説なので、いつも長編が選ばれるイメージ(何度も面白い場面展開が繰り返される小説が選ばれるイメージ)だったのだが、今回の作品の選出でいい意味で直木賞への印象が変わった。
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不思議な読後感。短編五作。主人公の年齢が実に幅広く10歳男、13歳女、16歳男、32歳女、37歳男。喪失とそのままならなさを抱えながら生きねばならぬのはどの年齢でも同じなのだけれど、受け止め方が年齢なりに異なって描かれていて秀逸。
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200ページほどに5篇が収められている全体的に重いながらもさくっと読める短編集。 どのお話にもそれぞれのしんどさがあって、それでもラストが好きだったり、更にしんどい気がしたり、何となくすっきりしなかったりしました。 だけどそれほどずっしりと心に残るということも無くて、読むのに時間...
200ページほどに5篇が収められている全体的に重いながらもさくっと読める短編集。 どのお話にもそれぞれのしんどさがあって、それでもラストが好きだったり、更にしんどい気がしたり、何となくすっきりしなかったりしました。 だけどそれほどずっしりと心に残るということも無くて、読むのに時間もかからなかったのに、読み終わると巻頭の目次を見てもぼんやりとしか内容を思い出せなかったりしました。
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高校生男子のはなし、小学生男子の話が特に心に残る。 コロッケのあたりとか、首を傾げたものもあったけど、全体的に好きだった。
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・つらい気持ちでいるのは自分だけじゃない。そう思えれば、私はこの先も暗い闇に落ちずに生きていけるような気がした。 ・お互い、好きが高じて、その人といっしょに暮らしてみたかった。 ・「約束してくれる? どんなにつらくても途中で生きることをあきらめては駄目よ。つらい思いをするの...
・つらい気持ちでいるのは自分だけじゃない。そう思えれば、私はこの先も暗い闇に落ちずに生きていけるような気がした。 ・お互い、好きが高じて、その人といっしょに暮らしてみたかった。 ・「約束してくれる? どんなにつらくても途中で生きることをあきらめては駄目よ。つらい思いをするのはいつも子どもだけれどね。それでも、生きていれば、きっといいことがある。……私はあなたにこのマンションで出会えて良かった。いつか忘れてしまうかもしれないけれど、なるべくあなたのことは忘れないようにするね」 真夜中のアボカド(死んだ双子の片割れの彼氏と命日にご飯を食べる) 真珠星のスピカ(母の幽霊と暮らす) 星の随に(学校終わりに同じマンションの老婆のところで家が開くまで時間を潰す)が好きだった。
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どのお話も、ちょっと辛くて、淋しくなって、切ないなぁという感じだった。『湿りの海』と『星の隨に』が印象的だった。一人で悩んでいると辛いけど、誰かがそっと温かい言葉を掛けてくれたり、見守ってくれるのは嬉しいな。支えになるなと思った。
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