夜に星を放つ の商品レビュー
短編集。ストーリーに難解さがなく読みやすいが、あっさりし過ぎて物足りない感じも…。「星の隨に」は、読んでいて苦しかった。子どもをかかえながら、余裕のない母親に読んでほしい。わが子を抱きしめたくなる。
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星座や星を散りばめた短編5篇。 喪失感、不安感、孤独感の中に、どこか暖かさを感じる物語だった。 自分がそうだっただけに、片親の子供が出てくると、感情移入が強くなり、胸が熱くなってしまう。
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第167回直木賞受賞作。連作ではない短編集。 かけがえのない人間関係を失い傷ついた者たちが、再び誰かと心を通わせることができるのかを問いかける(公式より) タイトルに「星」が入っているように、星座や天体が物語のキーとなっているわけではないが、どの話にも出てくる。 「真夜中のアボカド」 32歳、双子座。コロナ禍。マッチングアプリで婚活をする主人公・綾。 出会ったのは麻生さんという、真面目そうにみえる男性。何度か会い、体を重ね、付き合うことに。 ある日、秘密をうちあける。 実は一卵性の双子で、妹・弓とは3年前に死別していること。まだ気持ちの整理できていないこと。 麻生さんもこんど秘密をおしえてくれるという。それからも順調に、凪のような日々をすごす。 弓ちゃんには恋人の村瀬がいて、綾は村瀬に麻生さんのことなど色々相談しているうちに……。 部屋で育てているアボカドの双葉と、双子の運命、双子座が絡み合う。 ちょっと展開は読めたけど、短編小説のお手本のような書き方であり、お話。ベタは強いよ。 「銀紙色のアンタレス」 16歳、男子。獅子座。 『夏が来るとやっと自分の季節がやってきたという気がする。どんなに気温が上がったっていい』は全然物語の格じゃないけれど、めちゃくちゃ共感です。 夏休み、海の近くのばあちゃんの家に来た真は、近所の娘で東京から1歳の子どもを連れて帰省している女性を好きになり、幼なじみでとても可愛い朝日に告白されてもふってしまいます。叶わない恋と、若さならではの誠実さで不器用にもがく。 「真珠星スピカ」 2ヶ月前、交通事故で亡くなった母。その幽霊が見える主人公・みちる。父には見えていない。母の幽霊は家から出ない。 みちるは学校でいじめられている。味方は少ない。 喜怒哀楽をストレートに出すことが恥ずかしく、いじめられてワンパターンだなとおもいながらノーリアクションを貫いているが、精神的にはキツイ思いをしている。 解決したのは、コックリさん……? めっちゃ面白かった。この短編集ではナンバーワン。 「湿りの海」 アリゾナにいる妻と娘。妻の浮気が原因で離婚し、すでに新しい父親と暮らしている。かなり引きづっている主人公。指にはまだ指輪のあと。 隣にシングルマザーが引っ越してきて、会話をするようになる。ある日、海に行くのだが、その帰りに……。 すごい筆力。 しっとりと汗をかいた両生類のような皮膚、の例えは秀逸だった。 本当にこんな話どこかにあるだろうと思うくらいリアリティがあった。 「星の随に」 主人公・想が小学四年生の春に、再婚した父と、新しい母の渚さんの間に弟の海が生まれる。渚さんのことを想はまだ「母さん」と心から呼ぶことはできない。本当の母さんには何で会えないのだろうと不思議に思いながら、母さんの住むマンションを車窓から見つめる。 そんな折、育児ノイローゼになる義母・渚。学校から帰っても寝ていて鍵が空いていない。助けてくれたのは、同じマンションに住む老婦人だった。 彼女は「つらい思いをするのはいつも子ども」と自分の戦争体験と重ねて話す。
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「痛み」にも様々な種類がある。 恋に破れた痛み、大切な人を亡くした痛み、その他にも一言で言い表せない痛みはたくさん存在する。 この短篇集では5つの痛みが表現されていて、それぞれに、登場人物が星を見上げる描写がマッチする。 「銀紙色のアンタレス」は前に読んだことあるな…と思ったら...
「痛み」にも様々な種類がある。 恋に破れた痛み、大切な人を亡くした痛み、その他にも一言で言い表せない痛みはたくさん存在する。 この短篇集では5つの痛みが表現されていて、それぞれに、登場人物が星を見上げる描写がマッチする。 「銀紙色のアンタレス」は前に読んだことあるな…と思ったら、「すみなれないからだで」にも収録されているお話だった。どちらの短篇集でもしっくりとくる、10代少年のひと夏の恋のお話。 印象的なのを1〜2ついつもならわりとするっと挙げられるけど、今回はとても難しい。それぞれに主人公の年齢もタイプも全然違うし、それぞれに引っかかる痛みがあって読み応えがあったからだ。 双子の妹を亡くした主人公が婚活アプリで出逢った相手と恋をする「真夜中のアボカド」 事故で亡くなった母親の幽霊と中学生の娘の姿を描く「真珠星スピカ」 離婚して独り身になった男が隣に越してきたシングルマザー母子と接近するが…の「湿りの海」 両親が離婚して父親と新しい母とその子どもと暮らすようになった小学生の男の子が主人公の「星の随に」 本人が訳アリだったり、訳アリの人に翻弄されたり…というお話が多かった気がする。結婚や離婚の「訳アリ」がとくに目立った。 自分次第でどうにでも出来るはずなのにままならない大人の痛み、自分の力ではどうにもできない子どもだからこそ感じる痛み。 思い当たることがあるからこそ、読んでいる側も痛む。
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星座をモチーフにした5話の短編集。 双子の片割れを無くした方とその恋人、思春期の恋、母をなくした娘と父、離婚して残された夫、再婚して新しい母に赤ちゃんができたお兄ちゃん。 それぞれに星や星座が出てくるが、離婚して残された夫の話(湿りの海)はオルフェウスの神話になぞらえて話が展開していて、印象深かった。死の世界へまで妻を迎えに行くほど愛してるのに、苦難を乗り越えたあと寸前で振り返ってしまってその瞬間に妻を失うという話だが、人生で似たような後悔をしてしまうこともあるかと思った。どれも特殊な話のようでいて、そんな思いをしている人やしたことのある人は多いのではと思った。
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『表紙に惹かれる のみ』 題目の通り 大体的な宣伝や表紙に惹かれたが、 拍子抜けとはこの事のよう。 設定から物語の運びからずっと平坦な道が 続いているような感覚。 紹介文に「人の揺らぎを…」といったものがあるが 結局その揺らぎがよく分からずじまいだと 思ってしまった。 勿論...
『表紙に惹かれる のみ』 題目の通り 大体的な宣伝や表紙に惹かれたが、 拍子抜けとはこの事のよう。 設定から物語の運びからずっと平坦な道が 続いているような感覚。 紹介文に「人の揺らぎを…」といったものがあるが 結局その揺らぎがよく分からずじまいだと 思ってしまった。 勿論好みはあると思う為、 「お薦め出来ない!」と言うわけではないが、 初めて窪美澄さんの本を読む場合には 他の本を控えめに薦めたい。
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星の事が少なからず関わる5つのお話し。 人間と人間の関わり合いも色々で、「真珠星スピカ」の娘を思う母の強い思いは絶対だなと感じました。 「星の随に」の想はちゃんと回りの人の気持ちを思い優しくなれる子供で、人を悪く言わないんだろうな~。 そんな子供こそ、幸せになってほしいです。 ...
星の事が少なからず関わる5つのお話し。 人間と人間の関わり合いも色々で、「真珠星スピカ」の娘を思う母の強い思いは絶対だなと感じました。 「星の随に」の想はちゃんと回りの人の気持ちを思い優しくなれる子供で、人を悪く言わないんだろうな~。 そんな子供こそ、幸せになってほしいです。
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それぞれ何かを抱えた人々の日常&星にまつわる五篇の短編集。 窪美澄らしさ全開の本でした。 人恋しい、寂しい秋に読むのにぴったりの本です。
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星(星座)に纏わる五篇の短編集。どのお話も切ない ハッピーエンドとは言えない。でも 失った後に何かが残る。そんな感じのお話ばかりでした。毎日の人との繋がりを大切にしたいなと思わせてくれた。
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