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夢見る帝国図書館 の商品レビュー

3.8

55件のお客様レビュー

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  2. 4つ

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  3. 3つ

    9

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    3

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2022/08/11

15年ほど前、わたしは上野公園のベンチで、とても魅力的な白髪女性の喜和子さんと出会った。 約束もせずに別れたけれど、上野の図書館で私たちは再会し、わたしは喜和子さんに上野の図書館が主人公の小説を書いてほしいと頼まれる。 お題は『夢見る帝国図書館』。 福沢諭吉が発した「ビブリオテ...

15年ほど前、わたしは上野公園のベンチで、とても魅力的な白髪女性の喜和子さんと出会った。 約束もせずに別れたけれど、上野の図書館で私たちは再会し、わたしは喜和子さんに上野の図書館が主人公の小説を書いてほしいと頼まれる。 お題は『夢見る帝国図書館』。 福沢諭吉が発した「ビブリオテーキ!」という言葉とともに建てられたこの図書館には、多くの文豪や著名人たちが熱心に通い詰めていました。 名前を次々と改め、震災や戦争を乗り越えていく図書館の歴史が、中島京子さん独特のユーモアを交えて分かりやすく語られていきます。 けれど、これは単なる図書館の歴史をたどる小説ではありませんでした。 木造の小さな家で暮らす喜和子さんの、終戦直後の上野での思い出話に取りつかれたわたしは、喜和子さんが亡くなってからも、彼女の交友関係や幼い頃の曖昧な記憶をたどって真実を突き止めようとします。 「戦災で家を失くした人たちによって自然発生的に作られたバラック集落」であり、「上野はいつだって行き場のない人たちを受け入れてきた」 そんな時代を越えて、建物はいつもここにあり、人よりもずっと長生きするのです。 図書館を愛した喜和子さんの人生が尊く、儚く、そしてわたしと喜和子さんの偶然の出会いがまさに夢のようにも思える優しい物語でした。

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2022/08/03

図書館をを中心として描かれる喜和子さんの歴史。 作中の夢見る帝国図書館の書き手については読者によるところなのも面白い。

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2022/07/30

図書館が主人公の小説?? そもそも 日本の図書館はいつからあったのか? 図書館が過ごしてきた歴史も見せながら、喜和子さんと小説家の物語が流れていく。 図書館が話せたら口にしていたかもしれない、あんなことやこんなことも一緒に流れていく

Posted byブクログ

2022/07/26

解説の京極夏彦氏によれば、本書は「ラストに到って、地と図は反転」し「フィクションがリアルに、リアルがフィクションに呑み込まれ」「小説という装置を用いる以外に行きつけない場所に連れて行ってくれる」小説だそうだ。 しかし、私のような凡庸な読者には、私が喜和子さんとのほのぼのした日常...

解説の京極夏彦氏によれば、本書は「ラストに到って、地と図は反転」し「フィクションがリアルに、リアルがフィクションに呑み込まれ」「小説という装置を用いる以外に行きつけない場所に連れて行ってくれる」小説だそうだ。 しかし、私のような凡庸な読者には、私が喜和子さんとのほのぼのした日常や、喜和子さんの半生を追跡する合間に、帝国図書館の歴史やエピソードが挿入されているな、としか感じられなかった。 帝国図書館の歴史・エピソードは、前半は面白く読めた。 喜和子さんのストーリーも日常のほのぼのした雰囲気と、喜和子さんの生い立ちが軽いミステリーのようで、読み進めることができた。 再読したいとは思わないかな。

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2022/07/17

ひたすら図書館の本。どういう本か?と聞かれれば、なかなか言い表すことが難しい内容だったのですが、初老の女性から図書館の本を書いてほしいと頼まれた主人公の女性と、その初老の方との交流を描いた本。合間合間におそらく主人公が書いたのであろう『図書館に関する本の内容』が挿入されていて、こ...

ひたすら図書館の本。どういう本か?と聞かれれば、なかなか言い表すことが難しい内容だったのですが、初老の女性から図書館の本を書いてほしいと頼まれた主人公の女性と、その初老の方との交流を描いた本。合間合間におそらく主人公が書いたのであろう『図書館に関する本の内容』が挿入されていて、これが結構おもしろい。時代の流れがうまく表されていて、図書館はずっと予算がなかったという点など、興味深く読めて、特に、図書館や動物が擬人化されて表現されている点がおもしろいと思いました。他にも憲法に、男女平等の条文を起草したベアテ・シロタさんの話など、読み応えたっぷり。最後は、しっとりとした終わり方で、アジのある一冊でした。

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2022/06/28

物語の語り手が出会った、浮世離れした風情の喜和子さんの過去が少しずつ顕れてくるにつれ、からからと明るいその姿が、必死の思いで形作られてきたものだと知れてくる。だから、「これは葬式じゃあない。祝祭だね」「喜和子ちゃんがこの世に生を受けて、その生を全うしたことを寿ぐ祝祭だよ」という台...

物語の語り手が出会った、浮世離れした風情の喜和子さんの過去が少しずつ顕れてくるにつれ、からからと明るいその姿が、必死の思いで形作られてきたものだと知れてくる。だから、「これは葬式じゃあない。祝祭だね」「喜和子ちゃんがこの世に生を受けて、その生を全うしたことを寿ぐ祝祭だよ」という台詞に、深く同意してしまう。 日本初の図書館の物語(歴史に則りつつ、融通無碍な)と喜和子さんをめぐる物語が交互に語られて、人の人生が歴史の中にあることを感じて、視界が拡がる。

Posted byブクログ

2022/06/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 図書館の物語、喜和子さんの物語、「私」の物語、ここに書ききれないたくさんの人の物語に触れることができるお話でした。また、戦争やジェンダーについて考えるきっかけにもなる作品です。  私がこのお話で1番好きなのは、喜和子さんが、貴和子ではなく喜和子(平和を喜ぶ子)という名前を自分で選択し、自分のために家を出たこと。「こんな当たり前の場面がなぜ好きなの?」と言われる未来が来ますように。

Posted byブクログ

2022/06/20

上野の帝国図書館(現国立国会図書館国際子ども図書館)をめぐり、過去と現代が交差しながら上野の記憶を探る物語が展開する上質な作品。

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2022/06/17

申し訳ないが… 正直、この作家さんの文章は私には合わぬ。 後半は幾分、持ち直したが 半分くらいまでは読むのがしんどかった。 文章は、だらだらした感じがするし 中身も、私の中に楽しさが湧かず。 そういえば、以前に読んだ「小さいおうち」も、 しんどくて、途中で読むの挫折した事を思い出...

申し訳ないが… 正直、この作家さんの文章は私には合わぬ。 後半は幾分、持ち直したが 半分くらいまでは読むのがしんどかった。 文章は、だらだらした感じがするし 中身も、私の中に楽しさが湧かず。 そういえば、以前に読んだ「小さいおうち」も、 しんどくて、途中で読むの挫折した事を思い出した。 タイトルや題材は、とても興味深くて 楽しみにしたいただけに、残念です。

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2022/06/14

日本で初めて生まれた図書館にまつわる小説。 ではあるのだが、本の5/6以上はその図書館の小説を書くに至ったある老婆との出会いと周辺の人間関係との描写に費やされている。 個人的にはその話もあまり面白くなく、何より表題と中身が違いすぎたのが大きいマイナスだった。

Posted byブクログ