チ。 ―地球の運動について―(第8集) の商品レビュー
最終集である。手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞したとき、審査員はこの最終回を読んで投票したのだろうか?(スピリッツ20号は2020年4月13日発売、大賞発表4月25日) 21世紀の私が、45年前の高校生だった20世紀の私に問いたい。こんな作品が手塚治虫の名前を冠した大賞を獲ったん...
最終集である。手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞したとき、審査員はこの最終回を読んで投票したのだろうか?(スピリッツ20号は2020年4月13日発売、大賞発表4月25日) 21世紀の私が、45年前の高校生だった20世紀の私に問いたい。こんな作品が手塚治虫の名前を冠した大賞を獲ったんだけど、君は納得するかい? 「納得しないね。確かに手塚の火の鳥は、宇宙を舞台にした壮大な哲学作品なんだけど、その前に見事な大河エンターテイメント作品だった。なんだこれは?最後は問答ばっかり!しかも、(ネタバレだから曖昧に言うけど)彼らが命をかけて守ってきたものは絶対最後には花開くと思っていたのに、これじゃ開かないじゃないか!」 「その点はボクも驚いた。7集で、数巻かけて描いた異端審問官ノヴァクとその娘との対面をスルーされた時も驚いたけど、今回は絶対15世紀の「アレ」が16世紀のコペルニクスまで届くんだと思っていた。でないと、『話の整合性がつかない』と思ったんだ。でも多分おそらく届いていない。反対に言えば、「届かなくてもいいんだ」という事を全巻かけて描いたのかもしれない。君は知らないけど、こういう最終回てストーリーもエンタメも全て投げ出して終わらすというやり方は90年代の終わりにアニメ作家の庵野秀明がやって話題になったやり方で、仕方なくやったものだ。けれども今回は『確信犯的に』やっている。マンガ的反則かもしれない。でも、アニメ化されるらしい。庵野作品の時もそうだったけど、アニメ化の時にはエンタメ作品になっているかもしれないね」 「マンガ的反則とは思わないね」 教え諭すつもりだったのに過去の自分に反論された。戸惑いを隠せない。 「マンガは何でもあり。原則がないのが原則じゃないか。忘れちゃったの?なんか最終集で難しいこと、ゴチャゴチャ書いているけど、それを含めて面白ければいいんだよ。でも納得できないことを描いたら納得できないというのが僕の意見なんだ。最終集で、1集で颯爽と登場して見事に死んでいったラファウが二回出てくるよね。1度目は『幻覚』だから、十分理解できる。でも、2回目の『過去の回想』では、1集に全くない場面どころか、ストーリー的にも矛盾する展開になっていて、説明もなく終わってしまった。これは許せないよ」 「アルベルトの回想は、彼の生き方には意味があったけど、1集のラファウとどう整合性があったのか、私もわからない。でも『難しいことのゴチャゴチャ』は、途中行ったり来たりはあるけど、認識論哲学の基本課題を言っている気がする、気がするだけだけどね。現代の若者は、ともかく伏線回収を重要視する。マンガは世界をシンプルに解説するツールだと思っている節がある。それに対するアンチを唱えたのだとしたら、ボクは意味があると思う。でも昔はこんな作品は何十万も売れなかったし、アニメ化もされなかった。その分時代は変わっているのかもしれないね」 「なんだ、歳をとっても世界をなんも理解していないんだね」 「そうか、そうだよね。歳は取ったけどわかんないことだらけなんだよ。最初「疑うこと」「?を感じること」「歴史とは」について、稚拙ながら自説を展開しようと思ったけど、恥ずかしいからやめるよ。でも、少しだけ、いや他の多くのマンガに比べると大変面白かったのは確かだ。ちゃんと記憶すべきマンガということでは、手塚治虫文化賞マンガ大賞に相応しいのかもしれないね」
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話題の「 チ。」を全巻読破。 様々な苦難を乗り越えて引き継がれるチの話。 地動説、文字、活版印刷…今や当たり前の技術や発想がいかに斬新で革命的な出来事なのかという点が面白いです。 以前、仕事の繁忙期にこの漫画を読もうとしましたがグロテスクな表現が強烈過ぎて踏破できずにおりました...
話題の「 チ。」を全巻読破。 様々な苦難を乗り越えて引き継がれるチの話。 地動説、文字、活版印刷…今や当たり前の技術や発想がいかに斬新で革命的な出来事なのかという点が面白いです。 以前、仕事の繁忙期にこの漫画を読もうとしましたがグロテスクな表現が強烈過ぎて踏破できずにおりました。無職になって再挑戦。読む側のコンデションを問う作品ってありますよね。。
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細い糸を手繰って、世代を超えて。 地動説を愛した人たちの物語。でも、それはまだ道半ばで。 私達もきっとその一端しか見ることはかなわない。 面白かった!
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う〜む言いたい事は分かるが、話として色々破綻してない?納得がいかないとゆうか、あえて最終巻で話をわやくちゃにする意味ってなに? と感じた。 結構がっかり。。。
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きっと社会から神が消えても、人の魂から神は消せない。 知が人や社会の役に立たなければいけないなんて発想はクソだ。 これらの矛盾は両立します。なぜか?それが、人間だからです。 名台詞ばかりの最終巻。最後の最後の「 」まで、素晴らしい物語でした。ありがとうございました!
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51冊目『チ。 ー地球の運動についてー 8』 (魚豊 著、2022年7月、小学館) 地と知と血の物語、ここに完結。 正直クライマックスは「?」という感じで、個人的に望んでいたものとは違った。最終巻だけ『エヴァンゲリオン』を読んでいる感じだった。 アルベルトの見た目がオクジーとそっ...
51冊目『チ。 ー地球の運動についてー 8』 (魚豊 著、2022年7月、小学館) 地と知と血の物語、ここに完結。 正直クライマックスは「?」という感じで、個人的に望んでいたものとは違った。最終巻だけ『エヴァンゲリオン』を読んでいる感じだった。 アルベルトの見た目がオクジーとそっくりなのは意図的なものなのか、それとも作者の画力不足が故なのか…? 何はともあれ、最後まで熱量を失わずに駆け抜けた、情熱に溢れる力作だったと思う。 「?」
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これにて完結。 最期の最期で今まで描かれてきた単純な二項対立が崩されて、新たな視点と問題提議が持ち込まれたが、それでもなお知的好奇心の追求への肯定で終わるというさわやかさ。
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終わりました。 一巻のラファウのとても純粋な知的好奇心が美しかった。 何かしらの歴史的事実に結びつくんだろうなとは思っていた。 アルベルトというのが、コペルニクスの先生だったことは後で調べてわかりました ラファウ先生は果たして? 別人?何らかの方法で生きてた?パラレルワールド...
終わりました。 一巻のラファウのとても純粋な知的好奇心が美しかった。 何かしらの歴史的事実に結びつくんだろうなとは思っていた。 アルベルトというのが、コペルニクスの先生だったことは後で調べてわかりました ラファウ先生は果たして? 別人?何らかの方法で生きてた?パラレルワールド的な?
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※このレビューにはネタバレを含みます
私にとっての悪役は正義で、悪役にとっての私は悪役で、平和を作るには核兵器があるというのを鳩と鳥籠で表しているんだなと。 amazarashiと一緒に聴くと自然と涙が出てきそうになり、好奇心を忘れたくない、歴史には名が残らないただの出来事にしても私たちはそれを見届けることができたことが嬉しいです。 ドゥガラの服が治っていた朝日のシーンが好きでした。 アニメ化おめでとうございます!
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※このレビューにはネタバレを含みます
最終巻です!はぁ…私の中で今一番アツい漫画が終わってしまった…もう続きが読めないなんて残念です。 ただ最終巻を読んで一番最初の感想は…「えっ…どういうこと?」でした。ドゥラカとノヴァクの決着がつくところまでは、すごく良かったんです。二人の問答もアツかったし、ノヴァクの最期にもドゥラカの最期にもグッときました。 でもその後の最後のエピソードは、どういうことなんでしょうか???今まで描かれてきた『チ。』の世界とは別の話ってことですか?でも家庭教師のラファウって1巻の少年ですよね?教会の司祭様もヨレンタを逃して殺された異端審問官の同僚ですよね?それに「ポトツギ宛の郵便」も届いててるし…。ちなみに第7集の表紙って誰⁈って思ってたけど、このエピソードに出てくるパン屋のアルベルトですよね?このアルベルトは実際に歴史上名前が残っている人なんですか? うわ〜ん、せっかくの最終巻なのに私の理解力がなさすぎて、作者の意図がわからない…誰か解説してください! そして私的には、地動説が証明されるか出版されるか、ある程度決着のつくところまでは描かれると勝手に期待していたので、予想と違ってちょっと残念。でもまぁぎりぎりバトンが繋がった?ところはこの漫画らしいと言えばらしいですかね。 なんかマイナスな感想を書いてしまいましたが、でもやはりこの漫画はすごかったです!大いなる歴史の流れの中で、信念を持って生き抜いた人たちの紡がれた感動という名のバトン…とても胸が熱くなる壮大なドラマでした。 アニメ化も決まったようですね。でもこの漫画がアニメ…想像がつかないなぁ。
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