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ミミズクと夜の王 完全版 の商品レビュー

3.9

60件のお客様レビュー

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2024/10/11

 視覚に訴える神秘的な情景、静謐な世界観あふれる背景、主人公の純真さに包まれる読書でした。本書は決してラノベ作品でなく、単なるファンタジーでもなく、大人も楽しめる質の高い児童文学、と言っても過言ではない印象です。  主人公は、手枷・足枷の鎖、額には「332」の焼きゴテがあり、自...

 視覚に訴える神秘的な情景、静謐な世界観あふれる背景、主人公の純真さに包まれる読書でした。本書は決してラノベ作品でなく、単なるファンタジーでもなく、大人も楽しめる質の高い児童文学、と言っても過言ではない印象です。  主人公は、手枷・足枷の鎖、額には「332」の焼きゴテがあり、自らを「ミミズク」と名乗る少女。ミミズクはある村の奴隷で、壮絶な過去をもっていました。冒頭から、悲壮感を全く感じさせず、少し足りないのかな?と思わせる天真爛漫さぶりです。  しかし、ミミズクのこれらの言動は、人間として扱われず、傷付き、壊された結果で、ミミズクの純真さは逆にとても切ないです。  物語は、ミミズクが美しい月夜に、「夜の王」と呼ばれる魔物と森の中で出会う場面から始まります。全てを諦め消え去りたいと願っていたミミズクは、綺麗に見えた夜の王に「私を食べて」と願います。  夜の王はそんな彼女の願いを聞き入れませんが、森と魔物は、ミミズクにこれまで得たことのない優しさを与え、誰かのために行動する心を呼び起こさせ、かけがえのない居場所になるのでした。それが、人々が恐れる魔物の森だったのは皮肉でしょうか‥。  物語はその後、「森の魔物に囚われた少女の救出」を名目に、レッドアーク国王が「魔王討伐」を命じます。この先の舞台は人間の世界に移りますが、展開は差し控えましょう。  何が素晴らしいかって、ミミズクの純真さを中心に据えた展開と、失っていた「人の心」を獲得するまでの成長譚です。  ミミズクだけでなく、国王や聖騎士の心を動かし変えたのが、"人ではない者たち"という深い物語に引き込まれ、魅了されました。学校の図書室に置きたい一冊でした。 ※以下を付記しておきます。  本作は、2007年に電撃文庫から刊行された紅玉いづきさんのデビュー作で、第13回 電撃小説大賞大賞受賞作です。解説は有川浩さんでした。  本書は「完全版」の形で、2022年に紅玉いずきさんの作家デビュー15年を記念して、メディアワークス文庫から刊行されました。  「完全版」とした理由は、①オリジナルへの加筆修正 ②電子書籍版刊行(2014年)の前日譚「鳥籠巫女と聖剣の騎士」の収録 ③さらに後日譚の追加を施した②の加筆修正 となっています。

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2024/09/17

それぞれの心情をもっと深く掘り下げてほしかったというか、いまいちこちらに伝わってこなくて感情移入できなかった。上澄みの綺麗な部分だけ読んで終わってしまった感じ。ファンタジーが好きで、とても良い題材だったので私には物足りなかったかな。

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2024/08/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

おとぎ話のように優しくて、童心に帰ったような懐かしさを思い起こさせてくれる作品。そして夜の森の異様な静けさや魔物の妖かしにゾクリとさせられた。 魔物の王に自らを食べてもらいたい一心で、夜の森の奥深くへ一人入り込む人間の少女・ミミズク。その天真爛漫さに戸惑いつつも彼女のペースに巻き込まれる夜の王・フクロウ。 この不思議な関係の2人を取り囲む人間たちの反応は予想通りとても冷ややかで、異物を受け入れられず排除しようと躍起になる。人間たちの傲慢さや身勝手な正義にはうんざりする。 異文化を受け入れ互いに手を取り合う2人の未来には期待しかない。 この後に続く外伝で2人の未来が垣間見られ、幸せなシーンが想像できて嬉しかった。夜の森がこの先も守り人によって守られ続けられることに安心した。

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2024/08/25

先に読んだ本の巻末に載っていた広告を見て惹かれたものを2冊買ってみた。その内の一冊。 ある月の夜、ミミズクと名乗る、奴隷の身から逃げ出してきた少女が、魔物の棲む森にやって来たところから始まる物語。 登場する人や魔物はそれぞれ愛すべき姿で語られて、絵本の中が語られているような話の...

先に読んだ本の巻末に載っていた広告を見て惹かれたものを2冊買ってみた。その内の一冊。 ある月の夜、ミミズクと名乗る、奴隷の身から逃げ出してきた少女が、魔物の棲む森にやって来たところから始まる物語。 登場する人や魔物はそれぞれ愛すべき姿で語られて、絵本の中が語られているような話の雰囲気も悪くない。 ただ、作者さんの頭の中の世界観はもっと広がっているのだろうが、物語の中では登場人物、とりわけミミズクの感情が極端に振れるところにちょっと唐突なところが感じられ、もう少し背景が語られていないと共鳴しにくいというか、なんかそんな感じ。 本編の後に「鳥籠巫女と聖剣の騎士」という外伝が併載されていて、お城側の人たちについては理解が進んだ。 帯に錚々たる作家さんの絶賛コメントが並んでいてハードルが上がっていたかもしれないが、ああまで書くほどではなかったように思った。

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2024/08/08

少女と魔王のラブストーリー。 文章が綺麗で読みやすい。 前半ミミズク、後半アンディといった感じの展開には多少の違和感もあったが、最終的にはイイハナシダナーに帰結する。 願わくば、聖剣云々よりも、もう少しミミズクや魔王の過去等の深掘りを見たかった。 なお完全版として、別視点の過...

少女と魔王のラブストーリー。 文章が綺麗で読みやすい。 前半ミミズク、後半アンディといった感じの展開には多少の違和感もあったが、最終的にはイイハナシダナーに帰結する。 願わくば、聖剣云々よりも、もう少しミミズクや魔王の過去等の深掘りを見たかった。 なお完全版として、別視点の過去話と、後日談が追加されている。 後者には思わずニッコリしてしまうので、是非とも完全版で読むことをおすすめしたい。

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2024/08/01

この本大好き。ミミズクとフクロウの幸せを心から願う。たくさんの人から愛される理由が分かった気がした。ミミズクの紡ぐ言葉がすき。 ―綺麗ね、お揃いよ!

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2024/07/06

面白かった 前半はミミズクに感情移入できず、月の瞳を持つ絶世のイケメンの夜の王、唯一普通っぽいクロのイイ人(魔物)っぷりに、なんとか読み続けていたら突然、衝撃的な展開に…。 後半は、人間らしく、子供らしいミミズクの可愛らしさと、徐々に分かってくるフクロウ(なんとセンスの良い名...

面白かった 前半はミミズクに感情移入できず、月の瞳を持つ絶世のイケメンの夜の王、唯一普通っぽいクロのイイ人(魔物)っぷりに、なんとか読み続けていたら突然、衝撃的な展開に…。 後半は、人間らしく、子供らしいミミズクの可愛らしさと、徐々に分かってくるフクロウ(なんとセンスの良い名前!)のミミズクへの優しさに心打たれ、怒涛のハッピーエンドへ! 愛を知らない、愛されたことのない、愛し方、愛され方を知らない、色んな意味で不器用な主要人物達が、最後にはちゃんと愛を知り、愛し(親子の愛も含む)愛され、幸せになる物語。ミミズク、フクロウ、王、王子、聖剣の騎士、剣の乙女、 そして二人の養子、みんな幸せにしてくれて、作者に感謝。 こんなふうに心があったかになる本がいい! 何度も読み返したくなる本だと思う。

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2024/07/05

欲しい本リストに入れてから購入までが長かった事 購入から読み始めるまで長かった事もあって、どん な話だったかさえ覚えてなくて、ミミズクの話し方 と語彙力のなさも相まって 「何を読まされてるんだろう?」 と思いました。 でも、どんどん引き込まれていき、世界観に惹かれ 夢中になって読...

欲しい本リストに入れてから購入までが長かった事 購入から読み始めるまで長かった事もあって、どん な話だったかさえ覚えてなくて、ミミズクの話し方 と語彙力のなさも相まって 「何を読まされてるんだろう?」 と思いました。 でも、どんどん引き込まれていき、世界観に惹かれ 夢中になって読みました。 面白かった。 泣けた。 残酷だけど、いろんな愛の形があって、心が温かく なるお話でした。 フクロウとミミズクに対してアンディとオリエッタ が取った行動は、「外伝 鳥籠巫女と聖剣の騎士」 で二人の人となりを知る事で理解が深まる。 コノハのお話もすごくいい! あれっきりじゃなかったと知れて嬉しかった。 ディアも良かった。「毒吐姫と星の石」を読むのが 楽しみ。

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2024/05/30

魔物とは、魔性、つまり悪魔のような、人を惑わす性質をもつもののことを言うそうだ。異形のもののことではないらしい。 人ではないものと心を通わせる話は多くあるし、大筋だけを見れば、結末は予想の範囲内かもしれない。それでも、ミミズクの葛藤やアンディの覚悟に心を揺さぶられるのは、それだ...

魔物とは、魔性、つまり悪魔のような、人を惑わす性質をもつもののことを言うそうだ。異形のもののことではないらしい。 人ではないものと心を通わせる話は多くあるし、大筋だけを見れば、結末は予想の範囲内かもしれない。それでも、ミミズクの葛藤やアンディの覚悟に心を揺さぶられるのは、それだけでは表すことのできないものがあるからだ。 魔物のような人と、人のような魔物。人だけを特別視すること自体、傲慢な考え方なのかもしれない。

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2024/04/20

これまでに読んできたハイファンタジー作の中でも比較的浮世離れした世界観を感じました。 それを作り出しているのは詩的な文体とセリフ回しをベースに、劇的に展開するストーリーだと思います。 最初の方は、なんでそんなセリフが出てくるの?と、不思議、不思議、不思議、な気分でふわっと読み進め...

これまでに読んできたハイファンタジー作の中でも比較的浮世離れした世界観を感じました。 それを作り出しているのは詩的な文体とセリフ回しをベースに、劇的に展開するストーリーだと思います。 最初の方は、なんでそんなセリフが出てくるの?と、不思議、不思議、不思議、な気分でふわっと読み進めていく感じでしたが、 物語の根っこには人間の女の子の純真な想いが確かに潜んでいて、読み終えてみるとなんだかきらきらした気持ちに。。

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